4話 アクティブフェーズ
4話アクティブフェーズ
12月5日
裏庭に、カフェテーブルをいくつか出して、よく見るアウトドアのフォールディングチェアを2個ずつ設置し、メインテーブルにこの日のためにママと用意した料理を並べた。
一応見栄え良くするためテーブルランナーを敷いた。
ケータリングで頼んだベジタブル・サモサ、昆布と干し椎茸のお出汁で作ったいなりずしに、ニューオーリンズ名物の我が家のピンチョススタイルのミニ・マフレッタ(サンドイッチ)に、カクテルシェリンプのエビは別添えバージョンにした。
デザートは昨夜造り冷やしておいた抹茶シフォンケーキと紅茶シフォンケーキ、にドリンクはマサラチャイにアイスペパーミントティーを設置。
カフェテーブルには白いテーブルクロスを引いて、コップの準備をすませたら、準備完了。
2時から始まったガーデンパーティーはニューオーリンズ暖かな日差しの中穏やかに進行していた。
母親のゲストであるインドネシア、インド、スリランカ、タイ王国、ミャンマー、マレーシアのお客さんが10名ほど来てくれた。
リビングと裏庭には華やかなスパイスの香りが立ちこみ、ここが一瞬ニューオーリンズだということを忘れそうになるくらいには華やかなドレスやワンピースに身を包むお客に囲まれたここはどこかのアジアの国のように異国情緒あふれていた。
インドのサーモンピンクカラーをベースにしたパンジャビ・ドレスに、タイのろうけつ染めの生地でモダンなパンツスーツスタイルのカジュアルスーツに気候に会うミントグリーンのサテンのストール!
ミャンマーの人のダマスク系の孔雀の羽にエメラルドグリーンのラインストーンがついているゴージャスだけど品のあるフォーマルスカート上はシルクのダークグリーンのブラウス。
さらに数々の綺麗な生地を使用した一点物の服。
最近のパーティーで着る服についての相談や、料理の感想、来年のトレンド、それから、新しいつながりのためにタイレストランのオーナーである人や、紅茶関係の業種の人間が名刺を交換したいた。
「この抹茶のシフォンケーキ美味しいですね!どちらのお店のものかしら?」
「ああ、それは先日私の家族が日本旅行時のお土産をしようしたんですよ。お口にあったようで何より」
和やかに話していると次第に家族のことになる。
「最近ね娘が悪い夢を見るっていうの・・・。だからそれをネタにして小説を書きなさいよって進めたのよ!なかなかにシリアスは話だから面白いと親のよく目からね?出来たら添削してあげてくださいな。」
と言ってコピーした題名はサバイバー。
このために急いで小説仕立てにしたものだ。を複数用意して渡した。
「あら!娘さんが小説を?それはぜひ読ませていただくわね?」
ヒンディー語とインドネシア語、タイ語にタミル語などで書いてみた。
添削のため赤色のボールペンで書いてもらうようお願いする。
小説の添削は、内容が非常にサバイバル知識が必要不可欠活、おおきな災害の話だったのものすごく静かなお茶会になった。
笑顔だったが、だれしもあの内容に動揺していた。
さすが、このアメリカに留学しているだけあって、教養高い。
「2週間後、確実にこの日、2004年12月26日午前7時58分に地震が来るとわかった。今から地震に対して家族3人の生き残り計画を立てねば」
「っていう独特な語り愚痴ですわね。」
「ええ。でも冷静になって考えてるっていう設定ですから・・・・」
「ええ、水道の汚染から始まって、どんなふうに情報を集めたのかが面白かったわ。」
「ああ、あのイエローページをたどって電話で聞いていくっていう部分ね?私は高台のホテルの裏口の物置に物を置かせてほしいっていうところですかね?」
友人が経営しているホテルの物置付近に、家が手狭になってしまったからと言って鍵付きの150クウォートサイズのクーラーボックス、港町なので巨大な魚が入るタイプの物を置かせてもらう交渉のところかな?
「水を後から入れていたのはよかったわね。あの土地ではコンビニなんかで凍ったものはなかったけど、個人のお店では保冷剤として確かに売られてたもの。結局9割以上の物が凍ってたからあらかじめカットして会った野菜やなんかも後になっても仕えたのよね。」
「使い捨てのビニール手袋や、100リットルのお水、ヘルメットなんかもきちんと準備されていたけど、ほかの震災被害者の描写が・・・・・その・・・・」
「リアルでした…?」
よかった、短編小説だけどきちんと伝わったみたいで。
「あのね‥・アンジェラ、あなた夢を見て書いたのよねこれ?」
恐る恐る尋ねられ私は頷いた。
「ええ。かなり高い30m越えの津波の夢で、そんな描写がニュースに流れてくるんですよ。それでその被害に会った土地やもしも津波から逃げるならっていう前提で話を書きました。だいぶすっきりしたと同時に、恐ろしくなりましたね。」
「それは・・・・・なぜ?」
「知っていたとしても大半の人間は逃げられません。——彼らに逃げろって言うのは難しいと思います。金銭的な物も建物もそちらの小説に書いた通り‥‥いきなり知らない人間に全財産持ち出して非難しろ!!なんて言えませんから。」
「‥…‥‥あなたこの小説をどうするの?」
「出来ましたら、あなたたちにどうしたらいいのか聞いてみたかったんです。」
「聞いてみたかった?」
「ええ、インドネシア語しかいまのところ訳せていません。他の国の言葉に訳すべきでしょうか?」
「・・・・言葉が書けないということよね…?」
タイの系列のシルク商を旦那様が営んでいる関係でアメリカに一緒に滞在しているパチャリさん。
インドネシアのNGOの関係者としてニューオーリンズ支部に勤務しているファティマさん、そして、スリランカ人を祖父母にもつ地元のお医者さんであるアニラ。
3人は穏やかにでも、何もこれがただの小説だと説明したのにも拘らず、真剣にこれが夢に出てきた・・・・?と呟いていた。
「?ただの夢の小説ですよ?」
それに対して私は正直これほど重く沈鬱な顔になられるとは思わなかったので正直に驚きながら弁明した。
彼女たちにお願いしたいのは添削とちょっとした危機意識を持ってほしかっただけでファティマさんやパチャリさんアニラさんに凝視されて信じられない!?と言わんばかりに見られたかったわけじゃない。
「私の国には夢はプラム(予兆)と呼ばれます。精霊信仰があるので夢のお告げを待つ人も少なくないの・・・・・それにこんなに具体的に・・・?」
「私のおばあちゃんも言っていたわ。予知夢は存在するって・・・。神々から伝言があるって信じられてるの。なんでスリランカの人じゃないのかはわからないけど、あなたが代わりに聞いた可能性はあるわね。水の禍だもの。」
おっとパチャリさんにアニラから予想外な言葉が出た。っていうかアメリカまで飛行機に乗ってくる人間でここまで予知夢とかスピリチュアルな感性を持ってるとは思わんよな!?
元日本人のポーカーフェイスで堪えるがいつまで持つか・・・・?
「私の国いえ、私の故郷であるジャワ島にはワユと呼ばれる言葉があります。意味は天啓・・・夢は導きと言われ、災厄や幸運が示されると言われる言葉ありますが、でもこんなにも詳細なことは今までなかった。・・・・・考えるにこの夢は元はもしかして夢じゃない・・・?」
ファティマから、信じられないくらい精度の高い推測を語られ危うく飛び上がりそうになった。
身体に不自然に力を入れてしまい、手に持ったコップをギュッと握りしめる。
その様子をママが遠くから眺めていた。
帰り際、ママが笑顔で感謝を伝えながらも、ファティマ、アニラ、そしてパチャリの3人に何かしら伝えていたのを見、帰った後問いかけた。
「ママ・・・・・」
最近心配そうに装いつつも、前世の記憶を持つ前と違いどこかよそよそしくなった。
このまま、ずっとこんな感じなのかな?
「ここ1週間ほど――あなたが前世を思い出したと言ってから、私はちょっと距離を取ってたわね。ごめんね アンジェラ でもね、突然 大人になった あなたに戸惑ってしまったの。 これは・・・あなたはアンジェラじゃないんじゃないか って思ってしまったの。言いようのない恐怖を感じてしまった―― 」
申し訳なさそうにソファに座るママに私は当然のことだと言った。
「だけど、 今日お茶会をしてたでしょ。以前からあなたは面識がある人がいたわね。 その中で依然話をしたことのある人もいたでしょ?なんにも違和感のない話だったけど知らないと話せない。それにご年配のお婆様もいらっしゃってたでしょ?お客様に。」
「ああ、スリランカのおばあさまかな?」
」
「その方にテーブルに乗っていない飲み物をキッチンから持ってきた。 これは前から小さなころから相手を喜ばせようと思って作る特別メニューね。 小さな気遣いだったのあなたの癖 ね。 だからね。 アンジェラあなたが私の娘 なんだって。なんとなくやっとわかったの。」
「あの人はごあいさつしたとき手が冷たかったから、冷え性なんだなって思ってジンジャーティーをホットで用意したの。」
小さな気遣い――その言葉は温かく胸に落ちた。
――ママもこの逆行転生になじめなかったんだなって。
これが他人ならどれほどいい事だろう。普通中身がある日突然変わってしまったら、それも自身のこどもだったら・・・。
だけど、素で心配したただの配慮がママに載っては昔からいるアンジェラの行動にピタリとはまった。
私と前世の私が合わさったってことだろう。
ママから話を聞くと去り際言っていたのは明日にでも電話を頂戴、説明するわって言ってたらしい。
説明のくだりを言った相手は3人。私に向かって戸惑った顔で真剣に話をしてくれていた人を選んだそう。
「いざという時に何か外部に協力者がいるのといないのとでは人生の進み方が変わりますからね。」
貴方は学校でいなくても説明しておくからと言われた。
この感じだと3人 お友達になるらしい。
これで、インドネシア以外、スリランカとタイ語の言葉で警告することができるようになった。
パパはパパで、大学のアルバイトを募集したと言っていた。
12月10日
海洋物理学の研究者としての所謂大学内に限る権力と、提携する大学教授とのスケジュールの兼ね合いで。
事務局へ冬休み期間の特例使用を申請するというカバーストーリーをたてたらしい。
「今回の巨大地震シミュレーション研究のデータ解析は、提携先の教授が来校できる12月26日から31日の6日間しかできないんだ。どうしてもこの期間、パソコンルームの開放と暖房の確保が必要だ」
事務局は当初、休暇中の特例に難色を示したが、パパの執拗な熱意と「相手のビックネーム」という大義名分に負け、最終的に許可を出した。
勿論今日があとほんの少しで仕事終わりで家にとっとと帰りたいという事務局の心の都合もあっただろうが。
そしてパパは、地元の大学生に向けて、高額の有給スタッフ募集の貼り紙を。
「研究スタッフ募集。
期間:12/26-12/31 時間は13時~午後8時まで
PCスキル必須
インドネシア語、タミル語: スリランカの北部・東部やインド南部で話される言語、タイ語に堪能な物はプラスアルファ。
基本給は日給80ドル、技能プラスは100ドル
内容はYahoo!掲示板等のデータ収集・整理」と。
「なるほど、整理にかけた救出情報の整理ねパパ。」
「まぁ、実際に地震が起きなくても、以前からまいてある、警告に対してあらゆるメッセージが届いてくるだろうし、インドネシアの海洋に関しての記述もここ数日何個か出てるが、語学に堪能な子が来てくれたらそれはそれで有意義な時間になるかもだしな。」
「でもあなた、共同の教授って大丈夫なの?」
「今回のことはすべて話してる相手だし、大丈夫だ。あいつ自身2年前に奥さんを無くして、しかも子どもは留学先で旅行だから時間が有り余ってるっていってたし、今回の結末に非常に興味があるからって快諾してくれたよ。」
その言葉を聞いて、私も決意した。
お小遣いを使って、私が書いた未来知識——前世の国である日本の事件や災害を記憶しているだけのものだが、書き止めた。
それをコピーして、封筒に入れ、何人かに未来を託す。
今ならおそらく――絶大な効果があるはず。1週間から10日間で到着するだろう。
どうせあの国は真実を公表したりはしない。
アメリカのようにニュースはニュースでなく、政治的思惑が絡んだものが多い。
どこかの国からの横やりでオープンにはされないだろう・・・だけど、きっとなにか役に立ってくれるの事を信じて。
「後は・・・・・どうしよう?」
12月12日
日曜日、月に2度ほどくる協会のミサに出席した。
本当は黒人教会のゴスペルが聞きたかったけど、ぐっと我慢。
とりあえず、姿も見えないしなんなら見えたら問い詰めたくなる神様に本気でお祈りした。
当たりませんようにって。
記憶が無くなりますようにって。
カードコレクターの主人公じゃないんだから予知夢なんてありえない。
でも嘘つきでも動いておかないと後悔する気がするどうしたらいいですか?神様・・・・。




