第22話 魔物召喚を成功させた俺は、暇を持て余して遊びだす
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無事、魔物召喚の構成式が作動することが分かった俺は、一つの可能性を示唆することになった。
「はい次、魔力込めるぞー」
「次こそはまろが部下をいただく所存!」
「魔物の相性、わからない、落ち着けテット」
魔物召喚の魔術陣を眺め、ウキウキしながら武器を構えるテットとフェイト。 魔術陣に魔力を注いでる俺の後ろではそんな二人を呆れながら見ているユーティちゃん。
「確か、ユーティはすでにコッファーの群れを従えていたのう」
「はっ、シェンルゥ様のおっしゃる通り、拙者はコッファーを筆頭にした蝙蝠大隊を、ザインはムルミル率いる白虎小隊を率いております」
「なるほどのう、次はテットかフェイトかどちらかが部下を得るかという話になっておるのだな?」
先日の実験召喚で分かったのは、俺が召喚した魔物でも、俺以外の仲間がその魔物たちを討伐すれば仲間が魔物を使役できるということ。
その実験の成果で、現在シェンルゥはワシュハシュ率いる大鬼中隊を率いている。
同じくコッファーという蝙蝠のような魔物を率いるユーティと、現在このダンジョンの巡回をしているザインというゲマトリアが率いる白虎小隊がすでに召喚されており、一〜四階層を担当する四人のゲマトリアたちには、それぞれ魔物召喚で呼び出した魔物の群れを率いてもらうことにしている。
「お? そろそろ出てくるのではないか?」
「また青紫ですね。 主が言うところのエスアール? と言うものでしょうか?」
首を傾げているテットだが、どうやら魔術陣が光る色によって出てくる魔物の質が変わるようだ。
例えば、青ならレアで、ユーティが率いているコッファーはこれに分類される。
他にも青紫ならエスアール、ワシュハシュがこれに分類されると考えていい。
今のところ一番良かったのは紫のユーアール、ザインが率いているムルミルという白虎のようなモンスターの群れがこの最高レアリティの魔物だ。
つまりこの魔物召喚、オタクならみんな大好き楽しい楽しいガチャの時間なのである。
「おおお! 出おったぞ! 今回はマキナカーテルじゃあ!」
マキナカーテルは機械仕掛けの殺戮マシーンだ。 大きさは成人男性くらいだが、右腕はチェーンソーが取り付けられており、左手と一体化している機械銃からはビームが出てくる。
動きはかくかくしていてぎこちないが、機械系モンスターは物理系の攻撃に強く、創造魔術に対する耐性が高い。 基本的に干渉魔術で操作権を奪い自滅させるのだ吉となる。
しかしここにいるゲマトリアは物質想像魔術を得意とするテットと、現象創造魔術を得意とするフェイト。 両方創造魔術の使い手だ。
少し分が悪そうだから俺が手を貸してやろうか。 そう思って重い腰を上げたのだが……
「先手必勝。 くらえ、焼却砲」
立ち上がるやいなや、召喚陣の真上を最高温度四千を超える熱波が通過する。
「あっちーなバカ野郎!」
「こらフェイト、このたわけ! 洞窟内で炎に関する魔術砲は使用するなとあれほど言われたであろう」
「ずるいでござるぞフェイト殿! まろだって早く部下が欲しいのでござる!」
召喚したと同時に高火力の炎熱光線を放ったフェイトに各々文句を集中させる。 俺は苦笑いしながら創気の魔術で、フェイトが燃焼させた酸素を補充しておくとする。
とは言え、いくらなんでも先程の焼却砲一撃でマキナカーテルが倒せるとは思えない。 マキナカーテルはワシュハシュと同じような強さに設定されており、マジフロのレベルで例えるなら討伐推奨レベルは40前後だ。
この世界では300ページ代の魔術が使えれば宮廷魔術師級の腕前と称されるため、その300ページ代を覚えるであろうレベル40以上の魔術師は達人と呼ばれる領域に足を踏み入れていることになる。
つまり、一般的な常識ではワシュハシュやマキナカーテルは超強いモンスターだ。 俺を基準にしたらこの世界での当たり前がおかしくなる。
そんなわけで、なにが言いたいかと言うとマキナカーテルは強いから、まだ安心するには早いぜと忠告したいわけだ。
やれやれと肩をすぼめながら頭を抱え、すました顔で口を開こうとする俺。
「見事、ワレワレをタッタ一撃で屠ってシマウその実力、主人にフサワシイ。 ワレワレに名前を授けてクダサイマセ」
炎が無くなった場所にいたのは、サイボーグ人間のような見慣れない人たちだった。 思わず思考が停止して固まる俺をよそに、フェイトは満足げに腕を組み、一人ひとり指を指していく。
「おまえ、一号。 おまえ、二号。 おまえ、三郎」
「ん? 聞き間違いか?」
「おまえ、四号。 おまえ、五号。 おまえ、六郎」
「なんで三の倍数だけ号じゃなくて郎になるんだよフェイト! 世界のなにがしかお前は!」
条件反射で突っ込んでしまうと、フェイトは俺へゆっくりと視線を送り、なにも言わずにニマァっと得意げな笑みを作った。 かと思えばそのままなにも言わずに再度名付けを再開してしまう。
もう、この子の不思議ちゃんっぷりにはついていけません……
って言うか、創造魔術に耐性があるって長々と解説してたマキナカーテルを、よりにもよってその創造魔術を使って焼却しないでくれ……
ウチの火力担当、フェイトの恐ろしさを俺とシェンルゥは苦笑いしながら見送ることになったのだった。
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無事に一〜四階層のゲマトリア達に魔物を使役させたので、ダンジョンの守りは割と強固なものになりつつある。
徘徊している魔物たちがほとんど人型になっていると言うのは少々怪しさ満点だが、それでも人海戦術の素晴らしさを身を持って知ることになった。
ちなみに、冒険者たちは一階層の人型コッファーの群れにすら苦戦している。 たまに来る暗殺者たちは三回層までは来れるようだ。
一度召喚した魔物は召喚陣に記録されるようで、討伐されたらゲマトリア達みずから魔水晶を使って再度召喚し、減った分は自主的に補充してもらう事も可能。
一度召喚すれば再召喚が可能ということは、俺が新しい魔物を召喚すればするほど召喚記録は潤う。 とは言ってもダンジョンの守りが強固になった今、それぞれの階層は武闘派ゲマトリア達に指揮を任せることができるようになった。
こうなると五階層から武闘派ゲマトリアたちを指揮していたヴァブの負担が激的に軽くなる。
よって宝州の冒険者たちがこのダンジョンを探索しようとしている現状を打破するために試行錯誤する時間が生まれる。
魔物召喚ガチャは後の楽しみとしてとっておき、今はとりあえずメイハオちゃんをどうにかするために俺の分身体と連携し、宝州の管理に集中させる。
「会長、こんどこそこの失態を払拭するため、自分は全力を尽くす所存です!」
「あんまり難しく考えすぎないようにね」
「いえいえ、自分が招いた失態ですので、なんとしてでもこの汚名を払拭してみせます!」
キリッとした顔で敬礼してくるヴァブさん。 敬礼はペペの専売特許だからやめてあげて欲しい。
「さてさて、メイハオちゃんの面倒はヴェートに任せてるし、宝州の方はヴァブが担当してくれている。 更にダンジョンの守りは上層の武闘派四天王に任せてるから……」
「いつの間にあやらは武闘派四天王などという括りになったのだ?」
「あいつらのお陰でしばらく暇になるんじゃないか?」
「それもそうであるのう」
「よーしペペを呼ぼう。 ダンジョンに魔物を配置したというわけで、今度は本格的な罠を作りたいと思います!」
ダンジョンと言えば、出てくるのは魔物だけではない。
そう、ダンジョンとは男のロマンが詰まっているのだ。 いつ魔物に襲われるかわからない緊張感、奥に行けば行くほど期待値が上がるお宝の可能性。
そして、油断した瞬間足元を救われる数々の罠!
かつてダンジョン系ゲームには数々の罠が用意されており、たくさんのプレイヤーたちが不快な思いをした。 不快な思いをしながらも攻略はやめられない、面倒だと口では言っていながら罠の対策を練るのに試行錯誤する。
そうさ、俺達は罠に対して嫌な感情しかわかないはずなのに、いつの間にか罠の虜になっている。
好きと嫌いは紙一重。 つまり罠が嫌いだということは罠が大好きという事に変わりない!
「のう童、目がやばいぞ? 一体なにを企んでおるのだ?」
「くっくっく、即死させないが嫌がらせ要素をふんだんに詰め込んだ罠、一体どんな傑作ができるんだろうな?」
罠を作るという仕事は、心躍るイベントになること間違いないのだ。




