2話 夫婦の相談事
「さて、ママ。もしかしたらもしかすると、確証の高い未来情報かもしれないよあの子の言うことは。」
「何?あの子の言葉本当にただの想像じゃないの?そりゃあ、あんなに取り乱すアンジェラを見るのは大きくなってからは初めてだけど、所謂少年期特有の言動に当てはまる可能性だってあるじゃないの。」
「‥…いやな・・・じゃあ、どうしてスマトラ沖地震の詳細な情報をあんなにもスラスラ言えたんだ?そもそも、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに沈み込む海溝型巨大地震の多発地帯っていうのは海洋系の研究者には割と知られている話なんだ。」
レナードが言うと冗談でも、 本当のことのように説得力があるから緊張するわ。
「なるほど・・・そういえばあなたの専門と被ってるものね‥‥地震は。」
「――過去にも、地震が起きているところだしね。それに、2000年の時も津波こそ無かったが、大きな地震で人も亡くなっている。もしも今月のあと数日で‥‥起こってほしくはないが、誘拐事件が報道されるか、情報が来月にでも入ってきたら?僕は大学の近くの図書館で暫く日本の新聞を読んでみるよ。確か英語に翻訳されているものもあるから。」
手帳にスケジュールを書き込むレナード、まさかあんな言葉を真に受けて情報を集めに行くなんて‥…親ばかねぇ。
「そりゃあ、ニュースで見た気がするけど・・・・・。」
勿論海底のことにそこまで詳しいわけじゃないけど、うっすら記憶にあるわ。
「数百年前の時の噴火で大津波が起こったとされる記録が確かあった気がするが・・・・・それも確認してこよう。」
頷いて冷静に事実確認をしようとするレナード、研究者ってみんなこうなのかしら?
もしも、あの子の話していることが本当だったとしたらどうしましょう・・・。
あの子と一緒に責任の重さに耐えられるかしら?
「勿論、ただの一時の妄想かもしれない。むしろ突然14歳の娘が私は未来の知識を持ってるの!!パパ地球の危機だから助けて!!って言ってるスーパーガールのほうが突飛でもないからね」
笑いながらパチッと片目でウインクしていうレナードはやっぱり素敵。
おかげでちょっと不安が紛れたわ。
「そうよね・・・・私の好きなサクラもスーパーガールだけど、うちの娘のサクラがスーパーガールになってるっていう設定なら面白いわね!」
1680年と1883年にインドネシアのクラカタウ火山で発生。
この噴火は、約200年の休止していたが、この一連の噴火により165の村が破壊され、3万6417人が死亡、ほか多数の負傷者が出た。
――被害の大半は、クラカタウの噴火そのものではなく、噴火に伴って翌日に発生した巨大な津波によるもの。
と情報が乗っているコピー用紙を渡され私も確認させられた。
「・・・・・2004年で約120年だが確かにまた火山が噴火したらとんでもないことになるな・・・・・。」
翌日27日、深刻そうな顔で家に帰ってきたかと思えば本当に深刻な話だった。
「過去の情報をさがしてくれたの?」
「そうだね。しっかりと精査することがもしも情報を外に向けて発信する場合大事だからね。因みに、地震でどこの地区が被害にあったまで知ってるかい?」
アンジェラに問いかけるレナードに、アンジェラはいったん目を瞑って文字を読むようにスラスラと答えを言ったわ。
「記憶の中のウィキはインドネシアが一番被害が多かったよ。スマトラ沖北端のアチェ特別州西海岸、州都バンダ・アチェや西アチェ県のムラボ?はほぼ壊滅。インドネシア単体で13万人を超える死者が出てる。」
13万人!?その死者の数大きさに私も意見をのみ、思い出して話していた娘 アンジュラも一旦その数の大きさに飲み込まれたように息を飲む。
「・・・・負傷者はおよそ10万人、行方不明者も3万人ほど、当時はっていうか、今現在は独立戦争が国内であるけど、地震の後停戦をお互いに合意してたはず。
国家災害を政府は宣言してる。」
震える声で 当時の政治の状態を説明し 当時の その国の家の耐震補強についても言及している。 これは本当に14歳の女の子が話す言葉? 本当に私の娘?。
確か当時の家はあまり耐震補強工事はされてなかったし、レンガの家が多かったし、農村部は木材やヤシの葉を使った簡易的な家も多かった。
津波に根こそぎ流されて、跡形もなくなった画像を見た覚えがある。
過去のニュースはがれきの山を映してた。遠くの日本で過去のことだったけど、凄く切なくなった。
当時の町の人びとの絶望は計り知れないと思ったのを覚えてるの。
過去の私の知らない話をするアンジェラにレナードはただ真剣に質問した。
「・・・・それだけ大きな地震なら他にも被害があったと思うがどうなんだ?」
「そんなに!?」
「確か、次に多いのがスリランカ、死者は3万5千人を超えていた。
行方不明者多数で、家を失ったものは83万人以上国家非常事態宣言を出してる。
衝撃的なのが列車が津波に流されて転覆してた。
――それに続いてインド、死者は1万2千人超えてたし、行方不明も1万人以上、
とある島は一時全域で水没したって書いてあったわ。それからタイ、そこでも死者は5000人超えてる。それからモルディブ、ミャンマー、って続いて各国で被害が出てる。」
血の気が引いて頭がぐらつきそう。私だけでなくレナードもアンジェラも暗い顔をしている。当然よね?グッドニュースでなく、死の宣告を受けたんだもの。
レナードと無言のやり取りの後頷いた。
「一先ず、パパの友達で地震に詳しい人がいるからパパと一緒に潜在リスクを作ってもらいましょう。それから・・・・私の友達にインド人がいるから週末にでも多国籍パーティーでもしましょうか。呼べる人は呼んで」
「インド洋には津波警報システムがないからな・・・沿岸住民だって120年もの昔じゃ津波の知識はほぼ皆無だろうし・・・・。そもそも咄嗟に動けるだろうか・・?」
「携帯電話に乗ってる友達は全員来週の日曜日に呼べる限り呼ぶわね。」
出来たら、来ないでほしいけど、来るかもしれないなら動かなきゃ。
来週なら結果も出ているし、ちょうどいいわ。




