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第三章 未来都市の設計図 第三十五話 言葉の魔術──言語・幻影・三界生成の文明論──

 人間社会は、言葉によって動く。法律、契約、条約、掟、約束── それらはすべて“言葉の幻影”であり、人々はその幻影を信じ、従い、争い、支配される。言葉は、文明の設計図であり、同時に文明を惑わせる魔術でもある


 三界生成理論で見ると、言葉は、内界の欲望、境界の判断、外界の行動を 結びつける「触媒」である。固体(本質)、液体(言い訳)、気体(本心)── 言葉は三界の形を変えながら、人間の行動を決定する。この章は、その言語構造を解き明かす。


 第三十五話 言葉の魔術──言語・幻影・三界生成の文明論──

 

 言葉は、情報ではなく「力」である。人間は、言葉で世界を理解し、言葉で他者を動かし、 言葉で文明を築き、言葉で自らを欺く。この章は、言葉が人間社会を支配する「幻影力の正体」を解き明かす。


 義鷹は、養女の高校三年生の凛、桜、葵の三人に四人会談を聴講させた。学校授業では、巧妙な魔術的な言葉の使い方で、自他を制御する方法や話術を教えてもらえないからだ。これらの技術は、独学で学ぶ事項だからだ。


 義鷹:「言葉は、思いや感情を他者に知らせる手段だと言われる。人間の頭脳には、言葉で物事の構造を理解して、人間行動を引き起こさせる機能がある。僕は、君たちに言葉、脳、感情、欲、価値観、行動の関係を学ぶために四人会談を聴講させた」


 凛:「人間は、何を基準にして行動しているの?」


 義鷹:「人間は、物事の『存在』『動き』『様子』を表す三種の言葉を用いて情報の分析、判断、決断をして、行動を選択していると説明した。


 葵:「人間の引き起こす問題や課題が複雑になるのはどうしてなの?」


 義鷹:「良い所に目を付けたね。言葉を知っても、物事の構造を言葉で組み立てて全体像を把握できなくなるからだ。

例えば、人間社会の構造は、個、会、社、場、界と多重な領域があり、さらにそれぞれが上、中、下の層になっている。

物事は、個、会、社、場、界のそれぞれの内、境、外の三つの位置で生成されている。問題や課題の住所が不明になるからだ」


 葵:「そんなに複雑な構造では、問題や課題を解けなくなるのは当たり前になってしまう」


 義鷹:「そうなのだ」彼は、人間社会の物事を知る構造は、「物事」が次第に複雑化して、難解になって行く習性があるとした。

 この複雑な仕組みや構造を理解するには、物事の基本は、最広域の界の内界・境界・外界の三界に分けて学ぶとよい。ただし、仏教は違う。

 

 自分の外界にあると知覚される宇宙は、人間の内界の心の反映とされる。内界三界説だ。仏教の心の内界は、『煩悩や欲望に支配される欲界』『修行により煩悩や欲望に支配されない色界』『物質を超えた精神的世界の無色界』の三界に分かれていると説明した。


 凛:「仏教では、修行しないと心は、煩悩や欲望に支配されて欲界で揺れ動いているとする考え方がある。欲界、色界、無界の人口比率は、どんな風に考えるとよいの?」


 義鷹は、仏法の内界と自説の宇宙の三界構造を統合して、世界指導者の欲色無界の精神構造を下層、中層、上層の宇宙の平坦なピラミット構造で見ている。


・下層の欲界に留まる指導者タイプ:99.8%

・中層の色界に至る過程の指導者タイプ:0.199999%

・上層の無色界に到達した指導者タイプ:0.000001%


 義鷹:「仏教の無色界、僕のゼロ界に到達した指導者は、人類史上ガンジーの一人だけだ。ほとんどの指導者は、欲界の人たちといえる」


 義鷹の物事を学ぶ学問は、全てではないが、物事を二つか三つの界に分類して覚えることが基本になっている。すると、次のことが分る。物事は、「実体のあるもの」と「実体のないもの」に分かれる。実体の見えないものは、存在するかのように思わせる言葉もある。


 義鷹:「人間社会では、物事の仕組みや構造や実態やその欠陥を知らないと、物事を安易に信じ、誤解、錯覚して覚えてしまう言葉が、実に多い。そうなると問題が複雑怪奇になる。問題の解決法は、その根を断つことになる。だけど、新しい問題の芽が生まれて来る」


 義鷹は、指導者は、人間の煩悩や欲望の「無知」「恐怖」「暴力」などを利用して、また、存在しないものを 「信じる力」を活用して「幻想力」として統治に使ってきた。彼らは、富、地位、権力、宗教、民族、国家、敵、味方、戦争、平和、学歴、経済成長などの言葉を用いて、人間社会で価値観を持つ言葉を活用できるようになったとした。


 桜:「人間の使う言葉を三つに分類すると、パパはどうしているの?」


 義鷹:「僕は、社会で人間が使う言葉を三つに分類すると、事実、真実、嘘の三つになる」


 彼は、次のように説明した。事実とは現実に起こり、または存在する事柄だとする。意図的に作られた事実もある。真実は、嘘や偽りでない、本当のこととされる。しかし、真実も一つではない。人間は、言葉や映像を用いて真実の見え方を演出することもできる。嘘を真実と信じさせる罠もあるとした。


 桜:「人間社会の身分制度は、本当になくなったの?」


 義鷹:「社会は、大別すると、個人は、どの国家でも支配者層と境界者層と被支配者層の三界のいずれかの身分になる。法律上では、身分制度も奴隷制度もない。だが、それらは、社会実体や人間意識の中には、明らかに存在する真実だ」

 

 次の事実を上げた。例えば、不思議なことにニッチ国では、奴隷のように酷使されて過労死する事件が起きる。異常な世界は、異常な世界にいる人々にとって正常に見えている。

 欲界人には、色界人と無色界人が異常に見えるはずだ。界、場、社、会の論理が個の論理を否定する事件が起きる。


 桜:「そうか、ニッチ国は、建前社会だった。本音が労働時間に現れるのね」


 義鷹の黒田一族の指導者の育成方法は、単純だった。中高校生になったら株式の投機と投資の実戦経験と万学理論を学ばせることだった。


 アリストテレスのように独学で万学の仕組みと構造の基盤を学ぶことだ。万学のポイントは、物事の言葉の曖昧さや、言葉の魔術的使い方に騙されないことだ。社会構成員の能力は、一様でない。多様な職務の人材で構成されている。指導者は、社会の物事を知るには、社会の表側、裏側、側面の三面から物事を見る能力も必要になる。


 葵:「パパ、物事を見る脳力を上げるには、どうしたらよいの?」


 義鷹:「それは、四つの観察力を上げるとよい。『事物』『状況』『自己』『人間』だ。その時間、方向と傾向を知り、物事の行動を予測する能力を身に付けて、対処することだ。『事実』と『真実』と『嘘』の構造を知り、『実体』と『幻影』を区別して、因縁果を使えるようになることだ」


 葵:「因縁果?」彼女は、仏教語がわからない。


 義鷹:「因縁果とは、 『原因となる因』と『それを媒介する縁』が揃って、『結果』が生まれるとする考え方だ。物事は、『主体』と『媒体』の反応が『結果』をもたらすという化学変化の考え方だともいえる。結果を求め主体を変化させるには、『触媒』がないと上手く化学反応は起きない」


 義鷹は、この三人娘を、小学三年生の時から黒田一族を率いる指導者に育てるために、言葉の幻影力を物事に上手に使う教育をしていた。


 幻影力とは、話術など実際に存在しないのに、認識としては存在するかのように見せる力のことをいう。現代でこの幻影力を示す言葉は、『情報』『ヒト』『モノ』、『カネ』だ。指導者たちは、この言葉力を人々に対して上手く使い、人間社会の統治や戦いや取引に利用してきた。

社会には、この幻影産業が溢れている。


・オールドメディア:新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、書籍など

・ニューメディア:X、Face Book、Instagram、YouTube、LINE、ブログなど


 これらの幻影産業は、様々な視点の自己主張によって社会構成員の分断を生み出して闘争を引き起こす構造がある。二十一世紀は、人間と機械の闘争と共存の時代と言える。四者会談を聴講させたのは、指導者教育の一貫だった。


 義鷹:「どうだ。大人の政官経のリーダーたちの会話を聞いた感想は?」

 

 凛:「パパ。本当に彼らは、世界を動かす人たちなの?」彼女は、人間の歴史や社会学に関心を持っている。仏教も学んでいる。性格は、クールで賢明でありながら多情な面も持っている。


 義鷹:「あぁ、彼らは、仏法の『因縁果』を応用して、『内界境界外界』の三界を制御して、『事実、真実、嘘』の三つの幻影力も上手に使える。

君たちは、まだ、今ある実体の影響を受けて、幻影に支配されやすい心身構造を持っている。彼らのように言葉の魔術の使い方をマスターして欲しい」

 

 桜:「言葉の魔術を自在に使えるようになると、どんなメリットがあるの?」

 

 義鷹は、政府組織であれ、会社組織であれ、人材の組織構造は、賢者、勇者、凡人、愚者、裏切り者、卑怯者の六つの組み合わせになるとした。彼は、言葉の魔術を上手に使えるようになると、人事評価ができるようになり自分の計画推進が上手く進行するメリットがあるとした。

 

 桜:「じゃ、言葉の魔術を使うデメリットは何?」桜は、女性のおっとりとした癒し系の芸能人の雰囲気を、持っている。だけど、本性は別だ。コンピュータゲームは、戦闘系のものが大好きだからだ。


 義鷹:「誰でも権力者になると、欲界人の世界では、打倒の対象者に成り易いのでヒトを疑い深くなる欠点も生まれる。エリザベス一世のような賢者の権力者なれる人は少ない」

 

 桜:「パパは、会話することで相手がどんな人か理解することができるの?」


 義鷹:「あぁ、できる。君たちも修練次第でパパのようになれる。君たちが指導者になるには、六タイプ人材の本心を知る秘術を学ばないといけない」


 葵:「大人の世界では、会話すると相手の受け応え次第で本心が分るので、思ったことをストレートに発言できなくなるのね」彼女は、外交的で創造的な思考や行動を好む。計画性や継続性に欠点を持つが、物事に対して柔軟性を持っている。今は、法律の構造を学んでいる。


 義鷹:「そうだよ。大人の世界は、自分の能力を競う戦場になる。敵と味方の識別が行われる。これに日和見も加わる。三つのタイプ人材がいる仲間社会になる。支配者は、三タイプ人材を運用するのが仕事になる」

 

 葵:「大人の世界は、条約、法律、契約、掟、約束、誓いなどがあっても、『遵守する人』『遵守が不明な人』『遵守しない人』の三界に分かれるのね」


 義鷹:「あぁ。大人社会の価値観の構造は、『命』『責任回避』『報酬』の三つの重さが大きな柱になる。例外はあるが、本人にとって小さな報酬のために命を賭ける人は少ない。命を賭けるといっても、本心かどうかわからない」


 凛:「何でも三界があるの?」三界生成理論の適用に関心のある素振りだ。彼女は、万学に挑戦中だ。一つの学問を三界にしてエッセンスだけを学ぶ。


 義鷹:「全てではないが、多くのものに三界があるよ。化学では、固体、液体、気体の三つの現象がある。原子は、陽子、中性子、電子の三つで構成される。これを人間の使う言葉に当てはめて見て」


 凛:「あぁ、そうか。分った。固体は、本人の定性、本質、信念などの価値観に関する言葉だ、液体は、相手次第で変わる『いい訳言葉』だ。気体は、他人に見せない本心の言葉だ」


 凛:「人間関係についても言葉の三界生成理論を適用できるの?」


 義鷹:「もちろん、できる。君たちは、相手の本心や行動習性を見抜き、指導者として、戦時でも、平和時でも、対応できるようにならないといけない」


 人間社会では、評価視点で、上層階級、中層階級、下層階級の三層構造になっている。人間を区別や差別する習慣が残っている。それぞれの階級に「敵側」、「味方側」、「日和見側」の三界ができる。


 義鷹:「君たちは、相手が使う言葉に騙されてはいけない。本心を見抜くには、相手の使う言葉の事実、真実、嘘を見抜く技術をマスターして欲しい」


 凛:「そうか。分った。相手の話が事実、真実、嘘かを探る『質問技術』を学べば良いのね。言葉って相手の能力を知り、自分の目的を達成手段に過ぎないのね」

 

 義鷹:「その通りだ。教科書通りの言葉の意味を信じてはいけない。相手の言葉に囚われてはいけない。相手の行動で見るとよい。人間は、自己保身をするために様々な言い訳言葉を使う。このような人物は、信用しても信頼しては、いけない」


 葵:「それで、正直に本音が言えなくなるのか。嘘と分っていても、嘘だといえなくなるのか」葵は、言葉使いの難しさを理解したようだ。


 義鷹:「あぁ。相手を批判する行為は、攻撃とみなされる。だから、君たちは、指導者としての上手な言葉使いをしっかり学ばないといけない」


 葵:「どうすれば良いの」


 義鷹:「相談された問題解決には、相手の本心を知ることだ。それには、相手が君たちに対して言い易い環境を作ることが重要だ」


 葵:「わかった。やってみる」


 義鷹:「黒田一族の指導者は、一族の相談事の世話人なので人間の悩みや問題を解決するが仕事なので、万学の知識がいるのだ」


 葵:「私たちは、自分の感情、態度、言葉使いや行動を他人に対して上手く制御できないと、相談事のトラブルに巻き込まれるのね」

 

 義鷹:「あぁ、そうだ。最悪の場合、命取りになると思って良い。君たちも、彼らのように自分の感情を制御し、相手の使う『言葉の罠』に嵌ってはいけない」


 桜:「現代社会は、罠社会なの?」彼女は、罠世界の話に瞳孔を大きく開く。彼女たちは、野外の過酷な環境で食べ物を得る罠を使って生き延びるサバイバルゲームを行う教育を受けてきた。


 義鷹:「あぁ、そうだ。古代社会は、食糧を得て生き残るための『罠の技術』が、発展した。今では、その罠技術が、情報、ヒト、モノ、カネの世界にも引き継がれている」

 

 桜:「『獲物を狩る技術』が、『人間を狩る技術』に転用されているの?」


 義鷹:「あぁ、真実だ。執念や執着に取り付かれている欲界は、『欺く者『と『欺かれる者』と『欺かれない者』の三界に分かれる。君たちは、『欺かれる者』になってはいけない」


 凛:「あぁ、そうか。私たちは、欺く者、欺かれる者、欺かれない者の三者の動きを株式運用の買側、売側、日和見側の動きとして見ればよいのね」


 義鷹:「そうだ。どの国でも社会では、富や権力を巡って戦いが起きる。相手と直接、戦わないで助けるのが基本戦術だ。相互利益で相手側を懐柔する。指導者は、戦う場合も想定して作戦を練って準備して置くのが基本だ」

 

 桜:「パパ。私は、彼らを懐柔するだけではなく、場合によっては、取り除かないといけなくなると思うのだけれど・・・」彼女は、おっとり顔で過激な言葉を吐く武闘派だ。ビデオゲームは、コンバットゲームが大好きで勇者と認められる戦士に憧れている。


 葵:「桜、『取り除く』という過激な言葉は使わないほうが良いよ」


 義鷹:「桜、葵のいう通りだよ。過激な言葉による暴力は、人間関係を変化させる。作用と反作用を生み出す。それはブーメランのように自分に帰って来る」


 桜:「ええ、そうかもね。でも、敵に勝利すれば問題は当面、無くなるかも。戦わないと、問題は解決しない場合もある。ところで国家指導者は、独裁者の地位に長期間滞在すると、どうして人を信じられなくなるの?」


 義鷹:「独裁者は、強権を使い、他の人々の富を奮うので、敵を多く作る。自分の命を失う恐怖心を支配されているからだ」

 

 桜:「独裁者は、勇者ではなく、臆病者になるのね」

 

 義鷹:「桜、誰でも内界には、様々タイプの人材が住んでいると思ったらよい。課題や問題と向き合う時に、どのタイプの人材になれるかで結果が異なってくる」

 

 凛:「国家指導者は、国民の命と生活の守護者じゃないの?」


 義鷹:「凛、それは、名目上の作り話だ。欲界組織である国家組織には、そのような人物は、ほとんどいない。『利害調整人』が多い」


 凛:「彼らの行動を予測する方法には、どんな利害関係で結び付いているか人間関係を調べるとよいのね」彼女は、聡明さを表した。だが、これは、警戒される危険な行為だ。

 

 義鷹:「彼らは、富を巡って腐敗しやすい構造で、権力を維持している事例が多い。暴力や恐怖で民の自由を束縛するタイプは、権力を悪用して富を独占できるので恨みを買いやすい。

不都合な情報を秘匿する構造が生まれる。油断すると、裏切られて命や地位を奪われるので、自然に疑い深くなる。これが『権力の座の罠』だ」


 凛:「あっ、・・・そうか。独裁者は、油断すると、権力や富の幻影に支配されるレベルになって行くのね」


 彼女は、単純に権力者を憐れんでいる。


 葵:「それじゃ、権力者にならないほうが幸せじゃない!」


 義鷹:「そうだよ。権力は、自分も他人も傷つける両刃の剣のようなものだ。その地位を得たことが不幸の始まりにもなる」三人は、権力の危うさにまだ取り付かれていない。


 義鷹:「君たちは、嫌なら違う人生を送る権利がある。だけど、指導者になる誓いをしたので、大学卒業するまで、権力者の実践教育を受けないといけない。それまでに権力者になる覚悟ができない場合、権力者にならなければよい」


 黒田塾は、一律に強制する教育法でない。自分で考える教育法だった。

 

 葵:「えぇ、分った。でも、指導者の世界では、本当に株式投資の世界と同じような現象が起きるの?」 疑心暗鬼の顔で感じたことを吐露する。

 

 義鷹:「君たちは、投機と投資の基礎授業を受けたあと、自分で株価の投資判断をして買方側と売方側になって株式売買をしたよね」


 葵:「えぇ、そうよ。欲界の修行をさせられた」売方側と買方側の二つ立場の違いをまだ理解していない顔で言った。彼女たちは、なぜ、二つの立場で投資体験をさせられたことに気付いていない。


 義鷹:「その結果は、三人の投資判断の成果はどうだった?」


 葵:「みんな損をした。学んだ知識や技術を臨機応変に使えなかった」

 

 義鷹:「君たちは、まだ、経験不足で自分の感情制御や他人の物事の行動の潮の流れの変化を見通せないのだ」

 

 桜:「どうすれば、自分の与えられた環境に自在に適応できるようになるの?」


 義鷹:「まず、自分の内界である身心を鍛えることだ。煩悩や欲望の雑念を捨て、無意識に環境適応行動がきるレベルになることだ」彼は、物事は、自分の内界を理解したしても、外界との接点である境界力を使えない限り、よい行動結果をもたらさないとした。この場合の境界力は、外界情報の分析、判断、決断による行動能力をいう。

 

 桜:「様々な三界を征するには、何年の時間が必要なの?」


 義鷹:「努力次第だ。黒田塾では中学一年生から始めて十年でトップクラスになった人もいる。株式運用の世界では、毎年、年率二十%の運用が継続できれば、三界扱いのプロだといえる」

 

 桜:「世界史上、パパが尊敬できる政治指導者は、誰なの?」

 

 義鷹:「エイ国のエリザベス一世、イン国のガンジー、コメット国のリンカーンだ。

君たちは、この三人の名言から人生の意味を学んで欲しい」


 言葉の魔術とは、他者を操る技術ではなく、自分の内界を整え、境界で判断し、外界を動かすための「文明のОS」である。言葉を制する者は、人間社会の三界を制する。


(第三十六話 指導者学―統治の科学へ続く)


 凛の洞察、桜の戦闘心、葵の柔軟性── 三人の反応は、言葉が内界にどのように作用するかを示す鏡である。言葉は、相手の本心を暴き、欲望を刺激し、恐怖を呼び起こし、判断を狂わせる。言葉の魔術を理解することは、自分の内界を守る術でもある。


 言葉は、文明を創り、文明を壊し、文明を再生する。幻影産業、政治言語、投資言語、宗教言語── それらはすべて、社会の三界を動かす“言語エネルギー”である。言葉の魔術を理解した者だけが、欺く者・欺かれる者・欺かれない者の三界を見抜き、 新文明「ハーモナイ文明」を築くことができる。


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