<86> しばらく地球に戻れない?
カイトとレイガが僕たちに会いに来た。青木さんの体にカイト、グレイさんの体にレイガが入っている。他の人が見れば四人で普通に会話しているようにしか見えないはずだ。
まず、ジンに事情を確認したいらしい。ジンとカイトが話をしている。事情を確認すると、ジンがこの件に関して干渉を続けるのは難しいらしい。今回リサの中に入って悪霊が入らないようにしたのも、本来であれば過干渉という扱いになるらしい。
カイトは、ジンとの会話を終えて僕とリサに話をした。もちろんレイガも一緒だ。
「私とレイガは別行動をする必要がありますので、一緒にいることはできませんが、他の霊を太郎とリサの中に入れますので、それで最悪の事態は防げるでしょう」
僕は、意識を奪われた経験をしたので、最悪の事態が命の危険を伴うことであると理解している。しかし、リサはそんな僕を助けてくれた。今度は僕がリサを助ける番だ。
「リサを守りたい。カイト、お願いだ。どうしたらいいか教えてくれ」
「大丈夫ですよ。太郎は必ずリサを守ることができます。そして太郎から依頼された仕事をようやく解決させることができます。おそらく、太郎はこの件に関してまだ、ほとんど何も知らないでしょう。なにしろリサの十四代前の先祖が原因なのですから」
「「十四代前の先祖が原因?」」
僕とリサは、同時に驚いて言った。声がそろったので、お互いに顔を見て、それからカイトを見た。カイトは話を続けた。
「最低でも五十億円必要だと以前言いましたよね。それほど、今回の件は危険なことだったのです。それはご存知でしたよね」
「その時に僕もリサも一緒に話をしましたからね。そして500億円提供することをお約束しました」
「はい。そのおかげで充分に準備はできたつもりでした。しかし、思ったよりも相手は厄介な存在になっています。次なる準備が整うまでは地球に戻らないほうがよいでしょう」
僕は、またあのような恐ろしい目にあることを考えると、安全が確認できない限りは地球に戻れないと思っていたので、カイトがそう言うのであれば同意せざるを得ない。
「リサ、地球にしばらく戻れないかもしれないけど、いいかな?」
「特に問題はないわ。太郎は大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫だと思う。こちらの世界と地球をつなぐゲートもあるから。仕事にも影響はないと思う」
僕は、カイトを見て言った。
「どのぐらいで準備が整うと思う?」
カイトは、しばらく考えてから、レイガに聞いた。
「レイガは、もし、あの作戦をやるとしたら準備にどのぐらいかかると思いますか?」
「……そうだな。二週間……。それぐらいあれば準備はできる」
「やはり、そのぐらいかかるでしょうね。私も同意見です。少々費用もかかりますが、五百億円受け取っているから問題ありません」
「わかった。ではそれでお願いするよ。何をするかは、まだ教えてくれないのかな?」
「説明は、毎回のことで申し訳ないのですが、ある意味あえて教えないことが必要な場合もあるんですよ。太郎が知らなければ、情報が洩れることもないですからね。知っている人が少ないのも作戦のうちです。今、この作戦について知ってるのは私とレイガだけです」
「わかった。じゃあ、お任せするよ」
そして、僕とリサはこちらの世界でしばらく生活することになった。せっかくだから、カザンに会いに行こうか。萌絵大会がどうなっているのか見に行かないとね。
僕は、リサと一緒に、リサの実家に向かうことにしたのだった。




