14話 為すがため
14話 為すがため
12月26日午後5時半。
トウモロコシにかぼちゃ、それからゴロゴロとした大きなサイズの鶏肉をいれたルーから作ったシチューと、スパイスの入った野菜だけのカレースープ。
照り焼きチキンとニンジン、キャベツのマリネ、酢漬けの玉ねぎを挟んだ具だくさんのサンドイッチに、チキンだけウエストバンク周辺で買った油揚げに変えて素焼きでカリっとさせたものをチーズでまろやかにしたサンドイッチを半分にカットしたものをたくさん準備した。
どうせあまっても明日朝食べればいいから。
サンドイッチはともかくスープは電子レンジで温められるタッパーに入れて凍らせておくだけで優に3週間は持つし。
「・・・・・多いような?」
「まぁ、30セットだもの。当然よ。」
「明日はデリバリーにしてもらおうね。」
「毎日これだけ作ってたら流石に疲れるものね・・・」
ママとお互いに頷きながら綺麗にラップで包んで、紙コップや紙のスプーンの準備をして・・・・・所謂キャンプグッズをセットしてママと一緒に大学へgo。
「あれ?ギデオン捜査官は?」
6時少し前に到着したので荷物を出してとりま、お鍋を入れた発泡スチロールの箱を持ち、私はパソコンルーム近くの休憩所に運び出した。
他の物も順次取りに行き料理を母と二人で鍵を受け渡しながらえっちらほっちら進んだのだ。
テーブルセッティングは流石に手伝ってもらおうと思い、パパたちのいるパソコンルームにいくとギデオン捜査官がいなくなっていた。
「彼なら帰ったよ。ここのパソコンからデータを送信できるように手はずを整えたのちに、すぐさま帰還命令がくだったんだ。」
「そうなんだ・・・・。ってことはサンドイッチ一人分余るかな?」
「余るかどうかはともかく、みんな休憩所まで行って一休憩をとってくれ」
「まだ・・・・情報が・・・・アバッもマも連絡が・・・!!」
「今の向こうの現地時間は13時間プラスで朝の6時。膨大な人数が行方不明になってるだろうからどうしてもすぐには情報は来ない。いい加減一息ついておかないと長時間忍耐が持たないだろう?だから軽食を食べる時間が必要だ。これは、ここにいる何名かは難しいが、悪いが業務指導みたいなものだよ。」
「温かいシチューと簡単なサンドイッチを準備したわ。」
「・・・・わかりました。」
「休憩なんてしないで探したい・・・・!空港のチケット!」
パソコン画面を空港のチケット画面にして叫んでいる青年がいる。
「事情はなんとなく察しますが、やめておいたほうがいいですよ。・・・あなたはどこからの留学生ですか?」
「ムラボだよ・・・。場所はスマトラ島の西海岸の近く・・・・故郷を心配して帰るのをやめるってどういうことだよ!」
パニックになっている青年に娘は残酷に告げる。
「貴方がたは国外にいてこそ救助の手をつなげることが可能になる可能性が高い・・・・。特に滑走路も冠水しておそらく飛行機で降り立つことが困難な時は特に・・・・」
「そんな情報どこにものってないじゃないか!!ここの掲示板でもニュースでもなんにも・・・!!!」
弾けるように顔をあげて娘の顔を見ると、おそらくその幼さに驚き顔を歪めた。
「・・・・—— 。載っていなくてもわかるんです。いいですか?津波はスマトラ沖付近で起きました。その後、とんでもないスピードと勢い、高さ、重さで国をおそいました。沿岸部にある飛行機場なんて道路の状態も・・・管制塔も無事かさえもわからない。」
続けて言葉を探すように、しかしアンジェラはしぼりだすようにいった。
「流してくれるニュースキャスターや取材班のための道路、交通網なんて壊滅してるに決まってるんです・・・・。何人?何万人死んでると思ってるんですか?インフラが壊滅してるのに地獄に行くにもきちんと準備もせずに行くなんて馬鹿のやることです。」
・・・・飛行機のチケットの予約画面の履歴が何度も何度も乗っていたのを私は知っている。アンジェラのお小遣いがあれば滞在費くらいは優に捻出できただろうし、実際に高台の場所にあるホテルのホームページの履歴・・・・。
「地獄?なんでそこまで被害を予想できるんだ!?何もニュースでもなにもカウントされてないじゃないかまだ!父も母もまだ生きてる!連絡が出来ないだけでまだ生きてる!生きてるはずなんだ!!大変な時に帰れなくて何が家族だ!!」
激高する青年にアンジェラをかばうためにも、青年のためにも私はいった。
「一人では救助はできない。でも何人も集まって獲得した情報で助ける可能性が少しでも上がるなら――君たちは、大切な人のために動くべきだ。」
「・・・・だが、ムラボの町はおそらくインフラが壊れているのだろう。通常便りが無いのは元気の証拠というが、地機局も病院も政府関係の建物も破壊されているとすれば・・・・孤立している可能性が大きい。」
「動くためにも――温かいガソリンを入れる必要があるんだ。娘と私の奥さんがつくって持ってきてくれた、宗教的にも配慮されている食事だ。泣いてもいい、だが食べろ、力をつけて立ち止まらないよう、今は心を強く持ちなさい。アドリアン・サプトラ。」




