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閑話
時は少し遡る。
王都炊き出しの日。
神官長グレゴールは遠くからその光景を見ていた。
飢えた民。
食事を受け取る子供達。
そして。
石を投げた少年。
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普通なら。
怒られるはずだった。
処罰されるはずだった。
だが。
王女は笑った。
楽しそうに。
嬉しそうに。
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『もっと大きくなりなさい』
『そして私を跪かせるくらいの男になってみなさい』
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意味は分からなかった。
だが。
少年が見上げていた王女の姿だけは。
何故か。
強く心に残った。
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人は言葉を忘れる。
出来事も忘れる。
だが。
心を動かされた瞬間だけは残る。
あの日。
広場にいた者達の心には。
確かに何かが残っていた。
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後にグレゴールは知る。
あの日見た光景こそ。
ローゼンバーグ王国復興の始まりだったことを。
そして。
あの日見た王女の御姿が。
自らの人生を大きく変えることになると。
まだ。
本人だけは気付いていなかった。




