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<96> アル・カポネは改心した2

 カイトという人物の勧めで慈善事業を行うことになった。慈善事業といってもテロ組織などから一般市民を守る仕事だ。ファミルはあまり難易度の低い依頼はお断りしているそうで、カイトはそのような仕事を対応してくれる集団を探していたという。


 しかし、ファミルの敵だった俺たちをファミルが味方として受け入れてくれるか心配だった。レイガからナンシーを紹介してもらったが、いつもファミルの中に入ってサポートしているそうで、その人はこう言った。


『え? 敵だった人を味方にすることなんていつもやってるけど? そうやって仲間を増やしてるんだよ。だから大丈夫』


 どうやら、いつものことらしい。ファミルからナンシーが聞いた話では、「敵だった人が仲間になるのは、普通。そう太郎とリサに教えれられた。」と言っていそうだ。俺たちは、テロ組織のメンバーの体を乗っ取って活動の邪魔をすればいいそうで、それなら簡単なお仕事である。


 トニーたちにファミルの仲間になることを伝えると、最初は驚いていたものの、次第にファミルまで仲間にするとは流石はボスと言われてしまった。何かを勘違いしているような気がするが、大きな問題はないだろう。


 現在、トニーが人を集めているが自分たちの組織の人数は一万人ぐらいだそうだ。以前のように悪い事をする組織ではなく、一般の市民を守る仕事をしていると言って勧誘している。相変わらず悪霊を募集しているのだが、やることは慈善事業なのだ。


 異世界に行き、募集した悪霊達に魔法が使える人の中に入ってもらい、浄化魔法をかけてもらう。すると、怨みの思いが消えて未練もなくなるのだ。そのまま霊界に行くと地獄行きだと伝えて、いくつか善行を積んで罪の清算を行ってから霊界に行くよう説明している。


 それで、善行を積み霊界に行っても地獄ではないところに行けるまでになったら、霊界に行かせてやる。それは自由だ。だから、募集はするものの人数は増えない予定である。募集するのと同じぐらい霊界に行く霊がいるからだ。


 俺は、それで満足しつつある。組織のこともあるから俺自身が霊界に行くのはまだ先の話だが、地上の悪霊がいなくなったら、組織は解散し、地獄ではない霊界に行くつもりである。ようやく目的が果たせる。はじめからこうすればよかったのだが、思いつかなかったのだ。


 地上の人の体を借りて、太郎とリサとファミルとも会話をした。体を提供してくれた地上の人の名前はグレイという人物だ。彼の体は使いやすかった。太郎とリサは、俺に対していつもありがとうと言ってくれた。俺は、感謝されるようなことをした覚えはないが、感謝されるのは気分が良い。


 それから、ファミルに会った。ファミルは簡単な仕事は嫌だが、思ったより難しい仕事だった場合には駆けつけるから遠慮しないようにと言われた。今のところそれほど難しい仕事はないが、何事も想定外ということもある。そんな場合にはファミルに来てもらえるということで、とても頼もしいと思った。


 俺たちには今日も仕事がある。その仕事を行って一般市民を守るのだ。それから、最近はどんどん小さい仕事も任されるようになった。だから組織を細分化して、五人ぐらいの班を作り班長を決め、班長の指示で泥棒を捕まえることに協力したり、強盗が悪い事をできないよう体を乗っ取ったりしている。さらに、いじめというものをなくすために、いじめを行っているリーダー格の人物を脅す。〇〇を虐めるなと。


 五人グループで二千の班が各地域の問題を解決するのだ。小さい事件は全て任せてもらっている。そうやって善行を積んだら地獄行きを回避できるんだから、俺たちにとっては一番の報酬である。この様子なら、あと数年もすれば俺も仕事が終わって無事に地獄ではない霊界に行けるに違いない。そう思うと、気分は爽快である。

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