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Aクラスの生徒、ハスレの場合
私の名前はハスレと言います。Aクラスの生徒で、一応成績優秀です。
ですが脚光を浴びたことはありません。
殿下とキャナル嬢がすべてを持っていってしまうからです。
この1週間、色々な噂が囁かれていました。
『殿下が学園長ににじり寄った』とか『王位継承権を辞退した』とかいろいろあります。
実際の所はわからないが、試験が実施され、合格さえすれば3学年の時間を自由にできるということだ。
是非とも合格したい。
私にはやりたいことがあります。
絵を描きたいのです。
貴族の趣味としてではなく、絵で生活を立てたいと思っています。
試験さえ合格すれば、美術の先生に教えてもらいながら一年間勉強できるのです。
是非とも合格したい!!
試験会場となる教室へ行くと、Aクラスは全員揃っていました。
勿論殿下も、婚約者であるキャナル嬢もです。
2年生や1年生から参加している子がいる。
私が1年の時からあればよかったのにと心から思ったが、合格は出来なかっただろうなと思ってがっかりしてしまった。
試験開始で国語の問題を解き始めるが直ぐに手が止まる。
何かが引っかかる。けどわからない。
この問題は飛ばして次の問題に手を付ける。
どうしても解釈できない問題が2問ある。
合格ラインの点数は何点なんだろう?
真っ白なジグソーパズルをしている気分になった。
2問は解けないまま時間が来て、直感で答えを書いた。
数学でも同様にひっかけ問題が2問あった。
この問題はあの先生が作ったのだろうと見当がつくと答えが導き出せた。
先生を知るのも大切なことなのだな。
国語、数学、理科、世界史、社会、外国語の試験が2日に渡って行なわれた。
合格者は何人出るんだろう?
教師達の場合
「Aクラスは全員参加しましたな」
「まぁ、想定内です」
「何人合格できるのか楽しみですな」
「合格点は結局何点になったんですか」
「100点満点の90点だそうだ」
「あの国語のいやらしい問題を解けた子はいたんですかね?」
国語の教師が固まっている場所で「おぉおーー」という声が聞こえた。
数学でも聞こえた。
「難問を解けている生徒がいるみたいですね」
「そのようですな」
ミスティアの場合
商人を呼びました。
肝心の従者がいません。
「従者はどうしたの」
「辞表を出して辞めてしまいました」
どういうことかしら?
「彼はわたくしの願いを叶えてくれるのでしょうね?」
「何のことかわかりかねます」
そう物知らずな顔で答えられた。
私の願いを叶えるために姿を消したのならいいけれど、違ったら?
もしかしてお金を騙し取られた?
「わたくし、お願い事をしてお金を預けたのですけれど・・・」
「申し訳ありません。私は何も預かっておりません。なにか証文のようなものがありますでしょうか?」
「証文?!」
「はい。お金を預けたのでしたら証文があると思いますが?」
「そのようなものはありません」
「でしたら私には如何ともし難いです。よければ公爵様にお話を通してみてはいかがでしょう?」
「そっ、そんな事でお父様の手を煩わせるわけには参りません!!」
「でしたら私には解決の方法がありません」
もしかしてわたくし、騙されたのではないのかしら?!
3年Aクラスの担任の場合
「この間の試験の結果を発表する」
ザワザワとした人の声が止むのを待つ。
3人の名前を黒板に書く。
「この三人が合格だ」
「殿下とキャナル嬢とハスレ令息・・・」
「この三人に関して今後、授業参加は自由になる。今回の合格ラインは各教科90点だそうだ。1教科でも落とすと不合格だそうだ」
「凄いな・・・合格できるなんて」
「授業は自由参加だが、美術と音楽の試験は別途受けてもらうことになる。そこら辺は各教科の先生と話し合ってくれ。以上」
またザワザワとした中をゆっくり歩いて教室を出た。
Aクラスの担任として3年目。
3人もの合格者を出して誇らしい気分だった。




