↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/30

第二十四話 『黒い膜』から新しい世界へ

前を行くイチローの肩越しに、灰色の道が見える。左右には白い霧のようだ。幼子が、道を逸れてみようとしたら、柔らかい何かに押し戻されたようだ。


「何か、柔らかい壁にぶつかったみたい」

「おいおい、あぶねーよ」


小さな子供は予想外の行動をするものだ。


10分ほど歩くと、前方に白いドアが見えた。イチローが前に出てドアの前に立つと、左右に自動で開いた。全員がドアを通って、前に出ると、


「「「うわー!」」」


目の前に緑の草原が広がっていた。

清々しい草原の匂いが、そよ風に乗って我々の鼻孔をくすぐる。


来たよ! 最善の結果を迎えることができた。

うれしい。


我々は、しばらく呆然と立ち尽くした。


そして、最初の一歩をイチローが進めた。ユウ、大宮くんと手を引かれたココロ、サトシ。最後に僕が荷車を曳いて草原に足を進めた。カレンもおとなしく従っている。



一度、皆を集めて異常の有無を確かめる。大宮くんが幼子の手を握っている。

とにかく、即死は免れたようだ。やはり、悪意は無かった。



そこは広い草原だった。南北はわからないが、前方の遠くに海らしき青いところが見える。後ろにはブッシュとその先には森がある。そして見上げるほどの大きな山々が迫っている。

真上に太陽がある。といっても眩しいので、ちらっと見ると3つあるようだ。時間を置いて再度見てみると位置が変わっている。巴に回っているようだ。一つは白く、2つ目は黄色、3つ目は青く光っている。


右のほうに目を向けると、大きな白い球体が見える。地球で見かける昼間の月のようなもの。あぁ、あれはきっとこの星の月なんだ。

空は青い。白い雲が流れてゆくのも、地球と変わりない。そうだ、ほとんど地球の環境そのものと言える。

万歳だ。


さて、引いてきたリヤカーの中身を大まかに確認する。大丈夫だ。積んだそのものがあるようだ。

『黑い膜』を通過できなかったものはなさそうだ。

それと、カレン。ユウに引かれて一緒に潜ってこれた。

子供たちは大人しく座って空を眺めていた。イチローとユウは右へ左へとうろうろしている。



20分ほど、周囲に見惚れた時を見計らって、


「おーい。皆集まって!」俺は皆に声をかけた。

「幸い即死することもなく、新たな地にたどり着くことができた」


「「「おぉぉ」」」

「ワン、ワン」


急いては事を仕損じる。


「とりあえず、お茶にしようか?」


荷車から、テーブルと椅子、コップ、ヤカン、コンロ、茶葉などを取り出して、お茶会の準備をする。

茶葉は『ほうじ茶』。子供が居るからね。

 (クッキーもあるからねと、ココロちゃんが荷物の中から取り出した)


皆、それぞれ自分のカップを持って、ほうじ茶を満たし椅子に座った。

カレンにも水とジャーキーを一つ与えた。


「そこでだ、俺の使命は皆と一緒に『黒い膜』を潜行することだった。今こうやって、新しい世界に着いた訳で、俺の使命は終わった。だから、皆自由だ」


(夢は手繰り寄せて手にするものだ。手に入らないものは夢ではなく単に妄想だ。夢に淡い幻想を抱く、それは妄想そのものではないか。我々は、今日ここに夢を手繰り寄せることができた。はて?、では我々が選ばれた理由はなんだったの?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。