<87> 地球の文化をユーナスに
リサの家に行ったら、家が立派な建物になっていた。
萌絵で大儲けしたので、家を建て直したのだそうだ。メイドもいる。
前に来た時には芸術家の家という感じだったが、今は貴族の家のようだ。
来客が増えたが、大人数でも招待できる大きさだ。百人ぐらいなら大丈夫かな?
前の家のままなら十人ぐらいしか入れなかったから、今の状況に対応するのは難しいだろう。
萌絵大会は、ルカナンで大成功したので、ユーナス全土から作品を集め、世界大会をするということになったそうだ。世界からたくさんの作品が寄せられてきており、最終締め切りはあと三カ月だそうだが、集まった作品の中から優秀な作品は別に保存しているのだという。
そして、いよいよ萌絵の世界大会が終わったのちにマンガ文化を世に広めるのだそうだ。ラケルの研究による魔法の発達により、原本の複製が容易になり、大量に本を作る基盤ができたのだそうだ。
まだ、マンガ文化を知らないこの世界の人々に、マンガがどのうように受け入れられるか、それは未知のことであるが、たくさんのマンガが世に出ることは間違いなさそうだ。
「カザンもマンガの作成に携わるんですか?」
「それなんだけどね、タロウの世界の有名なマンガをこちらの世界の文化に合わせたものに描きなおして、まずはそれを売ろうと思うんだが、どうだろう」
「それなら、地球のスポーツや将棋、麻雀、囲碁、カードゲーム、それらをこちらの世界に流行らせるのが良いでしょう。その上でマンガを書き直せば、服装や建物をこちらの世界に合わせて書き直すだけですから、容易なはずです」
「太郎! それはナイスアイデアだ。ついでにその遊びに関する商品の販売も行えるように準備が必要だな。専門家もこちらの世界に招待できないだろうか? それで、それぞれの分野でのトップを決める大会も定期的に行えば、盛り上がるに違いない。夢が広がるな」
「商品の販売は伯爵に頼んで王様も仲間に引き入れ、オルガを中心に販売すればよいでしょう。専門家は、僕の知り合いに頼めば何とかなるはずです。こちらの世界で、遊びの文化が発展すれば、より面白い世の中になりそうですね。スポーツやゲームには魔法を使うのは禁止という常識が必要ですね。魔法を使ってしまうと不公平過ぎて面白くないですから」
「確かにそうだな。それでは、本格的に準備してみようか。タロウにも協力してもらう必要があるが、お願いしても良いだろうか?」
「喜んで。むしろワクワクしてきますね。こちらの世界は遊びが少ないので、みんなに喜んでもらえる仕事になりそうです。オルガも儲かる話なら喜んで協力してくれるでしょう。それと、遊びを考えたのは僕ではなくてカザンが考えたということでお願いします。遊びを考えた本人として、商品販売の利益の1万分の1をカザンの収入にするというのでどうでしょう」
「1万分の1を収入に? それは、どのぐらいのお金になるのか予想がつかないな」
「おそらく、一生お金に困らない程度にはなると思いますよ」
「それは、ありがたいが本当にいいのかい?」
「自分が考えたことにするのは困ります。むしろ僕からお願いします」
そう言った時にノックが聞こえた。リサだった。リサが部屋に入ってきて言った。
「ずいぶん楽しそうな話になっているようね。もうすぐ食事の準備が整うから呼びに来たんだけど」
「リサ、実はさ、こちらの世界に将棋とかサッカーとか地球のスポーツやゲームを流行らせようと思うんだけど。リサは好きなスポーツやゲームはある?」
「そうねえ。野球とかマンガで見るのは好きかな。実際にやるのは難しいけど」
「野球は、ボールやバットとかグローブとか、いろいろ必要になるからなあ。サッカーならサッカーボールがあればいいけど。でも野球かあ。少し無料で提供しようか」
「実際に野球を見せてあげたらいいんじゃない?こちらの世界の人たちを雇って野球チームを作って、それで野球をやる。プロ野球チームね。それで優勝を競わせるの。実際の野球を見たら、真似して野球をやりたい人がいると思うし、将来プロ野球選手になりたいという人が増えれば、高校野球みたいなのとか、少年野球みたいなのとか、いっぱいあちこちで試合が組まれるようになるんじゃない?」
「野球チームは、それぞれにスポンサーが必要だな。伯爵を通して王様に相談して、貴族たちがそれぞれ球団を持つようになればいいんじゃないだろうか」
「それには、女子もチームに入れるようにして欲しい。男性だけが試合に出るのは地球だけで、こちらの世界では男女両方混じっている試合が見たいわ」
カザンは、リサの意見に対して同意するように言った。
「リサ、野球は面白そうだな。マンガでリサが翻訳してくれたマンガの中にも野球があったけど、男性しかいないのが不満だった。男女両方がいる方が盛り上がると思う」
そこにノックがあった。リサのお母さんである。
「食事の準備ができたわよ。まだなの?」
僕たちは、食事をしながら野球の話の続きを行うことにした。リサの母親だけは話についてこれなかったが収入が増える話であることを聞くと満足そうだった。リサと僕とカザンは、お互いに今後のことについて夢を語りなかなか話が尽きないのだった。




