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たかが子爵家のキャナル  作者: 瀬崎遊


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ある国語教師の場合


 全学年の問題なんて、なんて楽しいんだ。

 簡単には解けない問題を出してやろう。

 なるべく意味のつかめない問題を作った。

 他の国語教師にこの問題は使えないと却下されてしまった。

 

 無念!!

 

 他の教師に解説を加えながら問題の意図を説明するが、この問題はやりすぎだと、また却下された。

 くそっ!

 何問も作って通ったのは極普通の問題だった。

 腹立たしい。

 最後の1問、点数加算されなくてもいいので最初に作った問題に加えて欲しいとお願いした。

 点数加算しないことを約束し、2問追加出来ることになった。




宰相の場合


 こう言ってはなんだが、陛下は凡庸である。

 平和な世の中なのでなんの問題もない。

 自分の凡庸さも自覚されているので、無理を通そうとはしないことは美点だ。


 その点、エイデン殿下は有能だと思われる。

 陛下のお手伝い程度でも、キラリと光るものが見え隠れする。

 ただ、婚約者のことになると冷静でなくなるのが良くない。

 いや、計算されて動いているのか・・・?


 婚約するためにいきなり王位継承権を辞退したり、結婚式を早めるために彼方此方に手を回した。

 やれるものならやってみろという気分で承認したら、さっき入ってきた情報では時間を捻出するために学園に通わなくていいように3年生を飛び級する試験の実施を学園長にねじ込んだようだ。


 もしかすると本当に来年の6月に式を上げてしまうかもしれない。

 公爵に臣籍降下されるととても困るのだが・・・。

 陛下に頑張ってキャナル嬢を説得してもらわねばならない。

 ため息が出てしまった。また幸せが逃げたか?


 キャナル嬢もキャナル嬢である。

 王妃にはなりたくないと、頑として婚約を受け入れなかった。

 お菓子やジュースで釣ってみたが駄目だった。 学園でも、王妃教育でも満点の成績を弾き出しているのに何がそんなに嫌なのか、是非教えて欲しいものだ。


 はぁ〜〜〜。またため息が漏れてしまった。

 平和な悩みよな。

 はぁーーー・・・。




王の場合


 王は窮地に陥っていた。

 飛び切りの笑顔の長男であるエイデンが私の目の前に居る。

 夕食の席で楽しく食事を取っていたはずだった。


 エイデンがキャナルの事を口にするまでは。

 妃も、子供達も、これには触れてはならないことがわかっているのか、知らん顔をしてデザートを食べている。


 グイと私の顔の前に顔を寄せてくる。

「エイデン近いよ・・・」

「父上、今日、キャナルを呼び出しましたね?」

 エイデンの笑顔で冷ややかな顔が怖い。

「いや、わしは・・・」

 助けてくれそうな相手を探すがやはり誰もいない。

 というか、エイデンの顔しか見えない。


「キャナルは王妃になるといいましたか?」

「いや・・・言っとらん」

 うわぁーー飛び切りのイイ笑顔になっておる。

「でしょうね」

「だがな、時間いっぱいまでわしが説得するのはわしの自由だろ?!」

 わしも負けじと頑張っておるところを見せねば。

「そう、ですね」 


 エイデンが自席に戻る。

 ホッと息が漏れた。

「キャナルが、王妃になってもいいと了承したら、エイデンも王になる覚悟を決めるか?」

「王命とかの無理やりじゃなければいいですよ。でも、キャナルが『うん』と言うかな?今まで無理だったのに・・・」


 エイデンが可能性がなんとかと言っておるがわしには聞こえなかった。

 これが聞こえていたらもっと簡単にキャナルを説得できた。残念だ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 暗黒微笑を視界いっぱいに迫られる王様の胃が無事なことをお祈りします。あと宰相ガンバ!胃薬差し入れたい。
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