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英雄遺産のエーヴィッヒ  作者: 大浣熊猫
三度過ぎ往くツワンツィヒ
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法律は誰かを不幸にする為ならず、皆を幸福にする為にある 第一話

 アナンヤとコレット側には、コレットのアーンストート学園卒業生保護者会会員の伝手で集めた辣腕弁護士が六人ついた。


 一方、フェリシアンとアルフォードについた弁護士はカプスチン家の者だった。アルテナイのメモに従って、彼ら一族を頼ったのだ。


 しかし、担当することになったのはドナシアンの顧問弁護士アルテナイではなく、アリスタルフの孫、アルノリトの兄であるアリアルトがついた。

 アリアルトは法律家や政治家などを多く輩出しているカプスチン家系であり次世代のホープと目されていて、法科大学院在学中に司法試験を一発で合格したが、まだ院を出たばかりで若く実績が無い。そしてたった一人だけだった。

 指名したのは他でも無い当主アリスタルフ・カプスチンだった。彼は様々な点において利益相反が起きてもおかしくない状況であるにもかかわらず、問題ないと孫に初仕事を与えるだけ与えて一切手を出さなかった。


 そのため、コレットとアナンヤは第一回の口頭弁論が始まる前から勝利を確信していた。

 二人の弁護団も、政界や法曹界における名家のカプスチン家の面目を叩き潰し、尚且つアーンストート学園においてはフォン・バイク派閥であるカプスチン家を下すことで同学園における卒業生保護者会の発言権を拡大するチャンスが来たと沸き立っていた。


 原告が訴えを起こして三日という異例のスピードで開かれた第一回の口頭弁論で、コレットとアナンヤは「ポリー・アルフォードは魔女で、ドナシアンの遺産が目当てだった」や「ポリー・アルフォードはドナシアンと肉体関係があったに違いない」や「フェリシアンは騙されている。遺産を相続しやすいように手籠めにされているだけだ」といった感情的な訴状を陳述した。

 さすがの辣腕弁護団も、この二人の大爆発する感情にまかせたことばかり言うのでなかなかに手を焼いていた。

(ただ一つ、「男という生き物はそう言う生き物だ」というアナンヤの発言は妙な説得力を持っていた。)

 しかし、辣腕と言われるだけありドナシアンの遺言書に法的根拠があると言うにもかかわらず有利に進めていった。


 一方のアリアルトはこの裁判が人生初めての仕事である。

 下積みも無くいきなり本番であり、初歩的な間違いを繰り返していた。

 法的な根拠云々ではなく、アリアルト本人の経験の少なさから来る手際の悪さが目立ち、裁判は数回の口頭弁論を繰り返していくうちに被告側は追い詰められていた。


 フェリシアンとアルフォードはもはや諦めていた。無効であるならそれを甘んじて受け止める覚悟であり、フェリシアンがこれから鉄工所で働けばいいと思っていた。

 ガリバルディ・メタル・インダストリーであれば、それなりに給料が出る。豊かではないが貧しくはない生活を送れば家族は養える。

 実際に鉄工所には家族を養っている従業員が何人もいた。加えて今回は、ポリー・アルフォードを妻に迎え家庭を築くので、フェリシアン自身にも出世したいという意欲もあった。


 そんなとき、ロセッティがまたフェリシアンの前に現れたのだ。

 地方紙で裁判をしていることを知り、いてもたってもいられずにフェリシアンのもとへ駆けつけたのだ。

 そう。フェリシアンの味方としてだった。

 味方は増えれば心強い、というのが誰しもに当てはまるわけではない。


 ロセッティは何を思ったのか、口頭弁論の最中に裁判所に乱入したのだ。そこで「ぼくはフェリシアンの味方だ! 彼は全て正しい!」と思い切り口走った。

 彼は取り押さえられたために、被害は出なかった。しかし、ただでさえ旗色が悪かった被告側は、さらに心証を悪くすることになったのだ。


 裁判は終始原告側であるコレットとアナンヤが有利な状況で裁判は続いた。


 だが、ある日原告側の弁護団の一人が突然弁護団を離脱を表明した。さらに、翌日にそれに続くように四人が突然離脱したのだ。

 その五人が離脱を表明したのは、とある重大な情報を入手したからだ。

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