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闇を覗く者たち

ダンジョンに潜る人達の話です。



登場人物

エマ・ウォーカー     主人公です。

ノル・ハーヴェイ     白鹿の探索隊長の一人

ニナ・クラーク      白鹿のギルド所属の前衛 エマの仲間



▼主人公の基本設定

名前:エマ・ウォーカー

年齢:20歳くらい

ギルド歴:10年

元DPS で ギルドの意向でサポートへ配置転換された

サポートの役割:救護/料理/素材回収/物資管理/運搬等 多岐にわたる



この物語のギルドは、ダンジョン内で採れる素材の回収を専門に請け負う組織です。

魔物の牙や皮、鉱石、薬草、魔石などを回収し、

それを商会や工房、研究機関へ卸すことで利益を得ています。

ただ魔物を倒すだけの集団ではなく、探索、戦闘、救助救援、採取、解体、運搬、物資管理まで含めて、

ひとつの仕事として成り立たせた大手組織です。そのギルドで働く人物達の物語

時間は、少しだけさかのぼる。五階層の奥で、床が落ちた直後だった。

石が砕ける音が、通路いっぱいに響いた。

支えを失った床が割れ、崩れ、黒い穴の底へ呑まれていく。


最後に、重いものが下の水を叩く音がした。


それきりだった。

崩落した床の縁から少し離れた通路に、三つの影があった。

ガロンは穴の底を見下ろしていた。

大きな体に鎧を着込み、片手を剣の柄の近くに置いている。顔には笑みも焦りもない。

その後ろに、外套を深くかぶった女が立っていた。


女は何も言わない。

灯りの届く場所にいるのに、顔立ちはよく分からなかった。崩れた床を見ているのか、ガロンを見ているのか、それさえ曖昧だった。


サイモン・レックは、壁際に立っていた。

崩落の音が収まっても、動かなかった。

ただ、暗い穴を見ている。


天井から細かな石屑が落ちた。ぱらぱらと乾いた音がして、闇の下へ消えていく。

ガロンが言った。


「落ちたな」


誰も答えなかった。

穴の底から、湿った風が上がってくる。

六階層の空気だった。水の匂いと、砕けた石の匂いが混じっている。


ガロンはしばらく耳を澄ませた。

石が転がる音。水が揺れる音。その奥で、何かが這うような音がした。

ガロンは穴から目を離し、サイモンへ視線を向けた。


「下へ回れ」


サイモンはすぐには答えなかった。少し置いて、低く聞いた。

「生死の確認か」


「違う」

ガロンの声は変わらない。

「生きていたら、証拠が残らないように確実に殺してこい」


サイモンは黙っていた。その横顔は、灯りの陰に半分沈んでいる。

驚いたようにも、面倒がっているようにも見えなかった。

ガロンは続けた。

「剣は使うな。傷が残る。岩を落とせ。崩落の続きに見せろ」


サイモンの目が、床の縁に転がる岩へ向いた。

「事故で処理する」


「そうだ」


サイモンは短く答えた。

「分かった」


外套の女は、一言も発しなかった。ただ、そこにいた。

ガロンも女を見ない。だが、女が何も言わないことを、否定とは受け取っていなかった。

サイモンは、崩れた床の縁へ近づいた。


「負傷者を置けば、白鹿は寄る。灯りを残せば道だと思う。血を残せば急ぐ」

低い声だった。ガロンは黙って聞いていた。


「案内はいらない」

サイモンは続けた。

「ああいう連中は、自分で来る」


ガロンは短く言った。

「だから使った」


サイモンは何も返さなかった。

怒ったのか。納得したのか。それとも、最初からどうでもよかったのか。

表情からは読めない。サイモンは崩れた床から離れた。

武器には触れない。荷を確かめることもしない。

そのまま、暗い迂回路へ向かう。


「サイモン」


ガロンの声で、足が止まった。

「落ちたのは二人だ。ノル・ハーヴェイと、女前衛。見落とすな」


サイモンは振り向かなかった。

「片方だけ死んでいたら」


「残った方も殺せ」


短いやり取りだった。サイモンは少し間を置いて、低く答えた。

「分かった」


そして歩き出した。足音は静かだった。急ぐ音ではない、迷う音でもない。

石の通路に、一定の間隔で沈んでいく。

やがて、その音も闇に消えた。

外套の女は、サイモンの消えた通路を見ていた。


何も言わない。

ガロンは崩落した穴へ視線を戻した。

下から、また水音が上がってきた。遠くで石が擦れる音がした。


六階層は暗い。

落ちた者が怪我をしていれば、長くは動けない。

魔物もいる。足場も悪い。灯りも限られる。


それでも、死体を見るまでは終わらない。

ガロンは剣の柄から手を離した。


「戻るぞ」


女は小さく頷いた。それだけだった。

二人は崩落地点から離れていく。

灯りが遠ざかるにつれ、割れた床の縁は闇に沈んだ。

崩落は、事故に見える。

負傷者に誘われ、足場の悪い場所に踏み込み、床が抜けた。

監視所の記録にも、白鹿が5階層に入ったことは残る。


この場に誰かがいた痕跡は、すぐに石屑と湿った風に紛れる。

だが、生き残りがいれば別だ。だから、サイモンを下へ送った。

ガロンは振り返らなかった。

背後の穴から吹き上がる六階層の風だけが、しばらく通路に残っていた。


本作品は未完成な部分や表現に納得できない箇所が随所にあります。なので、随時修正します。

シナリオや展開を変えるつもりはありません。

ご容赦ください。

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