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<60> 最近の俺の話(ジン)

 最近の俺は複雑な気持ちだ。できるだけ協力したいが、協力しすぎるのもまずい。天使という存在であるが故に協力できることには限界がある。この前の太郎のクイズの問題も、「五つのボールがあります」と言われた時点で答えがわかっていたんだ。でも、そこでは知らないことにするしかなかった。結局太郎が答えられたから問題なかったが。


 リサの時には、ちょっと協力しすぎたかもしれないが、大きな問題にはならないだろう。それと、ラケルの無詠唱魔法の成功に関しては、独り言だ。誰がなんと言おうと独り言だ。


 オルガとユーリに関しては、まあ、太郎とリサをオルガのところに行かせただけで、他意はない。まあ問題ないだろう。オルガに感謝されたのは、……あれはちょっと嬉しかった。まあ、誤解だけどな。何を勘違いして俺に感謝してるんだか。まったく。


 と思いつつ、顔がにやけているのを感じる。リサやカイトに見られたら困る。


 人間のことは人間自身で解決しなければならない。でも、俺が何かをしたことが偶然人間の役に立ったなら、それはそれで問題ないんじゃないかな。


 それから、アル・カポネを中心とする十三万人の悪霊集団に対して、たったの三人で何とかしようとするのって普通に考えたらおかしいよ。俺もおかしいと思うよ。でも、あれが一番の近道なんだよな。こっそりガンジーには独り言をつぶやいたが、それを聞いてどう思ったかなんて、俺の知るところではない。後は人間が自分のすべきことを決めるだけだ。


 今は、まだ解決の道が見えないと思うだろうが、そう遠くない未来に……。まあ、それはそれとして、知りすぎている立場というのはもどかしいものだな。近道を知っているのに、それを伝えられない。近道だと思う道は意外と遠く、遠回りと思える道が近道だったりする。


「ジン、何してるの?」


 そこにはリサがいた。リサには俺の姿が見えるからな。リサがここに来るのはわかっていた。


『リサに会いに来たんだ。ここにいればリサが来ると思ったからね』


「へえ。そうなの。何?」


『太郎がどうやって転移しているか、リサ知らないよね。でも、太郎が水魔法を体内で使えば、もっと転移できるようになるんだけど。……ああ、なんでもない。今のは太郎に言わなくていいからね。用事はそれだけ。じゃあね』


「どういうこと?」


 リサは不思議そうに俺を見ていた。リサには何のことかわからないだろうし、それを太郎に言うかどうかはわからない。俺は、リサに独り言をつぶやいただけ。何も太郎にはアドバイスしてはいない。もし太郎が何かに気がついたら、それは太郎が考えたことで俺とは関係ない。

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