ステージ6『深淵』(41話)
たとえゼノを抹消することを優先させたとしても、一般人を巻き込むような指示は下したりはしない。それだけは神に誓って信じられた。
「単独だとすれば、おそらくあの男はここへは戻ってきませんね」
なんらかの裁きが下るだろうロイルが、間界に戻ってくる確率はない。
「それでね、天界に戻らなかった人が僕をずっと追いかけてたんだよ」
ずっと隠れたり、逃げたりしてたから疲れちゃったと、ゼノが珍しく軽いため息をついた。
おまけにライラとイズも見つからなくて、探していたんだと追加した。
「ああ、それであんな状況だったんですね」
「だいたいの状況はわかったが、てめぇは何度オレに同じことを言わせるつもりなんだ」
だいたいの経由がわかり、イズが納得するなか、ライラはゼノの長い黒髪を掴んだ。
もちろん逃がさないために。
「痛いってばライたん!」
「あたりまえだ、痛いようにひっぱってんだからな。いいか、あれほど命乞いはすんなっていっただろうが!」
「ううぅ~~~、ハゲたらどうすんの」
「はぁ? ハゲだ」
質問にまったく答えず返ってきた言葉にライラが片眉を吊り上げ、必死に掴まれた髪を取り返そうとするゼノは涙目でイズに助けを求める。
ここでイズが助け舟をだせば、ことは穏便に済んだはずが、少しばかり助け舟を出すのが遅れたために事は嫌な展開を迎えることとなる。
「ライたんみたいにハゲたら困るもん」
ついゼノの口からいつもの癖がでる。
「んだと! オレのどこがハゲだ」
「ライたんのおでこ絶対広いもん。ハゲる前兆でしょう」
「前兆……、てめぇは本気で大地に埋まりたいらしいな」
ひっぱる髪をさらに引き寄せてライラはついにゼノの首を掴んだ。
目には見えないが、額には無数の怒りマークがでているだろうライラに捉えられたゼノがさらにもがく。
「ううっ! オヤジなんかデコピンだぁぁ~~~!」
突然そう叫んでゼノがライラのおでこに勢いよくデコピンを繰り出した。
一瞬なにをされたのかわからなかったライラは、思わずゼノを手から離した。その隙に高い木の上に避難したゼノがにっこりと笑う。
それを見ていたイズはやれやれと深いため息はついたものの、その表情はとても嬉しそうであった。今日も二人は通常運行だと感じて。
「ライラ行きますよ」
何事もなかったかのようにイズがライラに声をかけ、先に進もうと促す。
が、フツフツと湧き上がる怒りはすでに噴火している。素直に「はい」とはいかず、
「あのガキ、ぜってぇ~~~ぶっ飛ばす!」
熱い拳を握り締めてライラは武器を手にし、勢いよくゼノのいる木を叩き切った。
ガガガ…… ドザドザ…… バッサ~~~ン
大木が一瞬にして倒れた。
「ああ~~、ライたんが自然破壊してるぅぅ」
「っるせぇ、いいからオレと勝負しやがれ! この馬鹿お子様」
「むっ! 馬鹿じゃないもん。オヤジより可愛いもん」
「そうだな、ああカワイイ、カワイイ、おバカでマヌケなゼノくんはカワイイよ」
完全に棒読みでライラがしれぇ~とそれを口にする。
「ハゲオヤジィィィ!」
「バカガキ!」
「デコオヤジィィィ!」
「アホガキ!」
「やれやれ……どっちもどっちですかね」
いつ終わるともわからない低レベルないい争いを横目に、イズは一人傍観者となりそれを見守った。
その頃、ゼノが力を解放したことでハクコクジュに異変が起き、天界の一部が崩落、地界の火山が激しく噴火した。
そして、闇に蠢いていた白い腕が、その姿を完全に具現化していた。
ステージ6クリア
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ステージ7『真理』
「こんばんは」
白に近い薄い金髪の小柄な男の子がにっこりと笑って、ゼノ、ライラ、イズに、夜の小道で挨拶をしてきた。
これから今夜の宿をとるために寄ろうとしていた前方に見える町の男の子だろうか?
3人は普通に男の子と挨拶を交わし、通り過ぎようとしたのだが、
「探したよ、おにいちゃん」
男の子はさらに笑ってそう口にした。
しかもその視線はゼノを直視している。おそらくゼノに言った台詞。
「えっ、僕のこと?」
「そうだよ、ゼノ=クロノムおにいちゃん」




