<97> 世界中の子供たちに学校を
世界中の才能ある子供たちには教育を受けるチャンスを与えたい。勉強嫌いの子供に教えるより、勉強したい子供に教えるべきだ。僕は、世界中から医者を募集するだけでなく、未来の医者も育てようと思う。そして、それは現実のものとなった。
世界中の国々に学校を建てた。お金がない家庭のために学校に寮を作って住めるようにした。親は子供たちを養う必要がなく、子供たちは可能性を得る。医者になるかどうかは強制しない。選択肢の一つとして医者の道があるだけである。
ある日、僕の所に一通の手紙が届いた。学校に通うことができるようになった子供からだ。僕はその手紙を読んだ。
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親愛なる田中太郎様
僕は、小さな村で生まれて小さいころから親の手伝いをしながら生活をしていました。ルエンと申します。親の手伝いとは主に畑仕事です。朝から夜まで長い時間働いても、食べていくのがやっとの生活でした。僕のお父さんとお母さんは九人の子供がいました。しかし養うのが難しく、姉は早くから嫁に出されたりしました。また、病気で死んだ兄もいました。病気になっても、医者に診てもらうようなことはなく、自然に治らなければ死ぬしかないのです。
また、畑は借りている土地なので、地主にお金を払わなければなりません。その支払いのために食べるのも困難な日が多く、お腹いっぱい食べることができませんでした。地主の子供たちはとても裕福で、働くこともせず、学校というところで勉強をしていると聞いた時は、とてもうらやましいと思いました。その地主の子供たちに、僕たちは馬鹿にされたり、反抗的な態度をしたと殴られたりしたこともありました。
僕たち家族は、裕福な地主のために働く存在なのだと絶望していたのです。
ところがある日、アル・カポネの子分という人が僕に言いました。
「学校に行きたくないかい? 田中コーポレーションで学校に行きたい人を募集しているんだけど、君なら勉強は嫌いではなさそうだから合格だよ。お金は一切かからないし、食事だって出るからその点は安心していい。どうだ?」
僕は、願ってもないことで考るまでもなくお願いしました。学校は完全に無料で食事も出るしラゴスまでの交通費も出してもらえることを伝えたら親にも許可をもらえました。僕は親元を離れて学校の寮で生活できるようになりました。
それからは、僕にとって夢のような生活でした。服装も、裕福な地主の子供たちが来ているような服を着られるようになり、お風呂にも入れるようになりました。僕を馬鹿にするような人もそこにはいませんでした。みんないい人でした。
僕は、そこでの生活に慣れたころ、学校に通い始めました。
初めは、文字の読み書きができなかったので、そこから覚えるのですが、文字とは不思議だと思いました。だって、僕たちが普段話している言葉も全て文字で表現できるのです。僕は夢中になって文字を覚えました。何度も何度も書いて覚えました。文字を覚えたら、本が読めるようになりました。
たくさんの本を読み、たくさんの感動を得ることができました。
学校でたくさんのことを学ぶうちに、この学校が田中太郎さんの発案で作られたことを知りました。僕は、田中太郎さんを知りませんでした。でも、僕にとって田中太郎さんは神様みたいな人です。こうして手紙を出しても読んでもらえないかもしれないですが、そんなことはどうでもよくて、とにかく僕の人生を大きく変えてくれたことに感謝しています。
僕は、将来医者になるかどうかわかりませんが、田中太郎さんのくれたチャンスを僕のためではなく、世界の未来のために役に立てたいと思っています。そして、生まれた家が貧しくても、こうして裕福な人と同じ勉強ができることを当たり前の世界にしたいと思っています。
田中太郎さんには以前から感謝の気持ちを伝えたいと考えていましたが、こうして手紙を書けるようになりましたので拙い文章ではありますが、今の気持ちを届けさせて頂きます。
僕に勉強する環境を与えて頂き感謝の気持ちを伝える言葉が見つからずもどかしいですが、一生をかけても田中太郎さんに対する借りを返したいと思っています。正直に申し上げますと、大きすぎる借りに返せる自信がありませんが、それでもあきらめずに努力していくつもりです。
お忙しい立場だとは思いますが、無理をせずいつまでも元気でいて下さい。田中太郎さんは僕たちの希望です。ありがとうございました。
ラゴス小学校四年 ルアン・リエンコ
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僕の建てた学校で救われた子供がいる。この手紙は僕がやっていることが間違っていなかったことを証明してくれている。この少年は僕に感謝してくれたが、僕もこの少年に感謝している。ルアンという少年がもし将来有名になってその活躍をテレビで見ることになったら、会いに行って手紙をくれたことに感謝していると伝えようと思う。




