表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/49

第15話「共闘――兄が示す“守り方”」


「……で、週刊誌に狙われてる、と」


カフェを出たあと。


少し場所を変えて、三人で歩きながら話す。


壯介の表情が、少しだけ引き締まった。


「はい」


潤一郎が頷く。


「一度、写真を撮られかけました」


「顔は?」


「多分、大丈夫です」


「多分、か」


壯介は短く息を吐く。


「甘いな」


その一言に、空気が少し張る。


「え……」


「相手はプロだぞ?」


鋭い視線。


でも、それは責めているわけじゃない。


「“多分”で動くと、普通に詰む」


現実的な言葉。


「……すみません」


思わず視線を落とす。


すると。


「責めてるわけじゃねぇよ」


壯介が軽く肩を叩く。


「ただ、やり方があるって話だ」


その言葉に、顔を上げる。


「やり方……?」


壯介は少しだけ笑う。


「社会人ナメんな」


頼もしい一言だった。


――その日の夜。


潤一郎の部屋。


珍しく、壯介も一緒にいる。


「まず前提な」


テーブルにスマホを置く。


「週刊誌は“確証”を取りに来る」


「疑いだけじゃ記事にしない」


みのりも真剣に聞いている。


「つまり」


壯介が指を立てる。


「“決定的な証拠”を取らせなきゃいい」


シンプルだけど、本質だった。


「じゃあどうするか」


スマホに地図を表示する。


「行動パターンを分散させる」


「……分散?」


潤一郎が聞き返す。


「同じ時間、同じ場所、同じルート」


「これが一番狙われる」


確かに思い当たる。


「だから変える」


「時間をずらす」


「ルートを変える」


「合流地点も固定しない」


具体的すぎる対策。


「……すごいですね」


素直に言う。


壯介は肩をすくめる。


「普通だろ」


「社会人ならな」


どこか余裕のある言い方。


「あと」


今度はみのりを見る。


「仕事終わり、気をつけろ」


「やっぱりそこですよね」


みのりも理解している様子。


「事務所出た瞬間が一番狙われる」


「そこだけ別動線にしろ」


「……マネージャーと相談します」


即答だった。


「いいな」


壯介は満足そうに頷く。


「で、最後」


少しだけ声のトーンが変わる。


「もし撮られた場合」


空気が引き締まる。


「否定できる関係性を作れ」


「……え?」


「“ただの知り合い”とか、“親戚”とか」


「逃げ道を用意しとけ」


そこまで考えるのか、と息を呑む。


「徹底してる……」


潤一郎が呟く。


壯介は軽く笑う。


「守るってのは、そういうことだ」


その一言に、重みがあった。


――数日後。


大学帰り。


(……変わったな)


自分でも分かる。


行動が、明らかに変わっていた。


ルートを変える。


時間をずらす。


周囲を見る。


意識が、研ぎ澄まされている。


――その少し離れた場所。


「……あれ?」


戸倉が首を傾げる。


「この前のやつ、ルート変えてるぞ」


「気づかれてる?」


渡邊も眉をひそめる。


「いや……」


戸倉が目を細める。


「単に慎重なだけかもな」


「でも、決定打がない」


苛立ちが見える。


「クソ、証拠が足りねぇ……!」


――回避。


確実に、機能していた。


――夜。


「……すごいですね」


潤一郎が感心したように言う。


「ちゃんと効いてる」


みのりも頷く。


「やっぱり、壯介くんのおかげ」


「だろ?」


当の本人は、あっさりしている。


「まあ、まだ油断すんなよ」


「はい」


「でも」


壯介が少しだけ笑う。


「これで簡単には捕まらねぇ」


その言葉は、確かな自信に満ちていた。


「……ありがとうございます」


潤一郎が頭を下げる。


「助かってます」


すると壯介は、軽く手を振る。


「家族だからな」


さらっと言う。


でも、その一言が一番強かった。


「守る側、増えた方がいいだろ?」


そう言って笑う。


その背中が、やけに頼もしく見えた。


――こうして。


二人の秘密は、さらに強く守られる。


そして。


週刊誌との攻防は、次の段階へ。


“追う側”と“逃げる側”。


その戦いは、まだ終わらない。 



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ