マジンガーZ完成
翌日の文化祭二日め、マスコットもそろそろ色を塗り終わるころには、笹安駆け落ちのてんまつは全校に知れわたっていた。
笹安の父親が来校し、おとといの嵐の夜、スナックに寄ったメンバーが小部屋に呼ばれた。事情を聞きたいという。ぼくらはビール以外のことはありのままに答えた。
「高校生がスナックなんてまったく。停学だぞ」
生活指導の教師が口をはさむと笹安の父親が首を振りながら言う。
「そんなことより、どこか行き先に心当たりはありませんか。あの日の帰り、なにか言ってませんでしたか。これが二度めなのでたいへん心配です。一刻も早く見つけてやらないと。思いつめたらなにをするか」
中学のころの友人などにも話を聞いたが手がかりはないらしい。相手の宮吉さんのほうではすでに警察に捜索を依頼したという。
「なにかあったらすぐ知らせてください」
あたふたと笹安の父親は帰っていった。
二日目のプログラムも終了し、うちのクラスは演劇コンクールで二十四クラス中二十四位だった。それでも参加できただけましで、仮装行列は担当の弥市がサボりを決め込んだため、とうとう参加もかなわなかった。
あとは体育祭で巻き返しをねらうしかないが、マスコット部門では上位の期待ができそうだった。塗装を終えたマジンガーZは、さすが美術部のホープだけあって中島の腕が冴え、ひときわ異彩を放つ出来映えだった。
「よし。OK! 完成!」
中島が叫ぶと、みなの口から一瞬ためいきがもれ、喝采が続いた。
「やったー!」
あとはあすからの体育祭のために、完成したマジンガーZをグラウンドに運ぶだけだ。競技トラックのまわりに各クラスに割りふられた区画が線引きされて用意されている。そこへ運ぶのだが、木と竹と紙の張りぼてとはいえ、そうとうな重さがある。
と、どこから湧いてきたのか、うちのクラスだけではなく、よそのクラスからも応援がやって来た。十数人がかりで一、二の三で持ちあげて、内部の支柱三本には各三人ずつがとりついてバランスをくずさないよう、ゆっくり、ゆっくり、七十メートルほどの距離を運んだ。グラウンドの一角に収まり、横からの夕陽に照らしだされたマジンガーZは、上半身だけとはいえ、いまにもすっくと立ちあがりそうに堂々としていた。
「すごい迫力だな」
「ああ」
暮れかけたグラウンドではまだ作業をつづけるクラスが多かったが、ぼくらのクラスは、お返しにほかのクラスのマスコット運びを手伝ったりしながら作業場の後片づけまで早々と終えてしまった。




