奴隷村に灯る光
奴隷村に新たな産業――鉄が生まれた。
鉄鉱石が掘られ、炉が築かれ、良造の鍛冶場からは連日金属を打つ音が響いている。村人たちは皆、これまでにない未来への期待に胸を躍らせていた。
そんな村の賑わいの中、大地は久しぶりにツルハシを肩へ担ぎ、採掘場へ向かっていた。
もちろん目的は、鉄の原料となる鉄鉱石の採掘である。
採掘場の入り口では、朝から村人たちが慌ただしく動き回っていた。荷車代わりのウミウシに資材を積み込み、今日の採掘場所を確認する者、道具を配る者――その中心で指示を飛ばしているのは千萩だった。
すっかり現場監督が板についた千萩は、手にした木板を見ながら次々と作業員へ指示を出している。
大地は軽く頭を下げた。
「おはようございます、千萩さん。今日からまたよろしくお願いします」
千萩は顔を上げ、大地の姿を見るなり首をかしげた。
「おはよう、大地。……ん? どうした、そのツルハシ」
「どうしたって……今日からまた、この現場でお世話になります」
そう言ってツルハシを軽く持ち上げる。
すると千萩は目を丸くしたあと、呆れたようにため息をついた。
「この現場? 大地、お前……聞いてなかったのか?」
「え?」
「今日から大地は、ルシエルと一緒にゆきさんのところで勉強だぞ。」
「……勉強?」
一瞬、時間が止まった。
「俺がですか?」
「そうだが。」
「何かの間違いじゃないですか?」
「何も間違ってない。」
千萩はきっぱりと言い切る。
「いやいや、俺は採掘なら役に立てますけど、勉強はちょっと……。」
大地は露骨に顔をしかめた。
格闘技の練習なら何時間でも耐えられる。しかし「勉強」と聞いただけで体が重くなる。
そんな大地を見て、千萩は半ば呆れながら腕を組んだ。
「つべこべ言わず、今すぐ村へ戻れ。」
「えぇ……。」
「早く戻らないと、ゆきさんに氷漬けにされるぞ。」
「マジっすか!?」
その一言だけは、拳より何より効いた。
大地は慌ててツルハシをその場へ置くと、踵を返して全力で村へ向かって泳ぎ出した。
その後ろ姿を見送りながら、千萩は小さく笑う。
「勉強から逃げようとするなんて、子どもか、あいつは。」
朝の採掘場に、村人たちの笑い声が広がった。
◇
慌てて村へ戻ると、ゆきの家の前でルシエルが腕を組んで待っていた。
白銀の長い髪を潮の流れになびかせ、頬をぷくっと膨らませている。
大地の姿を見つけるなり、ルシエルは声を張り上げた。
「大地! 遅い!」
そのまま勢いよく拳を振り抜く。
だが――
ひょい。
大地は首を少し傾けただけで、あっさりと拳をかわした。
「またそうやってすぐ躱す!」
「仕方ないだろ。職業病だ。」
「もう!」
ルシエルは唇を尖らせる。
次の瞬間。
「隙ありっ!」
今度は白銀の鱗に覆われた尾びれが、水を切り裂きながら大地の足元を払った。
しかし大地は慌てることなく、ルシエルの肩へ軽く手を添える。
そのまま身体を少し押し返し、自分は一歩だけ後ろへ引いた。
尾びれは空を切る。
勢い余ったルシエルだけが、ぐらりと体勢を崩した。
「ムキーーーッ!」
よろけながら体勢を立て直したルシエルの顔が、悔しさでみるみる真っ赤になっていく。
「なんで! なんで当たらないの!」
大地は苦笑しながら肩をすくめた。
「ルシエルの攻撃、わかりやすすぎるんだよ。」
「えぇ?」
「殴る前に目線が動くし、肩にも力が入る。尾を振る時も腰が先に動いてる。」
大地は自分の目元を指差した。
「もっと視線を工夫したり、動きを小さくしたり、気配を消したり……やることはいろいろある。」
「そんなのわかんないよ!」
ルシエルは半泣きになりながら両手をぶんぶん振る。
その時だった。
大地の身体が、音もなく横へ滑った。
「えっ?」
直後――
「ていっ!」
背後から忍び寄っていたゆきが、大地の頭を叩こうと手を振り下ろした。
しかし狙いを失った勢いのまま――
ぎゅっ。
「きゃあっ!?」
ゆきはそのままルシエルに抱きつく形になってしまった。
二人とも目を丸くしたまま固まる。
少しの沈黙。
大地は額に手を当てて苦笑した。
「ゆきさんもですか……。」
「コ、コホン。」
ゆきは何事もなかったように咳払いを一つすると、慌てず騒がず着物の襟を整えた。
ほんのり頬だけが赤い。
「そ、それじゃあ二人とも……中に入りましょうか。」
まるで今の出来事など存在しなかったかのように家の戸を開ける。
ルシエルはまだゆきに抱きつかれた余韻で顔を赤くし、大地はそんな二人を見て小さく吹き出した。
二人は顔を見合わせ、思わず苦笑するしかなかった。
◇
家の中へ入ると、大地は思わず足を止めた。
部屋の中央には、珊瑚で作られた机と椅子が二組並べられている。壁には畳一畳ほどもある大きな黒板が掛けられ、白い貝殻を削って作ったチョークまで用意されていた。
まるで学校の教室だった。
「すげぇ……これ、ゆきさんが作ったんですか?」
大地が辺りを見回しながら尋ねる。
ゆきは少し照れくさそうに微笑んだ。
「教室はね。机と椅子、それから黒板は良造さんと千萩にお願いして作ってもらったの。」
そう言いながら黒板の前へ立つ。
「普段は私、この村の子どもたちに文字や計算を教えてるのよ。」
気付けば、ゆきはいつの間にか細い縁の眼鏡を掛けていた。
さっきまで頬を赤らめていた女性とはまるで別人だ。
その立ち姿には、不思議と背筋が伸びるような空気があった。
ルシエルが嫌そうに眉をひそめる。
「母ちゃん……本当に勉強するの?」
「当たり前でしょ。」
ゆきは即答した。
「ルシエル。源爺から聞いたわよ。王宮への入場許可証、源爺に書いてもらったんですって?」
「……う。」
「いい加減、自分で文字を書けるようになりなさい。」
「……うぅ。」
痛いところを突かれ、ルシエルは肩を落とした。
大地は隣で苦笑する。
「それはルシエルの話ですよね? なんで俺まで……。」
ゆきは眼鏡を指先でくいっと押し上げ、大地を真っ直ぐ見つめた。
「大地くん。この国の文字を読めるようになりなさい。そして、この国の文字を書けるようになりなさい。」
静かな声だった。
だが、その言葉には迷いがなかった。
「これは、この村を守るために必要なことよ。」
「でも、ゆきさんがいるじゃないですか。」
そう言った瞬間、ゆきの表情が少しだけ厳しくなる。
「私がいない時はどうするの?」
「……。」
「暴力だけじゃ片付かないことなんて、この世にはいくらでもある。」
部屋が静まり返る。
「文字が読めなければ命令書も読めない。契約もできない。地図も残せない。情報も伝えられない。」
ゆきは黒板へ軽く手を添えた。
「知識は武器よ。しかも、誰にも奪われない武器。」
その言葉は、大地の胸へ真っ直ぐ突き刺さった。
ゆきは続ける。
「それに……逢いたい人がいるんでしょ?」
大地の肩がぴくりと震える。
「王国に一人で喧嘩を売るつもり?」
返事はできなかった。
「そんなことをして、この村まで巻き込まれるなんて、私は真っ平ごめんよ。」
「……ぐっ。」
大地は唇を噛み締める。
ゆきの言葉は厳しい。
けれど、その厳しさが自分たちを守るためだということも分かっていた。
「この国の文字を読み書きできるようになる。文化を学ぶ。教養を身につける。」
ゆきは少しだけ表情を和らげた。
「きっと、大地くんが逢いたい人も、今ごろそうして生きているはずだから。」
「……真夏さん。」
思わず、その名前が口をついて出た。
王宮で目を覚ました真夏。
今もどこかで、この国の言葉を学び、この世界で生きようとしているのだろうか。
その姿を想像すると、大地は胸が締め付けられた。
隣ではルシエルが小さく視線を落とす。
真夏の名前を聞くたびに、胸の奥が少しだけ痛む。
それでも何も言わなかった。
しばらく沈黙が流れたあと、大地は深く頭を下げた。
「わかりました。」
そして、もう一度言い直す。
「先生、よろしくお願いします。」
ゆきは満足そうに頷いた。
「よろしい。」
そのままルシエルへ視線を向ける。
「それと、この教室では『ゆきさん』でも『母ちゃん』でもありません。」
ルシエルは一瞬だけ固まった。
「……母ちゃ――」
「はい?」
眼鏡の奥の視線が鋭く光る。
「せ、先生! よろしくお願いします!」
慌てて頭を下げるルシエルに、大地は思わず吹き出した。
「笑わない!」
「ご、ごめん。」
教室に二人の声が響く。
その様子を見つめるゆきの瞳は、眼鏡の奥で優しく細められていた。
今日からここは、二人にとって新しい戦場――学びの教室になるのだった。
◇
授業がひと区切りついた頃、ゆきが教科書を閉じて微笑んだ。
「二人とも、少し休憩にしましょうか。」
そして、いたずらっぽく続ける。
「ルシー、大地くん。気晴らしに外へ出ない?」
「賛成ー!」
ルシエルは椅子から勢いよく立ち上がり、真っ先に外へ飛び出した。
「文字より外のほうが好きなんだから……。」
ゆきが苦笑する。
大地も肩を回しながら立ち上がった。
「お願いします。このままだと頭がパンクしそうです。」
「ふふっ。格闘技より勉強のほうが苦手みたいね。」
「完全にそうです。」
二人は苦笑しながら家の外へ出た。
家の前には穏やかな水流が流れ、生命の樹から差し込む青い光が村を柔らかく照らしていた。
ゆきは二人へ向き直る。
「少し実戦のおさらいもしようか。」
「実戦?」
「大地くんは能力が発現したでしょう?」
ゆきは今度はルシエルを見つめる。
「でも……ルシーも、ひょっとしたらと思って。」
「私は能力なんて無いんじゃないの?」
ルシエルは不安そうに首をかしげた。
「まだ分からないわ。」
ゆきは穏やかに笑う。
「能力は、人によって目覚め方が全然違うから。」
その言葉を聞き、大地は以前の模擬戦を思い出していた。
「そういえば……。」
二人の視線が大地へ集まる。
「あの時、アークが放電した瞬間、光ったと思ってたんだ。でも……。」
大地はルシエルを見る。
「もしかしたら、光ってたのはアークじゃなくて……ルシエルだったのかもしれない。」
「えっ!? 私が?」
ルシエルは自分の両手を見つめた。
「光ってた?」
「確信はない。ただ、そんな気がした。」
ゆきは小さく頷いた。
「じゃあ、試してみましょう。」
ルシエルの前へ立ち、優しく両手を包む。
「ルシー、手を握って目を閉じて。」
「うん。」
「手の中に、小さな灯りが生まれるところを想像してみて。暖かくて優しい光を。」
ルシエルは静かに拳を握り、ゆっくり目を閉じた。
水の音だけが流れる。
しばらく待った。
しかし――何も起こらない。
「ふぅ……。」
ルシエルは肩を落として目を開ける。
「駄目だぁ。やっぱり私には能力なんて……。」
大地は腕を組みながら苦笑した。
「ルシエルってさ、普段から考えすぎなんじゃないか?」
「え?」
「もっとシンプルでいいんだよ。余計なこと考えないでさ。」
ルシエルはむっと頬を膨らませた。
「私は大地みたいな格闘バカじゃないの!」
「格闘バカって。」
「私は知的に戦う、優雅で華麗なマーメイドなの!」
「知的?」
大地は首をかしげる。
「アーク砲発射って…あの戦法が?」
「斬新なアイデアと言ってくれないかなぁ!」
「アークを武器扱いしてる時点で知的じゃないだろ。」
「むきーーっ!」
二人がいつものように言い合いを始める。
その様子を見ながら、ゆきは一人静かに考え込んでいた。
やがて、大地へそっと手招きする。
「大地くん、ちょっと。」
二人は少し離れた場所へ移動する。
ゆきは耳元で小さく囁いた。
「……えっ!? 本当にそんなこと言うんですか?」
大地の顔が一瞬で赤くなる。
ゆきはくすっと笑った。
「多分ね、ルシーにはそれが一番効くと思うの。」
「いやいやいや、無理ですよ!」
「お願い。」
ゆきは両手を合わせる。
「ここは先生のお願い。」
大地は観念したように肩を落とした。
「……分かりました。」
二人が戻ってくると、ルシエルが不思議そうに首をかしげる。
「何? 二人でコソコソして。」
「ルシーは、そのまま動かないで。」
ゆきが微笑みながら言う。
「大地くん、本気でね。」
さらに小さくウインクをした。
「うっ……。」
大地は深呼吸を一つする。
そして真剣な眼差しでルシエルを見つめた。
ルシエルも思わず息を呑む。
「……ルシエル。」
少し間を置く。
「これからも……俺を照らす光になってくれ。」
――静寂。
時間が止まったようだった。
ルシエルの紅い瞳が大きく見開かれる。
次の瞬間。
ふわり――。
白銀の髪が水流に揺れ、その胸元から小さな光の粒が一つ、また一つと浮かび上がった。
まるで夜の海を舞うホタルのように。
「……え。」
ルシエルは震える手で光へ触れる。
「あったかい……。」
光は冷たい海の中とは思えないほど優しく温もりを帯びていた。
両手で包み込むと、粒は淡い金色へ変わり、ゆっくりと周囲を照らし始める。
青い海の中に、小さな太陽が生まれたようだった。
「これが……私の能力……。」
ルシエルの声は震えていた。
ゆきは嬉しそうに頷く。
「おめでとう、ルシー。」
光に照らされた娘を見つめながら言う。
「私の思った通り。あなたの能力は――『光』みたいね。」
そして大地にも笑いかける。
「大地くんも協力してくれてありがとう。」
大地は両手で顔を覆った。
「めちゃくちゃ恥ずかしかったっス……。」
耳まで真っ赤になっている。
ルシエルも同じくらい真っ赤だった。
「…………。」
二人とも目を合わせられない。
その様子にゆきは思わず笑ってしまう。
しかしその瞬間、光がふっと消えた。
「あっ!」
ルシエルが慌てて手を開く。
「消えちゃった……。」
「大丈夫。」
ゆきは優しく肩へ手を置いた。
「能力は使えば使うほど育つの。最初はほんの一瞬でも十分よ。」
そして大地にも視線を向ける。
「大地くんも覚えておいてね。能力は鍛えれば鍛えるほど強くなる。でも、使いすぎれば体力も精神力も消耗する。」
「分かりました、先生。」
ルシエルはもう一度、自分の手をぎゅっと握る。
小さく笑った。
「先生。」
一呼吸置いて言い直す。
「私、頑張るよ。」
ゆきは母親らしい優しい笑みを浮かべた。
「よろしい。」
そして少しだけ教師の顔に戻る。
「それと、光は強ければ強いほど危ないこともあるわ。ちゃんと加減できるように練習するのよ。」
「うん!」
元気よく返事をするルシエル。
その姿を見つめながら、大地は胸の奥に温かなものを感じていた。
厳しく叱り、優しく導き、子どもの成長を誰より喜ぶ。
ゆきの姿は、どこか遠い記憶の中にいる母親の面影と重なって見えた。
思いを巡らせていた大地の肩を、不意に誰かがトントンと叩く。
「ん?」
驚いて振り向くと、そこには美萩が立っていた。
その後ろには源爺。そして、そのさらに後ろには胸鰭をしょんぼり垂らし、うつむいているアークの姿がある。
何とも言えない嫌な予感がした。
「大地くん、ちょっといいかな?」
美萩はにこりと笑っている。
――笑っているのに、目が笑っていない。
その圧に、大地は思わず背筋をぴんと伸ばした。
「は、はい。」
美萩はゆっくりアークを指差す。
「この子がね……食料庫に保管してあった食材を、ほとんど食べちゃったの。」
「…………え?」
大地は固まる。
美萩はため息をついた。
「せっかく良造さんに包丁とフライパンを作ってもらって、『今日は腕を振るうぞ!』って張り切ってたのに……。」
肩がぷるぷる震えている。
怒りを必死で抑えているのが分かった。
「キュ〜……。」
当のアークは申し訳なさそうに小さく鳴き、ひげをしゅんと下げる。
まるで「ごめんなさい」と言っているようだった。
源爺はそんな様子を見て、いつものように笑う。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。そういうことじゃ。」
杖で地面を軽く突きながら言った。
「大地、村の食料調達はお主に任せたぞ。」
「任せたぞって……。」
あまりにも突然の宣告に、大地は目を丸くする。
すると美萩が一歩前へ出た。
「飼い主がペットの責任を取るのは当たり前でしょ?」
「ぐっ……。」
反論できない。
アークはいつも自分について回っている。
完全に保護者扱いである。
源爺は今度はルシエルを見る。
「ルシエル、お主もじゃぞ。」
「えぇーーっ!? 私、関係ないし!」
「何を言うとる。」
源爺は腕を組み、堂々と言い放った。
「連帯責任じゃ。」
「横暴だぁ!」
ルシエルは頬を膨らませ、ぶーっと口を尖らせた。
「私は食べてないもん!」
「でも止めてもおらんじゃろ?」
「うっ……。」
一言で黙る。
美萩はパンッと手を叩いた。
「ということで、大地くん、ルシー。」
営業スマイルに戻っている。
「夕飯までにお願いね。」
「えっ!? 今日の夕飯まで!?」
大地の声が裏返る。
「でも俺たち、勉強が……。」
助けを求めるようにゆきを見る。
ゆきは眼鏡を外しながら、くすっと笑った。
「勉強より、ご飯のほうが大切よ。」
「先生まで!」
「ふふっ。ちょうどいい機会じゃない。」
ゆきはルシエルの胸元を指差した。
「ルシーは光の能力。」
続いて大地を見る。
「大地くんは熱の能力。」
「実戦で能力を使えるようになるためにも、行ってきなさい。」
完全に先生の顔だった。
「……はい。」
もう逃げ道はない。
大地は観念して肩を落とした。
隣でルシエルもため息をつく。
「大地。」
「ん?」
「帰ってきたら、お願い事一つ聞いてもらうからね!」
悪戯っぽく人差し指を立てる。
「え、なんで俺だけ条件付きなんだよ。」
「連帯責任だから。」
今度はルシエルが得意げに言い返した。
「……源爺の悪いところだけ覚えたな。」
「えへへ。」
ルシエルは満面の笑みを浮かべる。
大地は苦笑しながらアークへ手を伸ばした。
「ほら、アーク。」
「キュイ!」
「お前が食べた分、ちゃんと働いてもらうぞ。」
アークは勢いよく返事をすると、大地の肩へ飛び乗った。
こうして大地、ルシエル、そして食いしん坊のアークは、奴隷村の夕飯を賭けた初めての食料調達へ向かうことになったのだった。




