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ステージ8『砂漠』(85話)

二人は急いで声の元へと駆ける。


「どわぁっ!」


突然横から人が飛び出てきて、ライラは驚きとともに大声をあげた。


「こんにちは」


ライラと思いっきりぶつかったイズが、苦笑いで挨拶をする。


「ライたんだぁぁぁ~~~」


そして、残りの一人がライラに飛びつく。


「でかい図体で飛びつくな、首が折れる」


さすがに大人が首に思いきり飛びついたら、首が取れるとライラは文句を述べる。

が、しかし、ゼノは首に手を回したまま背中にピッタリと張り付く。


「だぁぁ~、重いってんだろうが」

「だって、やっと見つけたんだもん」

「わぁ~たから、首を絞めるな、首を」


しっかりと首に腕を回してぶら下がるように張り付くゼノの重みで、ライラの首が締まる。窒息死すると、ライラは必死にゼノを引き離した。


「ライラ……、ぷっ、……その恰好」


やっとゼノを引き離したと思ったら、イズが突然吹き出して笑いを必死に堪えている姿があった。笑われたライラは、怒りをむき出しにするとイズに迫る。


「好きでこんな格好してんじゃねえ! 目が覚めたらこうなってたんだっ」


今の自分の姿は故意でしてるんじゃなくて、誰かにさせられたのだとライラが声を荒げる。


「ライたん、裸だぁ~」

「人聞きの悪いこというんじゃんねえ、ちゃんと着てるだろうがぁ」

「着てるというより、かろうじて隠せてるって感じですが……」


イズが的確に指摘するが、ライラの眉間の皺が増える。

そう現在ライラは裸同然の恰好であった。

上半身は裸で間違いない。下半身もミニスカートみたいな鎧みたいなものを身に着けているだけで、ほぼ裸。見たこともない靴らしきものを履いているので歩くのには支障がなさそうだったが、傍から見れば裸と言われても仕方ない格好であった。

それでもそのミニスカート的なものには、煌びやかな装飾がされており、決して粗末なものには見えず、かなり高価なものに見えた。


「それに、ライたんいっぱいらくがきされてるね」


ゼノが言うように、ライラの身体には何かの模様が白、赤、青、黒で描かれていた。文字なのか模様なの不明なそれは擦っても消えない。


「擦ってみたが、色落ちすらしねぇ」

「何か特殊なインクで描かれているんでしょうか」

「かもな。……まさか一生このままとか言わねえよな」


さすがにこれは恥ずかしいと、ライラはやり場のないため息を吐く。


「ライたん、足太いね」


いつの間にしゃがんだのか、ゼノはライラの太ももをがっしりと掴んでいた。自分よりも一回りも二回りも太いしっかりとした足。


「気持ちわりぃことすんな」

「いったぁ~い。殴ることないじゃん」


ライラの足に興味津々で触りまくっていたゼノに、拳が下ろされた。太ももからはじまり、脛まで撫でまわされたら気色悪いとライラは身震いさえ感じた。


「お前が気色わりぃことするからだろうが……、って、ゆっくりしてる場合じゃねえんだよ」


突然何かを思い出したライラは、背後を振り返り、額に汗を浮かべた。


「どういう意味です、ライラ」

「追われてんだ」

「追われてる? 誰にです」

「変な女と、包帯だ」


説明された言葉にイズがまったく理解できないと、ライラに困惑の表情を向けたが、背後から無数の足音が聞こえ始め、3人はとりあえず走り出した。


「状況が把握できないんですけど……」

「オレだって、何がなんだかわかんねえよ」

「逃げるしかないってことですね」

「そういうことだ」


今は、状況を把握するより逃げることが優先だと、3人はとりあえず背後から迫ってくる何かから逃げることを最優先に選んだ。

だが、迷宮のような地下空洞でどこへ逃げればいいのかもわからず、3人は必死に前へ前へ進んでいたつもりだったのだが、出口は一向に見えず、同じところをグルグルと回っているような気さえしてきた。


「ここってさっき通りましたっけ?」


あまりにも同じ景色が続き、イズが不意にライラに声をかける。


「そういや、似たような景色しか見ねえな」

「それにボクたち、結構走ったと思うんですけど」


一向にどこにも出れないし、景色も変わらないとイズが不審な気持ちを抱く。


「出口がないよぉぉ~」


先頭を走るゼノでさえ、前方にはまだまた通路しかないと叫ぶ。



── ガガガガッ ──



大剣を具現化させたライラが走りながら壁を削る。


「目印だ」


同じところを走っているなら、同じ傷を見つけるはずだと言って。

それから数分後。

3人は足を止めた。ライラのつけた傷を見つけたからだ。


「はぁ、はぁ……、やっぱり同じですね」

「……ぜぇ、ぅはぁ……オレたちは同じところをずっと走ってたのか……」

「疲れたよぉぉ~」


どれくらい周回させられていたのだろうか、3人は呼吸を整えながら今だ聞こえる足音に恐怖する。

どこからする音なのかと。



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