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46/100

<46> ファミル、テレビ出演のための本番の後編

 ステージ一を通過したのは、結局七名であった。三十名中二十三名脱落である。ここまでは番組の打ち合わせ通りに近い。


 ステージ二は、七名のうち何人残るか。最悪、私一人しか残らないシナリオもある。しかし、今回は優勝候補として出場している人がゴールできる難易度に微調整されているのだ。


 特別枠の私たちは予選に出ていなかったが、予選通過した人達のトップがその優勝候補である。その人がゴールできない可能性はあるが、たぶん大丈夫だそうだ。


 一人目がスタートした。流れるプールを流れと逆に進む。流れに逆らって進むので、なかなか進まない。時間制限は三分しかないのに、流れるプールだけで一分経過してしまった。


 その後、水中を潜り五メートル下にある石板を取って戻り、石板を持って回転する三メートル×四本の丸太の上をバランスを取りながら移動。丸太ごとに回転速度が違うので、バランスをとるのが難しい。そこで時間切れとなった。


 二人目も三人目もそこまで行く前に失格。四人目が、回転する丸太をクリアまで行った。その後、石板を所定の場所に置き、つるつる滑る岩山でロッククライミングを行う。しかし石がうまく掴めず、滑って水の中に落ちた。


 五人目でようやくクリアする者が現れた。今回の優勝候補だ。


 滑る岩山も、力技でクリアし、十メートルの高さの天井から垂れているロープにつかまり、ゴールまで八メートルの距離を飛ぶ。


 タイムは二分五十七秒三であった。ギリギリである。


 私たちは、そのタイムに負けるよう、調整する予定だ。


 六人目は、回転する丸太で時間切れ。ついに私たちの番だ。


「ナンシー、大丈夫?」


「まあ、打ち合わせ通りに負けるつもりだけど、二分五十七秒からだと時間が三秒もないから調整が難しいわね」


 スタッフに間違って勝ってもいいか相談することになった。結果、時間がわかるように電光掲示板で表示するので、それを目安に調整して負けることにした。それならばと、二分五十九秒を目指す。身体能力的には余裕だ。


 スタートする。逆流する水を泳ぐ。それから五メートル潜って石板を取り、戻って回転する丸太を移動。その後、石板を所定の場所に置き、滑る岩山だ。ここで滑ってうまく登れないふりをして時間を稼ぐ。


 そこをクリアした時に時間切れまで残り五秒。本当に時間がない。


 ゴールした時のタイムは、2分59秒45で、予定通り負けた。

 そして、ステージ三である。


 ステージ三では、もう一人の人がゴールにたどり着けずに、私たちがゴールし、優勝するシナリオである。ゴールまでのタイムが、ぎりぎり間に合うぐらいが良いと言われている。余裕でゴールすると面白くないそうだ。


 ステージ三は単純で、ただビルをロッククライミングの要領で登るだけだ。時間制限は三分で六階まで登る。


 窓に手をかけ、一階から二階へ、二階からまた窓に手をかけて三階へと優勝候補の挑戦者が登っていく。しかし、五階まで登ったところで時間切れ。残りあと二十秒足りなかったような状況である。


 ここまで見て視聴者は、もう一人の挑戦者もゴールできないだろうと予想する。しかし、番組を盛り上げるための演出をここで行う。


 綺麗な女性が来て、私たちにインタビューを行う。知らない人だが人気キャスターだそうだ。


「苦労をかけた両親のためにも、ここで頑張って絶対にクリアします」

 と宣言する。真剣な表情でだ。(もちろんナンシーが言っている。私は見てるだけ)


 そして、私たちがスタートする。


 登る、とにかく勢いよく登る。そしてだんだん疲れたふりをして時間調整。ハアハアと息切れをしているふりをし、登るのが辛そうな演技、そしてちょっと滑って落ちそうになるふり。命綱が付いているから、落ちても大丈夫だが、演出だそうだ。


 そして、2分59秒35でゴール


 ハアハアと辛そうに息をしながら、やったあと絞り出した声を出し、うれし泣き(の演技)をする。


 そして、優勝した私たちの(嘘の)日常生活の映像が流れる。

 本当の日常生活の映像は流せないからね。流したら、みんな驚くかも。この前のボディーガードのシーンとか、この番組でなかったら面白いかもしれないが……。やっぱりまずいからね。


 こうして、撮影は大成功。優勝候補で惜しくもゴールにたどり着けなかったもう一人の人と握手をする。おめでとうと言ってもらえた。異世界言語能力があるので、私には意味が分かった。


 番組のスタッフからは、大成功です。今までの中でも、結構感動的な番組が作れると思います。と言われた。視聴率は二十八%いけるかもと。それって凄いの?


 私は優勝賞金一千万円を受け取った。この前の稼ぎのほうが多いけどね。ナンシーが喜んでいる演技をしてくれているから、本当に助かる。私には無理だ。


 私はナンシーを尊敬している。ナンシーも私のことを凄いと言ってくれる。ナンシーと私は、良いコンビだと最近つくづく思うのだ。

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