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<61> リサから聞いた話が僕の世界を変えた

 ジンが呟いていた話の意味がわからないと、リサは僕に言った。


「体の中で水魔法を使えば転移ができるとか……太郎、意味わかる?」


 僕は、水魔法を自分の体内で使えそうな感覚を持っている。それが何を意味するのは明白だ。膀胱内の水分を増加させる。それにより転移できるだけの尿を確保できる。これを繰り返せば転移し放題だ。劣化版であったはずの能力の制限が解除される。


 ジンは、これを直接僕に言わなかった。あえてリサに言ったのだ。リサがこのことを僕に言うかどうかは、100%確定ではない。それに、リサにも充分といえるほどの情報を与えていない。僕が理解できるようにリサが説明できない可能性もある。


 でも、今回のリサの説明で、僕はジンが伝えたかったことを理解した。つまり、ジンはこう言いたいのだと思う。


『俺は何も太郎には言っていない。太郎が勝手に思いついただけ』


 つまりそういうことだ。このことは、自分にとって世界を変えてしまうほどの変化だ。それにジンが関わるのはまずい。ジンは僕に聞かせるつもりはなかったと言えるようにしたいのだ。


「リサ、ありがとう。おかげでこれからは転移し放題になる。一日に何度でも転移したい時に転移できるから、これからカイトと相談してみるね」


「……そう。水魔法で転移し放題なのね。……まあ、私にはどういうことかわからないけど、役に立ったようでよかった」


「うん。リサ、ありがとう」


 リサは、笑顔を見せてくれた。本当にかわいいなあ。


「リサは本当にかわいいなあ」


 思わず口に出して言ってしまった。うっかりだ。体内にいるカイトもキャサリンも聞いているのにね。僕は赤面してしまったが、リサも赤面しているので大丈夫だ。


「カイト、これからは転移し放題だ。それにより、今まで難しかったことが可能になる。作戦も立てやすくなると思うけど、どうだろう」


 カイトに意識を向けると、キャサリンと雑談している様子だ。


『私やキャサリンが見ていることも忘れて……、キャサリンとしては? ……リサが可愛いのは事実だから、問題ない? ああ? 今はそっちじゃない? 転移し放題のこと?』


『タロウが言ってるよ。転移し放題になると作戦が立てやすくなると思うけどって』


『なんか、もうそんなのどうでもいい気がして。……いやいや、ごめん冗談だ。ああ、太郎。確かに転移し放題であれば、助かることも多い。転移が自由にできるのは太郎だけだ。それ以外のことは他の人にも可能だが、転移だけはどうしてもできない』


「……恥ずかしいから、さっきのは忘れて下さい。うっかりしてました。それよりも、今後どうしたらいいと思いますか?」


 恥ずかしい。まあ、それはリサが可愛いのが悪い。カイトの考えを聞こう。


『まずは、全員回復魔法と麻酔魔法が使えるようになるための訓練をラケルのところでしてもらおうと思う。既に今修行中の5人も使えるようになったようだからね』


「わかりました。ついに全員魔法を使えるようにするんですね。もしそうなったら、危険は最小限に抑えられますね」


『こうしている間にも、各地で事件は起こっているし、仲間の数も足りてはいない。しかし、今できることをできる限り行う。全員魔法を覚えたら、四十八人を世界の各地に送り、三人(+三人)一組で行動してもらう。』


 それから、僕は異世界に残りの全員を送り、五人を連れ戻して来た。これからは転移し放題。これは助かる。それからカイトが言った。


『太郎、新しいテレビ番組を作ろうと思うのだが……。これについては今度説明したい』


「……はい?」


 僕は、カイトがテレビ番組で何をしようとしているのか、その時は全く意味がわからなかった。ひとつだけわかるのは、お金をだすのは自分だろうなということだけだ。

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