<88> 敵の人海戦術
リサを確実に殺して地獄に引き込むため、三兄弟は仲間を増やすことに最大の力を入れた。アル・カポネの子分たちの多くに協力してもらうことになったのだ。その数なんと約八十万人。
どうしてこれほどまでの人数を投入しれくれることになったのか三兄弟は全くわかっていないが、彼らにとっても絶対に倒すべき敵であることで利害が一致したのがその理由である。
ファミルを倒すのが最終目的ではあるが、その前に太郎とリサを倒すことができない限り、ファミルを倒すことは不可能とレイガに言われているのだから、先にすべきことを済ませる。時間をかけるわけにはいかないので、最大の力で叩くという作戦だ。人海戦術とは、圧倒的に数が勝っている時には実に有効な作戦である。
一人に対して十万人が襲えば十万人が勝つのが当たり前だ。
今回は、二人に対して八十万人。これで勝てないはずがない。そして、これに勝ってファミル一人に対して総力をあげて戦う。これで完全勝利する予定である。
三兄弟は、長男が十八歳、次男が十五歳、三男が十二歳の時に殺された。彼らにとっては無実の罪で殺されたのだから許せないことだ。
十二歳で殺された三男よりも長生きするのるは許せないと、転生前のリサ、白神響子を十二歳で殺すようにしたのだが、転生により失敗してしまった。今度こそは絶対に地獄に引き込むと決意を固めている。
長男『八十万人も協力してくれるなんて、ありがたいことだ』
次男『これだけの人数ならば、今度は失敗するはずがない』
三男『さっさと殺してしまおう。そして地獄で永遠の苦しみを受けさせるんだ』
そして、リサと太郎が二人でいる時に、八十万人で襲った。
太郎の意識を奪うのは簡単だった。
しかし、リサに入り込むことができない。リサの中に何かがいる。
結局、リサが太郎を助けて別の世界に逃げ込んでしまった。
太郎の中に入った霊も、そのまま帰って来なかった。
まさか、八十万もの数で倒せなかったなど誰が予想できただろうか。
霊たちは困惑している。それもそのはずである。リサの中の何か強力な存在が何か全くわからないのだ。
入ろうとしても、その存在により弾かれてしまう。
そのことを、三兄弟がトニーに相談した。トニーはしばらく考えてから言った。
『太郎には通用したのだから、その太郎の体を奪うために、地上にいる人間に入り太郎を物理的に殺害する。その後にリサも物理的に殺害する。そうすれば、殺せるんじゃないか?』
『おお……。』
『それならば……。』
『たしかに……。』
トニーの考えに三兄弟は大いに納得し、次なる作戦に移ったのだった。
必要なのは地上の人間だ。百人もいれば大丈夫だろうと考えた。
長男『今回の失敗は、霊だけの力で倒そうとしたことだ。本来ならそれで失敗するはずはなかった。しかし、リサの中に入れないなら地上の人間の力を借りるしかない。』
次男『人員は、どうやって集めるんだ?』
三男『そうだよ。簡単じゃないんじゃないか?』
長男『そんなの、適当に仲間に協力してもらって地上の人間に入って操ればいいんだよ。80万もの仲間がいるんだ。そんなの何とかなるだろう』
次男『そんなことが……、そうか、善人を操るのは難しいが悪人ならば操れないこともないな。よし、刑務所を襲おう』
そして、東京都の府〇刑務所から、凶悪な犯人ばかりが百十二人が脱獄した、かつてない事件がニュースで放映された。霊たちが協力して脱獄を手伝ったのだ。
大事件として報道されたが、脱走してすぐ車で移動させ住まいを準備し、服装や髪形を変えて全くの別人と見えるような姿となっており、彼らには脱走した犯人とわかる要素がまるでない。脱走した犯人たちを逮捕するため、全力を尽くしている警官たちの姿が映された。しかし警官たちが脱獄囚たちを捕まえることは不可能である。
次に太郎とリサが来た時には脱獄した百人以上の囚人たちに霊が入り込み、太郎とリサの命を奪う計画をしていることをレイガが知るのは、それから間もなくのことであった。




