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学園長の場合
頭の痛い生徒が卒業する時はとても誇らしい気分になる。
この学年には頭の痛い生徒が多かった。
殿下にキャナル、ミスティアにアリアル、そしハスレ。
ハスレは成績優秀なのに絵画への執着が激しく、学園をも巻き込んだお家騒動を広げてくれた。
どうしても画家になりたいハスレと絶対許さないという両親。
美術の教師達がハスレの味方になったものだから騒動は大きくなるばかりであの時は本当に困った。
結局は両親が折れ、ハスレはさる著名な画家に弟子入りをすることに決まった。
両親が折れたと言っても勘当しただけだが。
ハスレの顔を見ると、本人は誇らしそうに卒業生の列に並んでいる。
いつか彼の絵を1枚、買いたいと私は思っている。
商人の場合
最近貴族からのお呼びがかからなくなっている。
そのせいか、売上が半減してきている。このままでは不味い。なんとかしないと!!
ミスティア様に会うべく公爵家を訪れた。
中には入れてもらえず、通用門で待たされ、執事が出てきた。
「ミスティア様はお元気でしょうか?」
「もう、こちらにはおられません」
「どういう事ですか?」
「言葉のままの意味です。あなたはこの先、貴族から声がかかることはないかもしれません」
「どういう意味ですか?」
「お嬢様は二度とお戻りになりません。あなたの従者は元気でお過ごしですか?」
「従者・・・」
「あなたは被害者でしょうか?加害者でしょうか?どちらにせよ関わってはいけないことに関わったことは間違いないでしょう。では失礼いたします」
どういうことなんだ・・・?
宰相の場合
エイデン殿下の結婚式まで後2ヶ月。
準備は殿下とキャナル嬢がしているので心配はしていない。
が、ここに来て不平不満を零す貴族が現れた。
何事かと聞いていると、くだらないことばかりだ。
殿下の差配で席順も決まっていて、不満を零す者は殿下から遠ざけられた者達だけだった。
「殿下の不興を買った其方達が悪い」
「エイデン殿下は王位継承権を辞退したと!!」
「瀬踏みに引っかかった其方達が悪い」
「そんな!!」
「エイデン殿下が王位継承権を辞退したという書類は初めから用意されていなかった。調べの甘い其方達が悪い」
さっきから『其方達が悪い』としか言っていない気がする。
エイデン殿下はどこまでが計算だったのだろうか?
それともどちらでもよかったのだろうか?
エイデンの場合
ウエディングドレスが出来上がったと聞いたのに見せてくれない。
縁起が悪いと言われれば我慢するしかないが、キャナルの兄や父が見ているのは業腹だ。
軽い報復を考えながら気をそらしている毎日だ。
宰相の元に有象無象の輩が日参しているようだ。
お前たちの席はない。
招待していないからね。
ミスティアの父、公爵も招待していない。
が、アリアルの父親は招待している。末席で。
彼は上手く立ち回った。
娘の異常性を訴え、外にも出れなくなった事を医者に証明させた。
次代の後継者からアリアルを外し、ファルにキャナルの後押しをすることを約束し、献金し、忠誠を誓わせた。
アリアルの父親は1度、アリアルの異常行動の原因を知らないかと訊ねてきた。
勿論正しく、キャナルを叩こうとしたり、蹴ろうとした事、そして私を叩いた事を話して聞かせた。
キャナルを叩こうとする手は要らないと言って袖を切ったことを伝えた。
たまにアリアルの元に行き耳元でコソコソ話していることは内緒だ。
キャナルを害そうと考えるだけでも許せないのに、叩こうとしたり、蹴ろうとまでした。
絶対に許せない。
これからも時折アリアルの元に秘密の訪問する予定だ。
ミスティアは中々楽しい思いを毎日しているようだ。
嫁いだ準男爵は行き過ぎた性交で二人の奥方を亡くしている。
新たに嫁いだミスティアはとても可愛がられ、首輪を嵌められて鎖で繋がれる毎日のようだ。
あー早くキャナルのウエディングドレス姿がみたいなぁ〜。




