<67> 目の見えない女性に会う【後編】
ハンバーガーを食べるのは久しぶりだ。僕とリサは、それぞれ注文したハンバーガーとポテトと飲み物を味わっていた。ジャンクフードと言われる食べ物だが、たまに食べる分には美味しい。中島ゆりさんも、ゆっくり味わって食べている。
だいたい食べ終えたリサは、単刀直入に言った。
「ゆりさん。突然ですが、あなたの目を治す方法があります。信じて頂ければ、その方法を教えます」
「え? ……まさか……?」
いきなり過ぎる。だが、こんな話をどう伝えるのが正解か考えてもあまり意味はない。問題は、信じてもらえるかどうかだ。
「リサの言うことが理解できない気持ちはよくわかる。でも、方法がある。そのためには、ある場所で3週間ぐらい生活してもらう必要がある。どうだろうか。お金の心配は全く必要ない。全部負担する。ただし、目が治ったら、僕たちに協力して欲しい。それだけが条件だ」
只より高いものはない。僕は、信用してもらうため条件を提示したのだ。
「協力……ですか? それはどんな?」
「僕たちの仕事を手伝ってもらうだけだよ。給料も出す。月に三十万円以上。その条件でどうかな?今、全国から医者を募集したり、医者を目指す人を募集したりで忙しくて、人がとにかく必要なんだ。」
無難な仕事内容を提示する。変なことをさせられると思われないようにするためだ。
「わかりました。……実は昨日夢で見たのと、今、こうして皆さんと話していることが同じで驚いているんです。デジャブというんでしょうか。正夢というのか……よくわかりませんが、断ったらいけない気がします。あと、夢にはベージュ色の服を着た男性が出てきたんですが、そんな人いますか?」
「ジンかな?」
「ジンだわ」
「ジンさんですか。不思議な人でした。目は見えないですが、夢は見れるので、そこに出てきた状況と今が同じなので、なんとなく……普通の治療とは全く違う方法で目が見えるようになると信じることができます。ジンさんが言っていました。がんばれば必ず今の君の願い程度なら叶うと」
ジンが夢に現れても、それはただの夢ということで誤魔化せる?とでも考えてのことだろうか?とにかくそういうことなら話が早い。僕が言うより先にリサが言った。
「では、ゆりさん。いつから行けますか。期間は最低でも2週間。ひょっとすると半年かかるかもしれません。でも、ゆりさんなら必ずできると思います。だって、今の状況で怨みを持つことなく、現状を受け入れ、生活しているんですから。そんなこと、誰にもできることではありません」
「ありがとうございます。そう言って頂けると、とても嬉しいです。明日からでも大丈夫です。お願いします」
こうして、明日からゆりさんにはラケルのところで修行をしてもらうことになった。ゆりさんは、近いうちに家を出る必要があると感じていて、気持ちの準備はできていたのだそうだ。




