緑海の主は激流の如く①
ローゼンバーグ王国とシルヴァニア豊穣公国を隔てる国境。
普段ならば旅人や商人が行き交うだけの穏やかな場所だったが、その日の光景はまるで違っていた。
シルヴァニア側の関所から奥へ続く街道と平地を埋め尽くすように、軍勢が整列している。人間、ドワーフ、獣人、ホビットをはじめ、公国に暮らす様々な種族。その数、およそ一万。
五十人ほどに分けられた各隊の先頭には、周囲の兵士よりひときわ大柄なトロール達が立っていた。今回従軍したのは二百名ほど。長命で身体能力にも優れた彼らの多くは単なる強兵ではなく、それぞれが部隊を率いる指揮官として配置されている。
だが、公国軍の威容を形作っているのは、生身の兵士だけではない。
軍列の前方には、人の倍近い三メートルほどの人型が百体、寸分違わぬ間隔で立ち並んでいた。白と緑を基調とした滑らかな外装には花弁を思わせる意匠が施され、巨大でありながら、どこか女性的な優美ささえ感じさせる。
神兵《麗》。
豊穣神ラクシュが創り出した神造ゴーレム兵の中では最も小型の型で、普段は警護や護衛などにも用いられる。最も小さいとはいえ、その巨体は生身の兵士を優に見下ろしていた。
その後方には、さらに巨大な《煌》が八十体。五メートルを超えるものから、大きなものでは十メートル近くに達し、一体ごとに異なる姿は巨大な彫像がそのまま動き出したかのようだ。
そして最後方には、《華》が二十体。
十メートルを優に超える巨体。その中には、周囲の大型神兵すら小さく見せるほどの一体――二十八号機の姿もある。
大小合わせて二百体。
ラクシュ本人が愛情を込めて、そして誰の同意も得ずに《エンジェルちゃん》と呼んでいる神兵達である。
さらに後方では、兵糧や天幕、武具を積んだ荷車に混じり、大量の荷物を背負った作業用ゴーレムまで忙しなく動いていた。戦闘用の神兵ほど巨大でも華美でもないが、人の何倍もの荷を抱えたまま黙々と歩くその姿からも、公国が十分な準備を整えてここまで進軍してきたことが窺える。
「……このような小川だったか?」
軍列の前方で、セルディウスが国境へ目を向けた。
両国を隔てる川は、以前見た記憶よりも明らかに細い。広い川床の大部分が露出し、湿った土と丸石の間を、今では小川と呼んでも差し支えない程度の水が流れているだけだった。
近くにいた国境守備兵が頭を下げる。
「ここしばらく上流で雨量が少なく、水嵩が減っているそうです。急にではなく、以前から少しずつですが」
「以前からか?」
「はい」
セルディウスはしばらく川を眺めた。国境にあるとはいえ、公国の生活を支える重要な河川というわけではない。上流で雨が少ないという話も以前から聞かれており、目の前の光景とも矛盾はなかった。
隣に立つドルガディンが、露出した川床へ視線を落とす。
「これならば神兵を渡すのも楽だな」
「ああ。こちらには好都合だ」
だが、セルディウスの表情は晴れなかった。
川を挟んだ向こうには、ローゼンバーグ側の石造りの国境砦がある。
そして――人がいない。
まったくいないわけではない。城壁の上に僅かな人影は見える。だが、一万もの軍勢が国境へ迫っていることを知った国の備えとしては、あまりにも少なすぎた。
「……妙だな。籠城するにしても、兵が少なすぎる」
「後方に伏せているのではないか?」
「その可能性はある。だが、相手はこちらの進軍を知らなかったわけではあるまい」
ローゼンバーグは、バルディア帝国の主力を退けた国である。
その国が、一万の軍勢を目前にしてまともな迎撃戦力を見せていない。
油断しているのか。
それとも、何か別の意図があるのか。
「数だけで判断するな。相手は帝国軍を退けた国だ」
「分かっている」
ドルガディンが巨大な剣の柄へ手を添えた。
「だからこそ、こちらも出し惜しみはしていない」
「その通りだ」
アルトリウスが静かに頷いた。
一万の兵を動かせば、それだけ多くの者の日常が止まる。兵糧も必要になる。物資も消費する。予備役として呼び出された農民や職人が抜ければ、その分だけ国内の仕事も滞る。
戦争とは、戦場だけで完結するものではない。
それを理解した上で、それでもアルトリウスはこの軍勢をここまで連れてきた。
その時、背後からやたらと明るい声が飛んできた。
街道の向こうから、一体の巨大なゴーレムが歩いてくる。ただし、戦闘用ではない。
両肩からは巨大な花を模した装飾が広がり、胴体には金と宝石、蔓草の意匠がこれでもかと施されている。背中には大きな台座が設けられ、そこには白と緑と金で彩られた豪奢な椅子が据えられていた。
要するに、神輿だった。
その椅子へ堂々と腰掛けているのは、豊穣神ラクシュである。
「じゃーん! ワタクシ様、到着!」
長い金髪を風になびかせ、満面の笑みで片手を振る。神輿ゴーレムの周囲には金色の粒子が舞い、その中には誰が必要としたのか分からないハート形の光まで混じっていた。
「……また随分と派手なものを」
ドルガディンが小さく呟く。
「聞こえてるわよ!」
「失礼いたしました」
即座に頭を下げるドルガディンを見て、ラクシュは満足そうに鼻を鳴らした。
「どう? すごいでしょう?」
「壮観ではあります」
アルトリウスが答えると、ラクシュはさらに胸を張る。
「でしょう!? 見なさいよ、ワタクシ様のエンジェルちゃん達! 二百もいるのよ!」
「神兵です」
「エンジェルちゃんよ!」
「……はい」
「返事が雑!」
アルトリウスが僅かに目を逸らした。
「しかし女神様。これだけの戦力を揃えた以上、向こうもこちらの意図は理解するでしょう」
「そうよね!」
ラクシュは川向こうの砦を見つめた。
城壁の上に見える人影はほんの僅か。それを見て、ふふん、と得意げに鼻を鳴らす。
「それとも、ワタクシ様のエンジェルちゃん達を見て怖じ気づいて、砦から出てこられないのかしら?」
「……そうであれば話は早いのですが」
セルディウスの返答に、ラクシュが振り返る。
「なによ、その言い方」
「兵の姿があまりにも少なすぎます。降伏を考えているのならともかく、抗戦するつもりであれば不自然です」
「もう、セルディウスは心配性ね」
ラクシュは軽く手を振った。
「砦に籠もってるだけなら、二十八号機でプチッてすればすぐよ!」
「女神様、砦ごと潰す前提で話を進めないでください」
「だって出てこないなら仕方ないじゃない!」
アルトリウスが小さく息を吐いた。
「可能であれば、その前に降伏してもらいたいところですが」
「ワタクシだってそのつもりよ?」
ラクシュはきょとんとした顔で答える。
「別に戦いたいわけじゃないもの。可愛い眷属達が傷つくのは嫌だし、大地が荒れるのだって嫌なの。あの女王がちゃんと皆を返して、持っていったものも返してくれれば、それで終わりじゃない」
「私も、それが最善だと思っております」
「でしょう?」
ラクシュに悪意はない。
眷属を救い、余計な血を流さずに済むのなら、それが一番だと本気で思っている。ただ、自分の見立てが間違っている可能性については、ほとんど疑っていなかった。
アルトリウスは川向こうの砦を見据えたまま口を開く。
「では、最後にもう一度だけ降伏を勧告されますか?」
「それよ! やっぱり最後にもう一回だけ教えてあげるわ!」
「それがよろしいかと」
「そうよ! ワタクシ様って、やっぱり優しいわ!」
「ご自身で言われますか」
「事実じゃない!」
ラクシュが勢いよく立ち上がり、両手を腰へ当てた。
次の瞬間、その身体から眩い金色の光が溢れ出す。
光は空へ昇り、幾重にも広がっていった。兵達の間からどよめきが上がる中、青空を背景に巨大な女性の姿が形作られていく。
長い金髪。鮮やかな緑の瞳。白と緑と金で彩られた華やかな衣装。
空高く浮かび上がった巨大なラクシュの姿は、川の向こうにあるローゼンバーグの国境砦からも、はっきりと見えるほど大きかった。
ローゼンバーグ側からその光景を眺めれば、細くなった国境の川の先――シルヴァニア側の大地は、もうほとんど見えなかった。
一万の兵。
その軍列を縫うように立ち並ぶ百体の《麗》と、その頭上へ聳える八十体の《煌》。さらに後方には、巨塔のような二十体の《華》。
そのすべてを、空に浮かぶ巨大な豊穣神が見下ろしている。
人と神兵によって埋め尽くされた大地は、まるで緑の国そのものが一つの軍勢へ姿を変え、今にも川を越えて押し寄せようとしているかのようだった。
『聞きなさい、ローゼンバーグ! ワタクシ様が来たわよ!』
ラクシュの声が国境一帯へ響き渡り、シルヴァニア軍から大きな歓声が上がる。
巨大なラクシュは満足そうに笑い、眼下の神兵達を示すように腕を広げた。
『このワタクシ様のエンジェルちゃん達を見て、怖じ気づいたのなら今のうちに降伏しなさい! ワタクシの眷属達を返して、貴女達が勝手に持っていったものも返すの!』
そして、得意げに胸を張る。
『そうしたら、特別に許してあげるわ! ワタクシ様は、とっても慈悲深いんだから! 一日だけ考える時間をあげるわ。よーく考えて、賢い答えを出しなさい!』
人差し指を一本立ててそう告げると、空に浮かんでいた巨大な姿は金色の粒子となって消えていった。
国境に静けさが戻る。
ローゼンバーグ側から返答はない。
「……まあ、一日あるもの」
ラクシュは再び椅子へ座り直した。
「明日にはきっと、泣いて謝ってくるわよ!」
「そうなれば最善です」
アルトリウスはそう答えながら、ほとんど兵の姿が見えない黒い国境砦を静かに見つめていた。
◇ ◇ ◇
その夜。
シルヴァニア軍の野営地には無数の篝火が灯っていた。
一万もの軍勢が集まっている以上、夜になったところで完全な静寂が訪れることはない。見張りが交代し、物資が運ばれ、時折作業用ゴーレムの重い足音が響く。
それでも、昼間と比べれば十分に静かな時間だった。
異変は唐突に訪れた。
「敵襲!」
警告の声に続き、野営地の一角で轟音が響く。
一体の《麗》が宙を舞っていた。
三メートルの巨体が数メートル先まで吹き飛ばされ、地面へ叩きつけられる。兵達が慌てて武器を構える中、その中央には一本の刀を手にした女が立っていた。
銀白色の長い髪。
その頭には白い獣の耳があり、背後では白地に縞模様の尾がゆっくりと揺れている。
姿そのものは人の女と変わらない。
だが、獣人ではない。
シルヴァニアにも獣人は珍しくないが、彼らの知る獣人は人と獣の特徴が混じり合った半獣の姿を持つ。目の前の女のように、人そのものに獣の耳と尾だけが生えた種族など誰も知らなかった。
彼らの知る、どの種族とも違う異貌の女。
その正体は、エミリア直属の黒薔薇人形の一人――シオン。
もっとも、この場にいるシルヴァニア兵の誰一人として、その名も正体も知りはしない。
「何者だ!」
「あの女……獣人か?」
「いや、違う! なんだ、あの姿は!」
兵達の声など意に介さず、シオンは刀を構えた。
二体目の《麗》が巨腕を振り上げる。その腕が振り下ろされるより早く、シオンの姿が消えた。
鈍い衝撃音。
次の瞬間には《麗》の巨体が横へ吹き飛び、さらに別の一体が地面を滑っていた。
シオンは倒れた神兵を眺め、それから手にした刀へ視線を落とす。
「確か……そう」
少し考えた。
「みねうちだ。そう言えと言われていた」
「ゴーレム相手に何を言っている!」
トロールの隊長が怒鳴った。
シオンは気にした様子もなく、白い耳を一度だけ動かす。
周囲の注意は完全に自分へ向いている。
その間に、数人の魔導兵が野営地へ入り込んでいた。
「放て!」
火球が飛び、《麗》の装甲を炎が包む。続けて風の刃が走り、雷撃が弾けた。
さらにその合間を縫うように、淡い光や魔力の波が次々と神兵へ触れていく。
攻撃魔法だけではない。
赤、青、白、紫。性質の異なる幾つもの魔法が、立て続けに神兵へ浴びせられていた。
だが――何も起こらない。
炎に焼かれた装甲が僅かに煤け、風刃によって表面に浅い傷が刻まれても、神兵は動きを止めない。その他の魔法を受けた神兵にも、目に見える変化はなかった。
「無駄だ!」
隊を率いるトロールが声を張り上げる。
「ラクシュ様がお造りになった神兵に、貴様らの魔法など通じるものか!」
公国兵達から歓声が上がった。
「押し返せ! あの女と魔導兵を逃がすな!」
だが、ローゼンバーグ側はそれ以上深追いしない。
魔導兵達は最後に幾つかの魔法を放ち、互いに短く合図を交わした。
「十分だ。退くぞ!」
次々と闇の中へ後退していく。
シオンは《麗》の腕を刀で弾きながら、一度だけ背後へ視線を向けた。魔導兵達の姿は、すでに十分遠い。
「……よし」
刀を振り払い、周囲を見回す。
その視線が、少し離れた場所から兵達へ指示を飛ばしていたトロールで止まった。
「隊長か」
「何だ?」
シオンは腰の小袋から、掌ほどの小さな箱を取り出した。
どこにでもある、音声を記録して後から再生するための魔道具。それとほとんど変わらない外見だった。
無造作に放る。
「っ!」
トロール隊長が反射的に受け取る。
「我が主からの返答だ」
「何?」
それだけ告げると、シオンは刀を鞘へ収めた。
「待て!」
追撃しようとした兵達の前から、その姿はあっという間に闇の中へ消えていく。
残されたトロール隊長は、手の中にある小箱へ視線を落とした。
「これは……」
見たところ、やはり普通の記録用魔道具にしか見えない。
だが、敵から渡された物をその場で不用意に起動するほど、彼も迂闊ではなかった。
「上へ持っていく。警戒を続けろ」
◇ ◇ ◇
「夜襲だと?」
アルトリウスの声が低くなる。
指揮用の大型天幕には、アルトリウス、セルディウス、ドルガディン、そしてラクシュが集まっていた。
報告に来たトロール隊長が頭を下げる。
「はい。敵は十名にも満たない少数でした。魔導兵が数名。それと、見たことのない女が一人」
「女?」
セルディウスが眉を寄せた。
「はい。姿そのものは人間に見えますが、頭には白い獣の耳、腰からは尾が生えております。獣人とも異なります」
「その女が《麗》を?」
「ほぼ一撃で、数体を吹き飛ばしました」
「……そのような者がいるという報告は受けていないな」
セルディウスの表情が僅かに険しくなる。
砦にはほとんど兵がいない。
にもかかわらず、夜になれば素性の知れない女が少数の魔導兵を連れてこちらへ踏み込み、神兵を簡単に吹き飛ばして戻っていった。
「魔法は?」
「多数受けました。火、風、雷。それ以外にも幾つか。しかし、神兵にはほとんど効果がなかったものと思われます」
「攻撃偵察か……」
セルディウスは僅かに考え込み、それから机の上へ置かれた小箱を見る。
「それが?」
「女が『我が主からの返答だ』と」
「返答?」
ラクシュが身を乗り出した。
「やっと降伏する気になったの?」
「それなら夜襲はしないと思いますが」
「細かいこと言わないの!」
セルディウスは小箱を手に取る。
「……外見は記録用の魔道具ですね」
ありふれた品にしか見えない。簡単に調べさせても、爆発を起こすような異常な魔力は感じられなかった。
「再生してみましょう」
操作部分へ触れる。
淡い光が灯った。
「やはり音声記録――」
その言葉が途中で止まる。
小箱から溢れた光が空中へ広がったのだ。幾本もの光が重なり、少しずつ人の輪郭を形作っていく。
「……これは?」
ドルガディンが眉を寄せる。
やがて、一人の女の姿が空中へ浮かび上がった。
長い銀髪。白磁のような肌。黒と紫を基調とした華美なドレス。そして、こちらを見下ろす紫の瞳。
エミリア・ローゼンバーグ。
ただの音声記録用に見えた小さな道具から、まるで本人がそこにいるかのような立体映像が映し出されている。
「映像まで……?」
セルディウスが思わず呟いた。
「この大きさで?」
だが、それ以上考える時間は与えられなかった。
映像のエミリアは豪奢な椅子へ腰掛け、優雅に脚を組んでいる。頬へ片手を添え、こちらを退屈そうに眺めていた。
『頭の悪そうな駄女神が、昼間から何か喚いていたみたいだけれど――答えは一つよ』
「…………」
ラクシュの笑顔が止まった。
映像のエミリアが、ゆっくりと頬杖を外す。
『かかってきなさい』
「なっ……!」
ラクシュのこめかみが引きつる。
『今見たでしょう? 私の下僕は、田舎の森に籠もってぬくぬく暮らしていた貴方達より強いわよ?』
「誰が田舎よ!」
当然ながら、記録されたエミリアがその声に答えることはない。
『それでも私のものを取り返せると思うのなら――来るなら全員でかかってらっしゃい』
エミリアが椅子から立ち上がる。黒いドレスの裾が揺れ、長い銀髪が背中を流れた。
『相手をしてあげるわ』
最後に、不敵な笑み。
そこで映像は消えた。
天幕に沈黙が落ちる。
「…………」
ラクシュが震えていた。
拳を握り締め、肩を震わせ、長い金髪まで僅かに揺れている。
「女神様?」
アルトリウスが恐る恐る声を掛けた。
「誰が……」
「はい?」
「誰が頭の悪そうな駄女神よおおおおおおっ!!」
怒声に、天幕そのものが揺れた。
「しかも田舎! 田舎って言ったわ! こんなに豊かで美しいワタクシの国を田舎ですって!?」
「女神様、落ち着いてください」
「落ち着いてなんていられないわよ!」
ラクシュは机をばんばんと叩く。
つい先ほどまでは、砦に籠もる程度なら二十八号機一体で十分だと笑っていた。
だが、もうそんな考えは綺麗さっぱり消えている。
「決めたわ!」
勢いよく立ち上がり、ローゼンバーグの方角をびしりと指差した。
「明日の昼――全戦力で叩き潰してあげるわ!」
ドルガディンが首を傾げる。
「今からではないので?」
「夜更かしは美容に悪いのよ!」
「……なるほど」
「納得しないでください、ドルガディン」
セルディウスが額を押さえた。
「それに!」
ラクシュはぷんぷんと頬を膨らませる。
「ワタクシ様は一日考える時間をあげるって言ったの! 神が一度言ったことを、そんな簡単に破るわけないでしょう!」
アルトリウスは一瞬だけ目を見開き、それから小さく笑った。
「仰る通りです」
「でしょう!?」
ラクシュが胸を張る。
怒りに震え、あの生意気な女王を今すぐとっちめたいと思っている。
それでも、自分が与えた一日の猶予は守る。
そして、夜更かしもしない。
「明日の昼よ! エンジェルちゃん達も兵士達も――全部まとめてぶつけて、あの生意気な女王に思い知らせてあげるんだから!」
感想、御意見いただけると嬉しいです




