第十話 田中サトシの余命は3年
サトシは天才。
だけど、6歳になった今も一日18時間の睡眠が必要だ。
6時間しか覚醒できないので、普通の学校には通えない。そのようなわけで学校からは特別支援学級への編入を促された。
IQは200以上。
一日中寝ているようなのに、どこで知能を得る機会があるのだろうか?
母親の献身的な保育がなしえたことなのか?
日中の一時間ほどは、パソコンを弄ってトレーダーをやっている。
4歳の時、母が僕の口座を作ってくれた。あれから2年、13億ほどの資産となっている。
資産はある。学校に行かなくても、社会に出て働かなくても問題ない。
ひょっとして、あの『黒い膜』に通してもらえば、過多睡眠症が治るのではないか?
癌や難病の幾つかの症例が完治したとの噂もある。そんな思いが家族には有ったようだが、多くの患者が待っており、とても自分たちにその機会が回ってくるとは思えなかった。
そこに、『未知のゲート管理研究所』から案内があった。
サトシの親は、渡りに船とは、このことかと一瞬喜んだが。
しかし、『黒い膜』に取り込まれたら、2度とサトシと会うことができない。
でも、このままでは余命3年と診断されているので、選択の余地はないと・・・。
もしかして、あちらの世界があるとして、サトシが元気になるかもしれない。
このまま死を待つか、一縷の望みに賭けるか。
両親とサトシは選んだ。一縷の望みに。




