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<74> さあ、遠慮なく反撃しましょうか

 僕は、青木さんグレンさんファミルを合わせ四人で一緒に転移した。そこには五十人の男たちがいた。殺したはずの四人が急に現れたので、かなり驚いている様子だ。


「おまえら、なんで……死んだはずだよな」


「「ふっ……私たちの正体を知るが良い」」


 そう言ってカイトとファミル(ナンシー)は早着替えをした。カイトは僕の体を使っているが、僕はこんな服を仕込んだ覚えがない。忍者の衣装だ。あんたら忍者を勘違いしていないか?


「そうか、きさまら忍者だったのか。どうりでおかしいと思った」


 男たちは素直に納得してくれた。それでいいのか? 僕なら絶対納得しないぞ。


「私たちがこの姿になった意味はわかるわね。あなたたちは私たちには絶対に敵わない。それでも戦おうというなら相手をするわよ」


 なぜか、青木さんとグレイさんまで忍者の姿になっている。いつの間に……。青木さんもグレイさんも急に衣装が替わって驚いている。何をしたらそうなるんだ?


「くそう……敵わないと分かっていても戦わないわけにはいかない。みんな、やるぞ」


 五十人の男たちは、僕らに向かって襲いかかってきた。ナンシーはファミルと入れ替わったようだ。動きが変わった。電光石火というのはあのような動きを指していうのだろうなと思った。僕の中のカイトも、襲いかかってくる相手を避けて倒す。僕は見てるだけだ。


 一瞬で五十人を倒した。早すぎる。これ、全部撮影してるんだよね。今回の忍者姿、テレビで放映するつもりなのか? どういうストーリー? もうわけがわからない。ファミルの雰囲気が変わった。ナンシーが入ったようだ。


 カイトとファミル(ナンシー)は印を結ぶ忍者ポーズ。衣装はカイトが黒でファミルが淡い紫、青木さんは青でグレイさんはグレーだ。


「くそう……忍者が相手では敵うはずがない。俺たちの負けだ。殺すなら殺せ」


 相手のボスは、観念した様子だ。もちろん殺す気はないと思う。撮影してるし。ファミル(ナンシー)が言った。



「私たちは、あなた達を許すつもりはない。そこで選択肢をやろう。ここで殺されるか、仲間になって私たちの元で働いてもらうかだ。……ちなみに私たちの元で働くと、忍者の技を学ぶことができるぞ。完全週休2日で給料も月50万は出す」



 忍者の技を学べる? それは好条件なのか? 僕にはわからないし興味もないが、彼らはどう反応するだろうか。最初にボスと思われる人が言った。


「……本当に、……本当に忍者の技を学べるのか?」


「本来なら、教えることはできない技だが、今はお前たちの力を借りたい。だから特別に教える。どうだ? 悪くはない条件だろう。」


 男達に迷いはなさそうだ。みんな目が輝いている。


「お願いします。」


「俺もお願いします。」


「ぜひお願いします。」


「よろしくお願いします。」


 次々に、仲間になることを選んだのだった。断った人は誰もいない。最初にボスらしき人が仲間になることを選んだのが大きいだろう。


「俺らも忍者に……すげえ。」


「憧れてたんだよな俺。忍者っていいよな。」


「忍者最高。」


 男たちは、妙に感動している様子だった。


 死んだはずの僕たちが生きているんだ。忍者とはなんでもありだと誤解されそうだな。あ、テレビカメラ付きの骨は回収済みか。生き返ったのに骨が残っているのは演出としてまずいからな。


「そうと決まったら、早速修行です。新しく仲間になった五十人全員ラケルのところに頼みますよ。太郎」


『いきなりですか? ……まあ、いいですけど。言葉は? 誰が通訳とかするんですか? 今回の担当は?』


「それなら私たちがやるから大丈夫。ファミルもそれでいいよね」


『いいよ。ナンシーと一緒なら私は無敵だから』


 忍者の技だと騙して、魔法を教えるのか。あれ? レイガは? そういえば、どこに行った?  さっきまで男たちの誰か一人に入っていたけど。グレイさんの雰囲気が変わった。何かするつもりかな? 彼は言った。


「君たちはレイガという人を通して聞いたことがあるだろう? 君たちの裏のボスだ。忍者の技を覚えるには、忍者の里に行かなければならない。


 普通には絶対に行けない場所だ。俺も、そこで修行をした。卒業したら、大怪我をしても傷を治せるし水の中や土の中でも息ができる。


 戦っても一人で百人の相手も可能だ。ただし、忍者の国の言葉は、こちらの世界の言葉とは違う。だから通訳が必要だ」


 レイガって、裏ボスだったんだ。そうか……わかってきたぞ。


 嘘の忍者情報を彼らに与えて、今日はようやく仲間にするための演出を行ったということか。表ボスは、裏ボスのレイガの指示に従って動いていたとすれば、忍者で納得していたこともわかる。


「今日から君たちのボスはファミルだ。ファミルという存在は聞いたことがあるだろう? 伝説の忍者だ」


 ファミルが伝説の忍者。聞いたことがない。そういう設定? 僕は困惑したが、誰も疑問に思わない様子だ。


「俺、テレビで見たことがある。テロリストだったやつらもファミルがボスだと言っていた」


「ファミルって本当に実在したんだ」


「ファミル様」


 ファミルって有名だもんな。でも、大丈夫なのかな? こんな感じで放送されるのは初めてだけど。以前テレビで放映された時は一命を取り止めたという放送されてたと思うけど。今度は伝説の忍者? 大丈夫なの?


 ファミル(ナンシー)は言った。


「私の下で修行すれば、お前たちも忍者以外に負けることはない。やる気のある者には教えてやろう」


「「「「「「「おおお……お願いします!」」」」」」」


 全員一致で、異世界での修行が決まったのであった。これ、本当に放送するの? 視聴者が信じてくれないんじゃないの? 大丈夫なの? 僕は不安になるのだった。

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