第33話
気づくと月明かりがかなり高いところに差していて、その木の影から僕を呼ぶ声が聞こえた。
「傀、ごめん。こんなのしかなかった…」
その申し訳なさそうな声を出しながらひらひら飛んでくるティラの手には枝が握られており、その枝にブルーベリーに似た実がついていた。
「ティラそれは?」
「ベリーボールっていうフルーツよ。よく野生で生えているのだけど、これしかなくて…」
「ありがとうティラ。それすっごく美味しそうだね」
「う、うん」
二人で一粒ずつ食べていると風に乗って香ばしい香りが流れてきた。
肉が焼ける匂いだ。
匂いのする方へ草を分け林の中に入って行く。
少し進むと、小川があり暖かい光が目に飛び込んできた。
火だ!
そこでは、軽装な男が串に刺した兎らしき物を回しながら焼いている。
お金の件もあってか、出て行くのが少し躊躇われる。
すると、後ろから風が流れ 火が爆ぜる。
それを抑えるように男は枝で焚き木を回した。
「よぉ〜!坊主。隣に居た花の妖精も一緒か」
傀とティラは顔を合わせ、目を丸くした。
何故なら、男はこっちに顔をあげる事なく傀が居たことに気づいた事。
そして、ティラが花の妖精である事も言い当てていたからだ。
「そんなとこで突っ立ってないで、早くこっち来いよ」
男はこっちを見る事なく傀達の方に手で合い挽きをする。
「ねぇ、傀どうする?」
「どう?って、声掛けられてるし、行くしかないんじゃない?」
「でも、なんかあいつ危なそうじゃい?こっちを見ないで声を掛けてくるし」
コソコソと話している会話を聞いているかのように男はまた声を掛けてきた。
「カイ!話しがあるから早くそこの木にでも腰掛けてくれ」
また、傀とティラは目を丸くした。
「名前まで知られてるなら、もう行くしかないよ…」
「そ、そうよね…」
草むら出ようとすると、一つの考え方浮かぶ。
(何処かで聞いたような声…。
この世界に来て聞いたような…。
重量感のある圧迫感を連想させてしまう。
重量感……。あの、ギルドの重装備の男)
大きく深呼吸し、そんな考えを整理しながら指定された丸太に腰を上げた。
「面接を始めてもいいか?」
想像もしなかった一言に僕はもう一度聞き返した。




