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第2話:推しを応援したら強くなりすぎた

どんどんいくぜっ!


「待って、俺何した?????????」


いやほんとに。


今の何?


「最高か?」って言っただけなんだが???


リィナは自分の手を見て、目を丸くしている。


「……え、なにこれ……身体が軽い……魔力も……え、え?」


戸惑ってる。

そりゃそうだ。俺も分からん。


その時だった。


ガサッ——


「……っ!」


リィナの表情が一瞬で変わった。


さっきまでのゆるふわモードから、

一気に“戦う顔”になる。


(真剣なリィナもカッコ良すぎる!!!)


「…ミ…キミッ!!!」


「はいっっ!!!」


「下がって!!!」


「え?」


次の瞬間、茂みの奥から飛び出してきたのは——


「うわ、デカッッ……!」


巨大な狼だった。


黒い体毛に、赤い目。

いかにも“魔物です”って感じのやつ。


「ウルフ系……しかも変異種……!」


リィナが一歩前に出る。


……え、ちょっと待って。


「え?戦うの?あれと???」


「当然でしょ!?このままだと街道に出る可能性あるし!」


いやいやいやいやいや。


無理でしょ。


あれ絶対強いやつでしょ。


ゲームだったら初心者エリアにいないやつでしょ。


「いやいやいやいや!あんなバケモノ倒せるわけがない!!!逃げるべきだ!!」


「私が今ここで逃げたら…キミはどうなるの?!」


…きゅん。


「私は…逃げないっ!!」


はい、好きです。


って、違う!!!!!!


リィナは、杖を構えた。

手が、少しだけ震えている。


(……あ)


分かってしまった。


強くなったって言ってたけど、

それでも——


怖いんだ。


それでも前に出てる。


その瞬間。


胸の奥が、じわっと熱くなった


「……いける」


「え?」


「いけるって。リィナなら」


口が勝手に動いた。


「さっきの感じ、絶対強くなってる。

 ほら、あの動きとか……いや知らんけど!」


「知らないの!?」


「でもいける!!!たぶん!!!」


「たぶん?!?!」


説得力ゼロ。


でも——


リィナは、一瞬だけ目を見開いて。


ふっと、小さく笑った。


「……ほんと、変な人だね。キミ。」


次の瞬間。


ウルフが飛びかかってきた。


「来るよ!」


「いけええええええええ!!!!」


「ちょっと…!静かにしてっ!!」


「がんばれええええええええ!!!!」


――――ドンッ!!!


リィナの体が、また光った。


《スキル発動:Fav Sync-フェイヴシンク-》

《応援内容:がんばれ》

《同期率:120% 魔力増幅》


「え、魔力がさらに増えてる???」


リィナが一歩踏み込む。

その瞬間——


は、速い!!!!!


さっきと比べて明らかに違う。


「——はっ!」


杖から放たれた光が、ウルフを弾き飛ばした。


「ギャウッ!?」


え、強。


え、強くない???

さすがに強すぎない???


「うそ……私、こんなに……」


「すげええええええ!!!!」


「静かにしてって言ったよね!?」



だが、ウルフは倒れていない。


むしろ——


「グルルルル……!」


怒ってる。めっちゃ怒ってる。


「まずい……!もう一回来る!」


「いけるいける!!さっきみたいに!」


「簡単に言わないで!?」


ウルフが再び突進。


速い。さっきより速い。


リィナが避けきれない——


「リィナ!!!」


気づいた時には、叫んでいた。


「避けろ!!右!!いける!!!」


《スキル発動:Fav Sync-フェイヴシンク-》

《応援内容:いける》

《高速魔法取得》


「——っ!?」


リィナの体が、スッと消えた。


……いや違う。


速すぎて見えなかった。


次の瞬間、ウルフの背後に回り込んでいた。


「——終わり!」


ドォンッ!!!


光の衝撃が弾ける。


ウルフはそのまま吹き飛び、地面に倒れた。


……動かない。


「……え?」


「……え?」


沈黙。


風が吹く。


鳥が鳴く。


そして——


「勝った……?」


「勝った……っぽい……?」



リィナがゆっくりとこちらを見る。


その目は、完全に混乱していた。


「ねぇ」


「はい」


「これ、絶対キミの能力だよね?」


「知らないです。」


「いや、絶対そうでしょ。」


「わからないです。」


少しの間、見つめ合う。


そして——


「……ちょっと来て」


「はい???」


ぐいっと腕を掴まれた。


「キミ、私の聖従者になりなさい」


は?????????


いや待って待って待って。


話が急展開すぎる。


「え、ちょっと待って!?聖従者って何!?俺戦えないんだけど!?」


「いいの。戦えなくて」


「いやよくないでしょ!?普通逆じゃない!?」


「普通じゃないから言ってるの」


ぐいっと、さらに腕を引かれる。


近い。無理。尊い。死ぬ。


「キミのそれ、さっきの……」


リィナは、俺をまっすぐ見て言った。


「私を“応援”したら、私が強くなるやつ」


「……いや、俺もよく分かってなくて」


「でも事実でしょ?」


「……はい」


否定できない。


だって目の前で起きてるし。


「だったら決まり」


にこっと笑う。


あ、これ。


逃げられないやつだ。



「私、アストレア・リィナ」


一歩前に出て、胸を張る。


「聖女訓練生。100人いる聖女訓練生の中で今は最下位に近い落ちこぼれだけど——」


少しだけ、目が揺れた。


でもすぐに、真っ直ぐ前を向く。


「1年後の聖女総選挙で、1位を取る」


……は?


スケールでかくない?


「え、いや無理じゃない!?さっきのやつでもギリギリだったよね!?」


「だから、キミが必要なの」


「なんで!?」


「決まってるでしょ」


リィナは、少しだけ笑って——


「キミの応援めちゃくちゃうるさいもん」


「うるさいっ?!?!」


「でも…!!!それが逆に力が湧いてくる気がする」


「気がする!?」


「実際にそのおかげで勝てた」


真っ直ぐな目。


嘘はない。


「だから——」


手を差し出される。



「私を1位にして」



……ああ。


ダメだこれ。



「……はい」



気づいたら、頷いていた。



こうして俺は、


推し(に似たもの)の聖従者として、


聖女総選挙1位を目指すことになった。




《新規関係成立》

《聖従者登録:未承認》

《条件:本人の意思(ほぼ強制)》



いや、最後の文言おかしくない???


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