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―――おじさまと、わたしと、アーノちゃんと、小春ちゃんとで家族写真のようなものを撮った。
よく考えたら初めての家族写真だー! うれしいなー!!
わたしもデータをもらって、スマホの待ち受けにしたった! えへへへへ、うれしいなー!
あと、パーティーに出る日が決まった。もうほんとに仕事が早すぎる。一ヶ月後だってー。招待客のみなさんも準備があるから、最低でもこのくらいの時間は必要らしい。
その間に、本家の一室を改造してスタジオにするらしい。本家の庭も写真撮るときに使って良いから、かなり、えーと、なんていうんだろ、大正ロマン? っていうのかな? そんな感じにもなるよ。
学校には鬼原専属のモデルとして契約したとおじさまが伝えたようだった。保護者が副業を申請すると学校側の許可が出るらしかった。
そしておじさまが言うには、「巫女として鬼原家の者だと公になると言うことは、当主とはまた別枠だけど鬼原を担う者になるということだからね。分家に一目置かれるようになるよ。それに鬼原本家に入りたい分家とかが声をかけてくるかもしれないから、そこは注意するようにね。まあ本家の小春様の力は昔から分かっているだろうから、いやなことはされないと思う」と言われた。
あー、本家に入りたい分家って、あの人―――母親のことね―――みたいな人のことか。なんか必死だったしなー。本家に入るといいことあるのかな? なんもわからないけどね。まいいか。
そんな感じで色々して寝たわけだけど、朝起きたらびっくりしたよね。
―――おはようございます。七時です。ニュースのお時間です。
きょう未明、〇〇県〇〇拘置所に収監中の〇〇死刑囚、〇〇死刑囚、〇〇死刑囚、〇〇死刑囚、〇〇死刑囚、〇〇死刑囚が死亡しました。病死と見られます。
拘置所内に感染症がないかなど、詳しい検査をしています。
……えっ?
そそ。このニュースにびっくりしたんだよね。これ、隣の県どころじゃなくけっこう遠い場所なんだけど?
わたしは家にいたし……誰かほかにいるのかな? とか思ったんだけど、もしかして、アーノちゃん死神になったからできるようになった?
今隣にいるねえ。
「……アーノちゃん? おはよう。昨日どっか行ったの?」
アーノちゃんはなんか照れくさそうに微笑んでる。
『トセ、おはよう。昨日夜ちょっと遠出してみたよ。違うところの死刑になる予定の人たち見に行ってきた』
『千歳、アーノ、おはよう。アーノ、今のニュースじゃが、お主が一人でやってきたのかの? もう一人でできるようになったのかの?』
「あ、小春ちゃんもおはよう。そうそう、それが聞きたかったのさ」
『うん、出来るようになったの。普通の死神とはまた違うみたいなんだけど、冥界の王様はいいって。死が決まっている状態だが、他人の意志でそれが延ばされている場合はさっさとやってもらった方がいいし、お主なら出来るって』
『……ふむ。やはり普通の死神とは少々違うのじゃな。千歳の魂と同調してワラワとの絆もある分、より人間よりというか、待つだけじゃなく狩ることが出来るようになっているのじゃな』
『うん、冥界の王様は死ぬのが決まっているのにずっと冥界に来ないのがやだって。どうせくるなら仕事したいって言ってた。で、さっさと終わらせて休暇取りたいって』
「へええー、そうなのか。冥界の王様も大変だよねえ」
『それだけじゃないのじゃろ? 千歳になにか疑いがいかぬように、遠いところのものを狙ったのではないのかの?』
「え、アーノちゃんそうなの!?」
『えへへ、トセになんかあったらやだなって』
ええー!! うれしい!! アーノちゃんったらわたしのこと守ろうとしてくれてわざわざしてくれたのかぁ!
ええええーもう、もうっ!! アーノちゃん大好きだよぉ!
「うれしい、アーノちゃん、大好きー!!」
きゃっきゃしてアーノちゃんに抱き着いたら予想外の濃厚なキスをいただきました……。
え、まだ朝だしっ? ちがっ……くて、……そんな気じゃ……あっ、
『全く朝から仕方がないの……』
部屋から出ていく小春ちゃんの音を聞きながら、息も絶え絶えにアーノちゃんにすがる。
「あっ、あっ、アーノちゃ……ん……待って、待って……がっこう……やんっ……そこ……こりこりっ……だめぇ……っ……」
『トセ……』
「……っ……はっ……あっ……」
『トセ、少しだけ……』
……結局いちゃいちゃしちゃいました。
んもーう!! 学校に遅刻しちゃう!! 全然少しじゃなかったし! ……別に全然いやじゃないけどねっ?
『ほらそろそろ行かないと遅刻じゃぞ』という小春ちゃんのノックに慌てて身だしなみ整えて学校に行くことになっちゃったんだ。忙しすぎ。
―――まあ間に合ったんだけど、あまり今まで走ったりしないから目立っちゃった気がする。
あと学校では全然知らない人に敬語で話しかけられた。なに? ナンパ? とか思ってたら、「あの、突然すみません。分家の木原から本家の鬼原になったのですか?」と聞かれた。
本家と分家と知ってる人、ってことは分家の人なのかな? 同じ学校に他の分家の人いたんだねー! 全然知らなかったや。
ちゃんと、「そうですよー。これからもよろしくお願いしますね」と答えておいたよ。
あとマックのバイトは辞めることにした。バイト帰りに待ち伏せされてアーノちゃんと出会ったから、もしかするとバイトから個人的に調べている警察の人とかわたしに繋がったりしたらいやだからね。念のため。
―――そうこうして学校から家に帰ってくると、宣伝写真撮影しますよって言われた。
うおー! 宣伝写真とか本物みたいですごーい!!
着物姿の写真と、和装リメイクの洋装というか大人ロリデザインのかわいらしいかつ上品なワンピースを着たよ。
アシンメトリーの半分のスカートがふわふわで、ふわふわじゃないほうが和装なんだけれど、和装は今回は薔薇だった。ほんとに上品だよ。季節によっても柄を変えるのもそれこそ着物になるから面白いね。
写真撮り終わってゆっくりしていたら、スマホにポコンていうあまり聞き覚えのない音鳴ったなー、と思ったら確認してみたら、死神に昇格できますよという案内メールだった。
え、これわたし宛だよねえ……?? 死神に……? どういうこと??




