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閑話①(前編)「再会――変わらない名前と、変わっていく今」


カフェでの話し合いのあと。


「じゃあ、また後でな」


壯介が軽く手を振る。


「え?」


潤一郎が首を傾げる。


「今日は別件ある」


そう言って、壯介はスマホを見せる。


『小学校同窓会・本日開催』


「……同窓会?」


「うん」


そして、隣でみのりが小さく目を丸くする。


「私も呼ばれてる」


「え?」


今度は潤一郎が固まる番だった。


「同じ小学校だし」


さらっと言う。


「……そうでしたよね」


忘れていたわけではないが、あまりにも情報が多すぎた。


――数時間後。


地元のカフェを貸し切った会場。


「うわ、ほんとに来てる!」


「壯介じゃん!」


「え、あの子誰?」


ざわつく空気。


集まっているのは、かつて同じ組だった仲間たち。


東野衣織、磯部興毅、植村勇登、岡本真依、柏木和真、岸辺次郎、楠木真梨。


名前を呼び合うだけで、少しずつ記憶が蘇っていく。


「久しぶりー!」


岡本真依が手を振る。


「相変わらずだな、お前ら」


壯介が軽く笑う。


その隣で、みのりは少しだけ緊張した様子だった。


「……覚えてる?」


「うん」


すぐに誰かが声を上げる。


「え、もしかして……みのりちゃん?」


「うそ、あの声優の?」


一瞬で空気が変わる。


「マジで?」


「ほんとに同じ小学校だったの?」


驚きと興奮が入り混じる。


みのりは少しだけ笑って頷く。


「久しぶり」


その一言で、昔の距離が一気に戻る。


「すげぇな……テレビの人じゃん」


「変わってねぇな、でも大人っぽくなった」


次々と声が飛ぶ。


その中で、壯介がぽつりと言う。


「お前ら、うるせぇぞ」


笑いが起きる。


――少しずつ、時間がほどけていく。


「そういえばさ」


岸辺次郎が思い出したように言う。


「このクラス、昔から変な組み合わせ多かったよな」


「確かに」


楠木真梨が頷く。


「壯介とみのりとか、絶対接点なさそうだったし」


その言葉に、当の二人が目を合わせる。


「でも普通に仲良かったよな?」


「うん」


みのりが小さく頷く。


「よく図書室で一緒だった」


「え、そんなの覚えてないんだけど」


壯介が笑う。


「お前、絶対寝てた」


「寝てねぇよ」


軽口のやり取り。


周囲が笑う。


「懐かしいなぁ」


「ほんと、あの頃は毎日くだらないことで騒いでたよな」


東野衣織がしみじみと言う。


その空気の中で――


みのりは、ふと潤一郎のことを思い出していた。


(この人たちと同じ場所にいたんだ)


今の自分とは違う時間。


でも、確かに繋がっている過去。


「ねえ」


岡本真依がみのりに近づく。


「今ってさ」


少しだけ声を潜める。


「ほんとに付き合ってる人とかいるの?」


一瞬、空気が止まる。


「え?」


みのりは一瞬だけ言葉に詰まる。


その時――


壯介が横から口を挟む。


「詮索すんな」


一言で空気を切る。


「昔からそういうの好きだよなお前ら」


軽く笑う。


「まあ、元気そうで何よりだろ」


その言葉で、場はまた和む。


「だな!」


誰かが笑う。


「相変わらずだわ」


笑い声が広がる中――


みのりは静かに息をついた。


(危ない)


自然に守られている。


その事実に、少しだけ安心する。


そして同時に思う。


(この人たちの過去があるから、今があるんだ)


――前編、終わり。


同窓会はまだ続く。


そして、この“過去の繋がり”が、さらに物語を動かしていく。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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