第三十三幕 「円卓にて」
世界には定めがある
我々にとって逃れられぬ定めであるのと同様にだ
生まれ、栄え、衰え、やがて死ぬ
「『定めの時』がいつで、どこなのか。それは見るものによって違うのよ。」
王城の地下、深部中層。
『賢人会議』は既に執り行われ、魔具『円卓』は既にその光を失っている。術式は解除され、元の薄暗い部屋へと戻ったのだ。
だがその場にいるものは、誰一人として動こうとはしない。
唯一、陣の光が収まった直後に執事長が一人動き出し、各々の杯に用意していた酒を注ぎ直した。
為政者の杯に、将軍の杯に、知者の杯に、そしてその後継者であるソフィアの前にも杯を用意して中身を注ぐ。
酒を注ぎ終えた執事長は、そのままどこか奥へと消える。
その間、誰一人として語ろうとはしない。
だがやがて、エリオットは杯に手を伸ばし、がっしりと掴み上げると一気にその中身を喉へと流し込んだ。
そして間を置かず口を開く。
「余の言った通りではないか。ここまで望ましくないことが語られるなど、正直この場で最も聞きたくないことであったわ。」
そう吐き捨てる。
ガレンもまた苦々しい顔のまま深いため息をつくと、目の前に置かれた杯をひっつかみ飲み干した。
「陛下の仰る通りではありますがな。何も予想されていなかったことでもありますまい。」
やや疲れた眼差しの将軍もまた、吐き捨てるように言う。
王の顔が忌々しそうに歪む。が、彼はそれを否定しない。
「ほっほ。それが遠い先の話かごく近い未来の話。その程度の違いでしかないからのぅ。やることはなんも変わりゃせんわなぁ。」
執事長が酒を注いだ直後に一人杯に手を伸ばし、ちびりちびりと味と香りを楽しむステラーノの反応は二人とは違うものだ。
「ソフィア。お前も座れぇ。この会議はこっからが長いんじゃ。」
いつの間にか背後に椅子を持ったセバスが歩み寄ってきている。
「ソフィア様、こちらを。」
「感謝いたします、セバス様。」
淑女の振る舞いのごとく、執事長に勧められた椅子に音も無く座るソフィア。彼女もまた卓上の杯を手に取ると、中身を口にする。
そして舌がそれに触れた瞬間、驚いたように目を見開く。
「お気に召しましたかな、ソフィア様。ハリルの946年は無理ですが、こちらも名高い一本でございます。」
「これ、キャトル・モートですか……。」
「ほ、若造が。無駄に酒にばかり舌が肥えよって。」
「左様でございます、さすが名門ブレイズ家の御息女。お分かりになられますか。」
「え、キャトルの60年物って……!」
驚きとともに再び青ざめるソフィア。
「まぁ最後の競りは5000万ほどだったかのぉ、この程度の熟成に随分と群がったもんじゃなぁ。」
「し、師匠。60年物の最高峰をこの程度などと。」
「わしの四分の一も生きておらん。小童じゃてぇ。」
珍しく酒が進まず狼狽え続ける弟子の有り様に、再び満足そうに笑う。
「はっはっは。賢者殿にしか言えぬ洒落た言葉ですな。この重苦しい空気にも実にありがたい。」
呵々大笑し、嫌な空気を吹き飛ばそうと大げさに宣うガレンもまた、ソフィアの反応をとても楽しんでいるようだ。
先ほどよりかは幾分ましな顔で杯を上げて、セバスにお代わりを要求している。
「言わせておけ。余も考えがまとまっておらん。しばし酒好きに囀らせておくのがちょうどよい。」
そういいつつ、エリオットも幾分ましな顔だ。
開けた杯を差し出して執事長に注ぐ様に促す。
「皆様が多少なりともお心安らかであるならば従者冥利に尽きます、よろしければ肴も用意いたしましょうか。」
「はぁ……頼む、セバス。爺のいう通り長引きそうだ。」
エリオットはため息交じりに即答した。
「承知いたしました。ボトルはこちらに。」
そういって執事長はワゴンを指し示し、一礼の後に再び奥へと消える。
「しかし、なぜマグノリアではなくソフィアを連れてきたのか、得心の往く内容でしたな。」
「あれは真なる魔王ではなかった。そういうことであろう?」
ガレンとエリオットは続けざまに語る。
「左様。此度の大戦において、各所の報告にあった戦況と戦果、星の動きを読んだ時、儂はずっと違和感が拭えんかったんでのぅ。だが、こやつの報告書を目にしたときに腑に落ちた。」
「なぜ仰って下さらなかった、賢者殿。」
「んなもん確信を得られなかったからに決まっておろう。いくら儂とて、この話の意味するところが世界にどのような影響を及ぼすかを考えれば、易々と口にすべきではないことくらいわきまえておる。おぬしらも含めてじゃ。」
ガレンの苦言に即座に口を開き理由を並べ連ねるステラーノ。
将軍は渋い顔をして口を噤む。
「良い、ガレン。まずはソフィアの所感を聞こう。」
二人の会話を手で制しつつそう言った。
「爺からこの場における作法は聞いておろう。自由に語るがよい。」
王は弟子へと向き直り発言を許す。
「承知いたしました。」
ソフィアは王の言葉に従い、卓上に杯を置くと立ち上がって語り始める。
「最初の違和感は、かの地における魔王軍との諸戦にありました。
個々の戦力は魔族の脅威を十二分に有した油断できぬ相手ではありましたが、軍として組織的な連携を欠いた散発的な遭遇戦のみ。
これは私たち討伐軍へ向けられた部隊だけではなく、初期の大開戦以降の本隊に向けられた敵軍についても同様です。
初戦こそ大部隊による多様な兵科と規模の強大な部隊との戦闘でしたが、以降の敵軍による派兵はひどく散発的で直情的な物でした。
これはわが軍における報告書からも陛下や皆さまがご存じの内容かと思います。」
「うむ。あの初戦はセレナとソフィアの助けが無ければ敗退していたものと評価する程の敵規模だった。だがそれは奇跡と実力によって覆され我々は橋頭保を得るに至り、その後の戦況を大きく安定させた。」
「余を含め。ガレン、イグニス、バルドゥスの三将軍すべてが同意した予想戦闘規模を大きく上回ったのは事実。だが、同時に緊急を見越して討伐隊を救援可能範囲にとどめたのもまた事実だ。」
将軍の言に続き、王もまた反省を含む初戦の所感を述べる。
「儂の忠告に従ってのぅ。」
それを一笑に付すように賢者はすまし顔で宣う。
「師よ。お言葉ですが、あの『快速飛空艇フロストスピア』の深部突入案は少々無謀が過ぎました。想定地域までの飛行はどのみち叶いませんでしたし、現場にて反転援護作戦を進言したのは聖女セレナでございます。それに私が賛同し、勇者レオンを説得した結果が、あの『光の抱擁』です。」
ソフィアは師匠を睥睨しながら一言物申す。
「わーとるわぃ。戦争というのは生き物じゃてぇ、戦況なぞあっという間に変容する。双方に予想される不利的状況、それを織り込んでの忠告にきまっておろうがぁ。」
ステラーノは面倒くさそうな顔をして弟子の言葉を跳ね除けた。
「ソフィア、我々もそれは承知していたことだ。想定した状況は悪い方向に収束していたが、それを覆したのは賢者殿の備えとお前たちの判断だ。私を含め、他の将軍たちもそれは感謝している。」
「恐縮に。」
「ソフィア、続きを申せ。お前は魔王軍との戦いで何の知見を得た。」
「は。散発的かつ無秩序で連携の取れていない遭遇戦のおかげで、我々討伐隊は予想よりもはるかに容易に行軍が出来ました。副次目標である『絶氷の棺桶』の調査こそ断念せざる追えない状況ではあったものの、戦闘と進軍については一切の問題がなかったと評価いたします。」
「目標達成が2年で済んだという結果は、実際の想定よりも1年ほど短かったな。驚くと同時に安堵したものよ。」
「まったくだ。たとえ超一流の戦闘力を持つ者たちとはいえ、少数潜入任務に若者を仕向ける決定を下したこと、余にとっても忸怩たる思いだった。」
「老兵にはむしろできんことじゃろ。」
「賢者殿、それはもちろんその通りですが……若者の為に死ねぬ老兵の気持ちも考えていただきたい。」
「はん。そんなもんは独りよがりじゃて。ソフィア、続きを話せぇ。」
王や将軍の胸の内を鼻で笑いながら、賢者は弟子に先を促す。
「はい、師よ。……私が最大の違和感を覚えたのは魔王戦の直前まで、そしてそのあとの魔王との戦いでした。
魔都の中心、魔族の王城を攻略する間、我々討伐隊は分隊規模にすら遭遇しておりません。我々と同数か、それ以下のごく少数の部隊。個の戦闘力で魔族を凌駕する我々にとって、王城での戦いは掃討戦とすら思えるほどの安定した内容でした。
しかし、順調に奥まで進んでいき、構造的に玉座の間へとつながると思われる回廊の先にいた魔族の将は違っておりました。
そのたった一人。名も知らぬ魔族の将との戦いは苛烈を極めました。
巨大なのに素早く、剛腕から繰り出される攻撃はどれも致死級、物理的にも魔術的にも高い防御を有しており我々の攻撃をものともしない身体。その体が内包する高い魔力から繰り出される魔術は精度こそ欠いていたものの、避けようもない驚異的な物でした。おっさ……グラム殿の守りがなければいずれ瓦解していたと確信できるほど。
あの盾と私の拮抗術式によって時間を稼げなければ、レオンの光輝煌術を練り上げられず、状況の打開は不可能でした。
今まで遭遇したどの魔族より、今まで攻略したどの戦闘より、初戦の大規模戦闘すら霞むほどの戦いだった、そう思います。」
「余も報告書で詳細を読んだ時は背筋が凍ったのを思い出す。」
「あれが魔族の将であり、魔王の配下であること。我々にとって魔族が永遠に油断ならぬ相手であることの証明。私もそう感じた。」
「そもそもの生命体としての階級が違うのじゃ。見解が甘いわい。」
「爺、お前やガレンは魔族との戦いも経験しておろう。その時にはその片鱗は感じなかったのか。」
「ないのぉ。あれは魔族の中でも特級じゃろう。しかし異常個体などではない。」
「……想定を大きく上回っていたと言わざるを得ませんな。」
「その脅威の先で待っていたのが魔王ザルヴァドス。ソフィア、お前はその者との戦いにおいて何を感じた。申せ。」
「……有り体に言ってしまえば、玉座を守っていた先の将軍より弱かった……でしょうか。
確かに魔術的才能においては姉弟子マグノリア様に比肩する虚術使いであり、彼が放つ氷のマナは私の炎を凍らせるほどでした。
しかし、魔族としての生命力の高さ、身体の頑強さ、それを担う膂力の高さといったものは一切感じられず。
玉座に入って魔王を目にしたとき最初に感じた印象は『ただの魔族の風貌をした優男』程度のものでしたので。なんというか、いろいろと想定外であったことを思い出します。」
「報告書もそうだったな。魔族の将の戦闘と、魔王との戦闘の内容において。報告の量が逆ではないかと勘繰ったものだ。」
「しかしだ、ガレン。お前の様に上に立つ者が必ずしも個の戦闘力で優れるとは限るまい?イグニスやバルドゥスにお前は個の戦闘において勝てぬのであろう?」
「それは仰る通りですな、陛下。だが、『力の信奉者』や『暴虐の獣』と呼ばれる連中の長が……魔王その者が、その総合力において配下に劣るというのは考えづらい話でしょう。」
「む……そうであるな。」
「どっちでもええし、ありえんことではないじゃろう。そもそも、魔族の力関係は何も暴力だけでは決まっておらん。おぬしら『リヒテアの極地報告書』を知らんのかい。無勉強だのぅ……。」
「なんだそれは。余の知識にはない。」
「確か……『極寒の死地』を魔都まで単独調査し帰還したとかいう、大魔導士リヒテア・エラン・ヴァードの報告書……というか冒険譚だったかと。」
「え、師よ。あれは作り話ではないのですか?」
三者三様の反応。
「理論上、潤沢な魔力を有しており魔具と魔導器を大量に準備して、負のマナの抵抗値の高い人物であれば単独踏破は可能じゃ。儂やソフィアにだって準備すれば可能だ、アホすぎてやらんだけでなぁ。」
「だとすれば、確かに狂人の所業ではあるが……それが何だというのだ。」
「書籍では魔族の生態について触れている内容があり、その中に魔族の力の信奉者である側面を否定する内容というか……単純な力比べではなく、知恵による制圧によって上に立つ者が存在する。というか……魔族同士の婚姻における風習のようなものに関する記述がありましたが、それのことです……かね、師匠?」
「ほう、よう覚えとるなソフィア。」
「……つまり、知者がその知略によって魔族の王になることも可能。そう言いたいのか、爺。」
「可能性の話じゃ。無理筋なのは儂かてわかっとる。しかしおぬし等が大戦中に魔族から回収した未知の魔具の存在はどう考える。」
「……推定精神干渉系魔具。『遺物』の存在か。」
「左様じゃ。そういった我々の人知を超えた存在が複数確認されている魔族の文化圏において、我々の知見なぞ砂上の土台に建てられた理論にすぎん。
故に、ソフィアが感じた弱すぎる魔王についても不思議な話ではないということじゃ。」
「なるほど……『遺物』を用いた知者による魔族統制……主戦派による権威の失墜、連携の取れていない散発的な部隊。最強の魔将による魔王の守護。……繋がっておらんわけではなさそうだな。」
「ガレン、おぬし何が見えておる。余にも説明してくれ。」
「ぬぅ……まだ考えがまとまっておらんのですがな。」
気がはやる王と将軍、それを面白そうに眺める賢者。
考えるガレンの邪魔をしてはならないと思い、ソフィアは語りを止める。
ガレンの言葉を待つ王もまた、状況を見守る。
賢者は一人、ボトルを魔術で引き寄せると中身を杯に注いだ。
「お話は弾んでいらっしゃるようですね。肴と軽食をお持ちしました。陛下、暫時休憩を取られてはいかがですか。」
時を見計らうかのように、執事長はワゴンを押して現れる。
流れるようにそれぞれの前に軽食と酒の肴を盛り付けた皿を配膳する。
「……そうだな、小腹が空いた。会食前だが軽く休憩を取ろう。」
そう言ってエリオットはすぐさま料理に手を伸ばした。
「しょうもないのう、お前たち。この程度の思考で悲鳴をあげるとは、脳の鍛えが足りておらん。」
「賢者殿にそうおっしゃられては敵いませんな。」
ため息交じりに同じく料理を手に取るステラーノ。
ガレンは語るも手は伸ばさず、虚空を見つめたまま思案にふける。
「知将ガレンも大賢者ステラーノの前では形無しか。忌々しい爺め。」
「じゃかしゃぁ。器の小さい餓鬼どもが。儂からしてみれば、この程度の知識と思考で知将を名乗る方が悪い。小心者どもめ、お前の心臓は蚤の鼓動程度かぁ。」
「言ってくれる……。」
「し、師よ。陛下にそのような物言い、さすがに無礼が過ぎるかと。」
「良い、ソフィア。この場において、この老獪な妖怪に勝るものなど存在しない。これでもこの老害はわきまえておるのだ……この場以外ではしかと余にも敬意を払うふりをする。余の立場を酌んでな。」
「気遣わんでもいいくらいに成長してくれれば儂も楽じゃがなぁ。」
「……差し出がましい口をききました。」
「だからよいのだ、ソフィア。お前も『賢人会議』に参加する資格を得たのであれば、この場の空気に早々に慣れることだ、でなければ普段無駄にくろ――」
「そうか、鼓動か。」
酒と肴に談笑をする彼らを他所に、ずっと考えこんでいたガレンが突如として声をあげ話を遮る。
「……どうしたガレン。鼓動とはなんのことだ。」
「ほ、ヒントも役に立ったか。ちったぁ考えた様じゃの。」
「師よ、本来であれば伝承を常に思考材料に組み込むなど無理な話にございます。」
「語り継がれることには相応の意味がある。伝承を古き知者による荒唐無稽な旧理論と侮ると、足元を掬われるぞぉ。ソフィア。」
「だから何だというのだ、鼓動とはなんだ。蚤の話が関係するのか。」
一人話の見えないエリオットが不満げな顔になる。
「……陛下。おそらく将軍が言っているのは『魔王の胎動』のことかと。」
見かねたセバスが王へと口添えをする。
従者としての自然な振る舞い。
「いや、しかし……あれは口伝が元の伝承の類で、有史以来観測されていない現象。もしくは旧人類における大規模噴火の誤認だと。」
だがエリオットもそれを知らぬわけではない。
「陛下、逆を言えば今まで観測されていなかったということは、旧魔王ガルドリウスが一万年を生き『絶氷の棺桶』に安置されてから後の二千年間。真なる魔王は不在であり、我々が討伐した前魔王ザルヴァドスは仮初の魔王。もしくは、魔王代行者でしかなかった。そう考えられなくはないですか。」
「……余は偽物の魔王軍に翻弄されていた。ということか。」
「そうは申しておりません。王のいない、もしくは王足りえぬ存在が統べる魔族だったからこそ、我々は勝てた。そういう幸運の話ともいえます。」
「そう……言えなくもないがな。しかしガレンよ、それは今までの話であろう。爺の話はこれからの話だ。」
「そうじゃ、ようやくわかってくれたかのぅ。」
「だがな……『星読みの賢者』よ、お前がそれを予見したとてだ。いつまでにどれ程の相手を想定して軍を再編せねばならないのか。それがわからぬことには余は為政者として決を下せぬ。その程度のこと、重々承知しておろう。」
「はて、儂の言ったことを理解しておらなんだか?」
「近い将来。そう言っておったな。それはいつだというのだ。賢者よ。」
王と賢者の間に嫌な気配が流れる。
同じく国を憂いながら、認識の差が生み出す不協和。
賢人会議の面々とてこのざまだ。
―だが、世界がそれを気にすることはない。
定めの時は必ず訪れる。
「陛下は今手が離せぬ。夕刻までは一切の連絡を絶てと言ったはずだ。」
突如、執事長が小さく呟く。
彼の配下から緊急の魔導通信が入ったのだ。
それくらいのことはこの場にいる全員がしっている。
そして、誰もが理解した。
今この状況下を知ってなお連絡を取ってくるということの意味を。
「セバス。何事だ。」
状況を聞く王の口調が固くなる。
「いえ、フォティナからの緊急通信です。……まて、なんだと?」
零番隊大隊長からの緊急通信。
「セバス殿。内容は。」
いつの間にか置いてあった得物を手に取ったガレンは既に席を立ち出口に向かい歩き出している。
「お待ちを。……わかった、すぐにお伝えする。将軍も同行して頂く。すぐに人を揃えなさい。本件を特定秘匿事項に指定します、人選を慎重に。」
只ならぬ雰囲気にソフィアも状況を見守る。
「いうたじゃろ、そう遠くはないと。まぁ、儂もそれが明日か一年後かはしらんがの。少なくとも今ではあるまいて。」
賢者もため息交じりに立ち上がると、魔仗を台座から引き寄せた。
「セバス。」
エリオットは王冠を取るのも忘れて執事長を見つめ説明を促す。
その瞳には隠しきれない狼狽と悲壮感が灯っている。
「……聖女セレナ様と同行中の零番隊特務官ルーカスより、特定魔導通信での報告申請がありました。内容は……“『魔王の胎動』に関する情報を得た。”とのことでございます。」
誰もが息をのみ、目を見開いた。
―また一つ、歯車が噛み合い回りだす。
“定めの時”
その瞬間を目指して。
世界が動く。
7000字だって……
長くなっちゃった。
おさらいと追加説明を兼ねた勉強会(中級)です
眠くなるね。
ぐー




