第四話 機内から富士山を撮った写真を見たら黒い点が?
さて、黒い点を発見した当時に話を戻すと。
「まこと、ちょっと良いかな? この前の黒い点が写った写真を調べてみたら、どうも空中に丸い黒いものがあるようなの。 SNSで富士山の南側を通った人に聞いてみたの」
「そうしたらね。 3人ほど写真を送って来てくれたわ。 それらの写真で位置関係を解析したら、やはり『伊豆半島の恋人岬』の上空5200メートルほどにありそうなの。 直径は10メートルほどかな?」
谷川岳から朝日岳に向かって山岳写真を取っていた人たちも、同様の黒い点を発見していた。
その中には、有名な山岳写真家『七夕サブロウ』のコメントにもあった。そう、謎の黒い点があったと。
世界の多くの人が、自分の撮った写真をまさに膜のあくほど調べたのである。そして、多くの情報がネットを行き交った。あにはからんや、そもそも黒い点は20年ほど前からあったようだと。
およそ100日の間に、世界で512箇所の黒い点が確認された。それは10日で5箇所の割合で増えている。
そして、3年経った時には2560個所に増えて、今は止まっている。
出現の数は、人口に比例しているようだと、研究発表があった。
すなわち人口の多い都市の周辺は、何もない海上より多い。
「あれは何だ! 」
「宇宙からの侵略ではないか! 」
「黒い点が大きくなって、この世界を飲み込むのだ! 」
「単に誰かが、ペンキで塗ったのさ! 」
ドローンを近くに飛ばして観察した報告が、ネットを賑わした。
この時代には、ドローンは個人でも所有できていた。
黒の点の大きさは2から5メートルほど、厚みはない。すべての光を通す。反射率はゼロ。
表面はなぜか揺らいでおり、波紋が見られる。布のようなものとも言える。
そして、点ではなく膜状なので『黒い膜』と呼ばれるようになった。
世界各地に出現した『黒い膜』の高さや位置を調べたが、ランダムで規則性は見られないことがわかった。
ただ、サハラ砂漠の真ん中で発見された『黒い膜』は、地上10メートルにあったため、一躍有名になった。容易く近づけるため各国が調査隊を送った。ただ黒い布が空中にあると思うほどに、つまらないものであったと調査結果が上ってきた。。尖ったもので突くと、裏側に切っ先が出てくる。拳を突っ込むと素通りする。
容易に観測の手が届くところの黒い点も、次々と発見され多くの研究者が群がった。そして、世界に情報が発信された。




