第八話 人を送り込む調査隊が結成されることになった
やはり、人での調査が必要だ。
しかし、帰ってこられないのは人道的に問題がある。
それを知った市民団体がやんやと騒いでいる。
一方、ある宗教団体からは、『神から約束された世界へ!』と、頓珍漢な動きが発生している。
『軍隊を送ろう!』と侵略満々の行動をしている国もある。
まあ、自分の国にある『黒い膜』の数と侵入数12人をかけ合わせれば、どれほどの人数で侵略できるのか疑問である。しかし、単純にそうではなくて、各国から潜ってきた人を籠絡して軍に組み込もうとの思惑があるらしい。
さて我が国には、150ほどの『未知のゲート』がある。
そこに潜れるのは、最大150*12=1800人である。国中に募集をかけた。
5万人ほどの申し込みがあって、書類審査、面接を経て500人を確定した。
さて、ここからは、俺(鈴木ハジメ)が語ることにしよう。
俺は65歳定年で退社して、家でごろごろしていたら、ある日スーツ姿の男女が訪れた。
見たところ悪人では無さそうなので玄関のドアを開けた。
「こんにちは、私たちは・・・・」と、政府の機関であることの名刺を差し出した。
言われるままに、黒塗りの高級車に乗せられ、連れて行かれたのは政府機関の一角。
部屋に入ると、長テーブルが置かれ対面に30過ぎの女性が座っていた、そのあと高校生らしき男女、そして6歳ぐらいの子どもの男女が入ってきた。
テーブルの下座に座っていたスーツ姿の女性が一同を確認したうえで、口を開いた。
「あなた方の、世話をさせていただきます。大野クズメと申します」
「大変心苦しいのですが、皆さんにあの『黒い膜』に潜ってほしいのです。報酬はありません。巷で噂されているように、戻ってこられる保証は全くありません」
「それでは、我々に何を期待されるのですか?」と30過ぎの女性。
「まあまあ、その前に自己紹介をしましょう。言い出した私がお先に自己紹介させていただきます。まあ、堅苦しいので、話し言葉で良いよね。 俺は鈴木ハジメ、68歳だ。世の大企業でIT関係の仕事をしていた。趣味は登山。嫁、子供はいない。まあ、孤独な老人だよ」
「私は、大宮ケイコ、36歳。医者で、趣味は家庭菜園。夫は居たけど今はいない。子供は横に座っている大宮ココロだけ」
歳の上から、順繰りに自己紹介をしていった。
子供たちは、それぞれ17歳の柏木イチロー、16歳の鏡見ユウ、6歳の田中サトシ、5歳の大宮ココロ。
俺と大宮さんは、大人の判断ができていると思うが、4人の子供の事情は聞いていないし、今後もこちらから聞くことも無いと思う。きっと、難しい事情だよな・・・。大宮さんも、同意見なので安心だ。
世話役の大野さんが、準備の費用を概算知りたいので、必要な物を書き出してほしいと言ってきた。向こうではサバイバルになる可能性が大きいので。
(俺も大宮君も子供たちの事情を探ることはしないと言ったけれども、読者の皆さんには話しておきたい)




