第十三話 チーム『タイムズ』
俺達6人のチーム名を『タイムズ』にした。花言葉「勇気」「活力」にあやかった。
ここは、某政府機関の会議室。
調査隊の打ち合わせだ。部屋には俺と大宮君の二人。
子供たちが来るまで、二人で会話を楽しんでいる。といっても爺さんと娘の会話だけど。
「ココロはね。夜のコンビニの横で蹲っているのを保護したの。精神が混濁していて、名前も家も何も覚えていない状態だったわ。その時の内科医が私。まあ、色々調べてもらったけど結局何もわからないまま1年が経ったわ。その間、私と一緒に生活したわ。素直で良い子よ。ただ時々何かに怯えたような仕草を見せることがあるの。でも問題は無いわ」
「サトシは余命3年しかないので、この『黑い膜』の向こうにかけたいと、両親が連れてきたよ。本人は天才で既に人生を達観していたように見えた」と俺は話を続けた。
「そうね。私は『マッドオオミヤ』と揶揄される程の危険な外科医なの。周りから見た目ね。自分では至極真っ当な医師だと思っているけど。まあ、この世界に愛想が尽きたというか、新しい世界を見てみたかったというのが本音」
「俺は、システムエンジニアで40年働いて、定年後暇を持て余していたところ、旧友から誘いがあってね。俺も新しい世界を見てみたかった。念願は叶ったと言うか、これからだけれどね」
「イチローとユウのことは、推薦書から読み取って、俺自身で身辺調査をしたよ。まあ極普通の高校生だった。なぜに志願したのか不明。あえて聞かないでおこうと思う。どう?」
「うん。賛成。なんたって思春期は情緒不安定な時期だものね」
パタパタと廊下を歩く複数の音が、ドアの前までやってきた。
トントンとノックがして、事務担当の大野クズメさんが顔を覗かせた。
「皆さんをお連れしました」
大野さんが、身体をずらして子供たちの入室を促した。
6歳の田中サトシ、5歳の大宮ココロ、17歳の柏木イチロー、16歳の鏡見ユウ、が入ってきた。
「さて、みんな揃ったかな? 一応俺がこのメンバーのリーダを務めることになった。改めて自己紹介をしておく。俺は鈴木ハジメ 67歳。爺さんだ。家族とかファミリーとかの関係を強要するつもりはない。呼び名はスズキでもいいし、’じいじい’でもいい。」
ココロが俯いて小さな声で「・・じいーじいー・・」といった。
「私は、大宮ケイコ。母親代わりなんて御免だわ。面倒はかけないでね。呼び名はケイコかお姉さんで頼むね。この子は大宮ココロ、私の娘。よろしくね」
「僕は田中サトシ。サトシでいいよ」
「私は、鏡見ユウ。ユウで良いわ」
「僕は柏木イチロー。イチローで良いよ」
自己紹介は、簡単でいい。おいおい知ることになるのだから。色眼鏡はないほうが良い。
自己紹介って、聞いている人たちに自分への接し方をお願いすることだよね。
『私はこうこうだからそれを知って付き合ってね』って。
至極、真っ当なことだけど、自己評価が低い人は多くを語らず、見栄はりは多くを語る。受け取る側もそれに応じて対応するので、まあ相殺されるのかな。




