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王妃の場合
我が子のことながら頭が痛い。
陛下のことも頭が痛い。
この親子、立場が逆なら良かったのにと心から思う。
ヘイゼルはどんな気持ちでこの話を聞いているのか心配になってしまいます。
その表情を読み取ったのか、私を見てヘイゼルは言いました。
「母上、私の婚約者であるミミリの妃教育は最後までいかないと思います」
「どういう事ですか?」
「権力志向が強すぎて、教師から✕(バツ)を幾つも貰っています。何度やり直してもその✕が取り除けません。婚約者を替えるか、私こそ王位継承権を辞退するかしなければならないと思います」
「話は聞いていますが、結論を出すのは早すぎるでしょう?まだ時間はありますよ」
陛下とエイデンもこちらの話に加わります。
「母上、あの子は駄目ですよ。婚約者を換えてやるべきです。結婚するベイゼルが可哀想ですよ」
「わしもそう思うな」
「わたくしが知らないなにかがあるのかしら?」
「ミミリは権力志向ではなくて弱い者いじめが好きなんですよ」
「まさか」
「エイデンの言う通りだな」
「ベイゼルも、こういう時は遠回しな言い方をしては駄目だ。はっきり言わないと」
「わかりました。母上、ミミリが王妃になるようなことになったら、公爵相手でもたかが公爵ごときがと言うでしょう」
「そ、そんな子でしたか?」
「上位の者にはいい子に見せるのです。ですが弱い者にはとても強く当たります。私の婚約者であると言って、同世代には酷いことを影でしていますよ」
初めて聞きました。
「角が立たないように婚約破棄する方法はありますか?」
「母上、話を大きくして、あんな子を第二王子の婚約者にはしていられないと解ってもらう方が簡単ですよ」
「ですが、瑕疵がついてしまうでしょう?」
「それでも他の者達が納得出来ないほど酷いんですよ」
「一応宰相には内々(うちうち)で話はしてもらっておる」
「なぜそこまでのことを私が知らなかったのですか?」
「母上の周囲ではいい子でしたからね。私が王位継承権を辞退したと噂が流れた途端、私にも酷い態度でしたよ」
「わかりました。陛下よろしくおねがいします」
「うむ、わかった」
「なので、兄上、私にも瑕疵が付いてしまいました。王位は兄上にお任せいたします」
「新しい婚約者を選べば問題ない程度だろう?」
にっこりと笑った長男はいつもより余裕のある態度だった。
王位継承権を辞退してから仮面が剥がれている感じなのかしら?
キャナルの父の場合
「陛下の話はやはり王位の話でした」
「何と仰っておられるのか?」
「王命下してもいいかな?だそうです」
「お受けしなさい」
「ちょっと待って下さい。嫌ですよ!!」
「もう、お前の我儘でどうにか出来る問題ではない。そもそも第一王子に王位継承権を辞退させることが間違っている!」
「ですがっ!」
キャナルは聞き分けのいい子なのに、王宮に入るのは絶対嫌だと言って聞き分けてくれない。
第一王子を王位継承辞退などさせては問題が多すぎる。
これだけは絶対阻止しなければならない。
「キャナル、いい加減聞き分けなさいませ。あなたが王宮に行くのが嫌なのは分かっていますが、子爵家の娘程度が王を煩わせてはなりません」
「お母様・・・」
「そうだぞ。いくら王と気安い関係だと言っても、相手は陛下なのだ」
「そんな〜〜・・・」
「父親として命じる、今度陛下に王妃になって欲しいと思われるような言葉を言われたら快く受けるように!」
「そんな・・・」
「曖昧な言葉だったとか、王妃という言葉がなかったとかそういうごまかしは聞かないからな!しっかりお受けしなさい」
「ひどい・・・」
本当にこの子は何故ここまで嫌がるのだろう?




