↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸運の転生者がのんびり異世界を救います~悪人に不運をプレゼント。ぽっちゃりですが三人の王女に溺愛されています~  作者: ゲンタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/117

第84話 三つの柱が、揃った

ある日の執務室――


「レオナ、王都で武芸大会を開かないか?」

俺は彼女に提案した。


「武に優れた人物を見つけ出し、武術の師範として招きたい。剣や槍の技術を高め、騎士や兵を指導してもらえれば……我が国の騎士や兵も一段と強くなると思う」


レオナの目が輝いた。


「名案ですね。さっそく準備にかかります」

言い終わる前に、レオナはもう立ち上がっていた。


「エリュシア、エルディア国に弓の名手はいないかな。期間限定でもよいので我が国の弓兵を指導してもらいたいのだ。女王に相談してもらえるか」


エリュシアが顔を上げた。

「もちろんです。さっそく母と相談してきます」


「できれば、武術大会で弓の模範技など見せてもらえると助かるのだが」


「それもお願いしておきます」


「ケイス、剣も槍も弓も、私に敵うものはおらんぞ」


「レグニアに武術指導を頼みたいところだが……」


俺は少し言葉を選んだ。

「強すぎる者が教えると、兵が自信を失ってしまうこともある。程よい強さの武芸者の方が、指導には向いているかもしれない」


レグニアは特に反論しなかった。

「……それはそうかもしれない」


「それよりレグニア、別の役目を頼みたい。旧ソレイユ王国の様子を探ってきてほしいんだ」


レグニアは真剣に頷いた。

「承知した。あの国が今どうなっているか、私も気になっていたところだ」


***


数週間後――


王都に大勢の観衆が集まり、武芸大会が開幕した。

大広場には仮設の観覧席が並び、兵士や騎士だけでなく、農民や商人たちまでが押しかけている。


「思ったより集まりました」

レオナが報告に来たとき、その顔は隠しきれない嬉しさで満ちていた。


レオナは緋色の礼装を身にまとい、堂々と宣言した。

「本日は武芸大会にお集まりいただき、感謝いたします。まずはエルディア国より招いた弓の名手の妙技をご覧あれ」


観衆が息を呑むなか、弓の名手が立ち上がった。

距離百歩、二百歩と的から離れていくが、矢は風を切り、寸分の狂いなく的を射抜いていく。


観衆から、低いどよめきが広がった。

三百歩、四百歩、そして五百歩。


誰もが無理だと思った瞬間、矢は一直線に飛び、小さな的の中央に突き刺さった。

さらに矢をつがえ、二の矢、三の矢……すべてが的を貫いた。


「すごい……」

「本物だ」

「エルフの弓の腕前は、別格だな……」


声が、あちこちから漏れた。

拍手が、波のように広がっていった。


エルディア国との縁もあり、弓の名手は一年間限定でアーサー王国の弓兵を育てることを承諾してくれた。


***


続いて、剣技の試合が幕を開けた。


各地から腕自慢の剣士が集う中、とりわけ注目を集めたのは北方のノルド王国から来た剣士たちだった。


軍事国家として知られるノルド王国では、武を極めることが生き方そのものとされており、多様な流派と剣技が日々磨かれている。


短剣による素早い連撃、長剣による力強い斬撃――その戦いぶりは、まさに戦場で鍛え上げられた実戦の技だった。


観客たちは固唾を呑み、一太刀ごとにどよめきを上げる。

しかし、最終的に勝ち残ったのは意外な二人だった。


ひとりは――"ぽっちゃり剣士"。

丸い体躯で愛嬌のある姿だが、剣の動きは独特だった。


常に円を描くように身を運び、最小限の動きで攻防を完結させる。

まるで舞のような剣技に、観客も騎士たちも目を奪われた。


「……本物の剣技だ……」

グレンが思わず呟くほどの見事さだった。


もうひとりは"小柄な女性槍使い"。

彼女の槍は変幻自在に見え、まるで槍そのものが曲がっているかのような錯覚を起こさせる。


あまりの速さと的確さに、相手は一度も槍先を掠らせることすらできなかった。

その運歩は絶妙で、相手が攻撃を繰り出しても、常にぎりぎりの間合いでかわしていた。


「……相手の動きを完全に見切っている……」

騎士たちからため息が漏れた。


(ぽっちゃり剣士と小柄な槍使い……見事なものだ)


俺は壇上に立ち、二人に賞金を授けた。

「素晴らしい武芸を見せてもらい、国民を代表してお礼を言う」


さらに続けた。

「二人にはアーサー王国の武術師範をお願いしたい。剣と槍の技を、我が国の兵たちに伝えてほしい」


二人が深く頭を下げ、武術師範を引き受けてくれた。

会場の空気が、一気に温まった。


***


こうして弓、剣、槍――三つの柱をもつ指導体制が整った。


「これでアーサー王国の兵は、短期間で武技が大きく向上しますね」

ノエリアが微笑んだ。


「少しはお役に立てたでしょうか。母への報告が楽しみです」

エリュシアが満足そうに微笑んだ。


レオナは腕を組みながら満足げに言った。

「必ずや最強の軍を育ててみせるわ」


グレンが隣で静かに頷いた。

「……私も、稽古に混ざらせていただいてよろしいでしょうか。正直なところ、今日の二人には、大いに刺激を受けました」


俺は頷きつつも、胸の奥で呟いた。

(レオナは……将軍になりたいのだろうか。王妃なのだが。思い込んだら一直線なところは、相変わらずだ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。