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第0話 外では他人、家では夫婦――秘密の結婚生活の始まり


おはようございます。


この物語は――

「推しに“結婚したい”と言い続けたら、本当に結婚してしまったらどうなるのか?」

という、ちょっと非現実で、でもどこか憧れてしまう関係をテーマにしています。


いきなり夫婦から始まる少し変わった構成になっていますが、

ここから“出会い”へと遡っていきます。


甘めの新婚生活と、秘密の関係、そして少しのドキドキを楽しんでいただけたら嬉しいです。


もし少しでも「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや評価をいただけると、とても励みになります。


それでは、第0話をお楽しみください。



「いってきます」


「……いってらっしゃい」


玄関で交わす、たったそれだけの会話。


でも――


扉が閉まった瞬間、俺たちは“赤の他人”になる。



大学へ向かう道。


周りから見れば、俺はただの普通の大学生だ。


そして彼女は――


テレビやアニメで毎日のように声を聞く、人気声優・みのり。


本来なら、同じ空間にいることすらおかしい存在。


だけど。


「……ふふ、ちゃんと演じられてた?」


夜、家に帰ると彼女はそう言って笑う。


「ギリギリでした……」


「顔に出てたよ?」


「嘘でしょ……」


そんな会話ができる距離にいる。


なぜなら――


「はい、お疲れさま」


差し出されたマグカップを受け取る。


自然な動きで、隣に座る。


「……今日も頑張ったね」


そう言って、そっと肩に寄り添ってくる。


距離が、近い。


近すぎる。


「……みのりさん」


「なに?」


「こういうの、まだ慣れなくて……」


くすっと笑う声。


そして――


「夫婦なんだから、慣れてもらわないと困るな」


さらっと、とんでもないことを言う。


そう。


俺たちは――


結婚している。


交際期間、0日。


恋人ですらなかった関係から、いきなり“夫婦”になった。


しかもそれは、誰にも言えない秘密。


外では他人。


家では夫婦。


そんな歪で、でも確かに温かい関係。



「ねえ、潤一郎くん」


「はい」


「……あの時のこと、覚えてる?」


不意に、彼女がそう聞いてきた。


「あの時……?」


「漫画喫茶でさ」


一瞬で思い出す。


あの場所。あの言葉。


人生が変わった瞬間。


「……はい。忘れるわけないです」


「だよね」


彼女は少しだけ照れたように笑う。


「まさか、本当に結婚するとは思ってなかったでしょ?」


「……正直、夢だと思ってました」


「私も」


そう言って、ふっと視線を落とす。


そして小さく呟いた。


「でもね」


「……?」


「ずっと言われてたから」


「え?」


「“結婚したいくらい好きです”って」


心臓が止まりそうになる。


「最初はびっくりしたけど」


「そのうち、嘘じゃないって分かってきて」


「……気づいたら、ちゃんと考えてた」


ゆっくりと顔を上げる彼女。


その目は、あの時と同じだった。


「この人となら、いいかもって」


言葉を失う。



「だからさ」


彼女は、少しだけ悪戯っぽく笑って――


「もう一回、最初からやり直す?」


「え?」


「出会いから。全部」


意味が分からず固まる俺に、彼女は続ける。


「ちゃんと順番通りじゃなくていいでしょ?」


「私たち、最初からおかしいんだから」


確かにそうだ。


普通じゃない。


でも――


「……はい」


頷いていた。


「じゃあ決まり」


彼女は立ち上がり、振り返る。


「次は“出会い編”ね」


その言葉に、自然と笑みがこぼれた。



――これは。


推しの声優に「結婚したい」と言い続けた俺が、

本当に結婚してしまった話。


ありえないはずの関係が、現実になった物語。


そして――


すべては、あの夏の握手会から始まった。



第0話を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は“すでに結婚している状態”からスタートしました。

ここから第1話では、すべての始まり――握手会での出会いへと繋がっていきます。


なぜ人気声優である彼女が、

ただの大学生である主人公のプロポーズを受け入れたのか。


その理由や心の変化も、これから少しずつ描いていく予定です。


この作品は

・交際0日婚

・年の差恋愛

・秘密の夫婦生活

といった要素を中心に、甘さ多めで進んでいきます。


「面白そう」「続き読みたい」と思っていただけましたら、

ぜひブックマーク・評価・感想などいただけると嬉しいです。


次回、第1話「出会い--あの夏の握手会」もよろしくお願いします。


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