優しさとは?
「おはようございます。はじめまして。私は真女と申します」
子供が寝ぼけ顔で私をボーと見つめるので、とりあえず自己紹介をしてみました。
一緒に寄り添ってから 数時間が立ち、空も暗くなり、野営をすると男性が言っていました。
何かドロッとした食べ物をくださいました。
他の人は表情がないまま 淡々と食べていました。
「おはようございます。僕・・・・お母さんはどこ?」
「すみません。あなたのお母さんは解りませんが、お食事を頂きました。コレがあなたの分ですよ」
出来るだけ笑顔を心掛けます。
大人の私が怖いと思っているのです。
こんな小さな子なんて もっともっと怖くて心細いでしょう。
「そう・・・お母さんは大丈夫だったのかな?お姉さんは、どうして僕に優しくしてくれるの?」
「それはですね。私は怖いからだと思います。なので、一緒にいて欲しいのだと思いますよ」
「大人なのに?僕は子供だよ?力も弱いし、足も遅いんだ。だから、きっと、僕だけ捕まっちゃったのかもしれない」
ジワっと また大きな瞳いっぱいに涙を溜めてしまいました。
追いかけられて、怖かったでしょうね。
1人で心細かったでしょうね。
「私は大人ですが、捕まってしまいましたよ?他の方も沢山います。あなただけではありません。子供はあなただけですが、お母さんを心配する優しさがあります。それは とても素敵な事です。自分が大変な時に人を思いやれる人は、とても素敵です。そして とても強い方です」
「お姉さん。変な人だね」
子供は少し困った顔をしながら、ホッペが赤くなりました。照れですかね?可愛い。
「うふふふ。よく言われます。変だって。さぁ。食べましょうか 冷めてしまいましたが、腹が減っては戦が出来ない!と言いますからね」
「うん」
「頂きます」
私が両手を合わせて言うと不思議な顔をされました。
「これはですね。料理を作ってくれた方と、その食べ物を作ってくれた農業の方に感謝を込めて、食べる前に言うのですよ。食べ物は大切ですからね。食べれるって幸せですよ」
「そうなんだ。僕、今まで そんな事した事ない」
「私の国でもする人と しない人がいますよ。私は お婆ちゃんと一緒に暮らしていたので、お婆ちゃんに色々 教えてもらってました」
「・・・・頂きます」
うふふふ。可愛い。とても素直な子ですね。
とても素敵なお母さんなのでしょうね。
ドロッとした食べ物は、正直 美味しくなかったです。オートミールでも ここまで不味く作れるのは、才能ですね。ビックリです!残さず食べますけどね。もったいないオバケ出ちゃいます!
今度、作っている処を見てみましょう。
「ねえ。あんた。さっきから聞いてたんだけど、良いトコのお嬢さんかなんか?」
いきなり ちょっと色気のある女性が話しかけて来ました。
「え?っと。多分、普通の家庭だと思いますよ?」
「まず、その話し方。そして、奴隷商人に飯を貰って お礼なんか言ってたし、自分の立場が解ってないんじゃないの?」
「はぁ。なにぶん、初めての事ばかりですので、よく解っていないのは 確かです。教えてくださるのですか?」
「はん!なんで あたしが教えなきゃならないのさ!得にもなりゃしない」
えっと。どうリアクションすれば良いのでしょう?
不思議そうに女性を見ていると、嫌そうな顔をされてしまいました。
男の子は 怖がってか 私にしがみ付いています。頭を撫でながら、どうしようか考えていると
「あたしはね。偽善者が大嫌いなんだよ!結局は自分が1番可愛いんだ。いざとなったら そのガキを使うんだろ」
ふんっ!と鼻で笑い、嫌悪を惜しみなく私に向けてきます。
「確かに自分の身は大切ですよ。痛いのは嫌ですし、怖いのは嫌いです。ですが、偽善者ではありませんよ。私には何も出来ません。こんな小さな子供に 大丈夫だよ なんて無責任にも言えません。どちらかと言えば、大丈夫だよ と言ってもらいたいですよ」
「はぁ?何言ってんの」
「捕まってしまいました。私は奴隷が何なのか曖昧にしか知りません。ですが、生きています。そして大人です。頼りにならない人間ですが、子供を守るのも、大人だからです。
私が子供なら大人に守って欲しいです。この子は優しいです。こんなに小さいのに、こんな状況なのに他の方を心配しています。それは素敵な事ですが、悲しい事です。
なら、大人の私は出来るだけ良いところを見せたいじゃないですか。言うなれば、見栄です!」
言い切ったと私は胸を張って ドヤ顔をします。
女性は呆れ果てた顔で下を向きます。
「ふ」
ふ?
「ふふっあはははははは!バカだ!バカだよこの子の!」
いきなり失礼な言葉で 凄く笑い出しました。涙まで溜めてます。
プンプン!失礼ですね! 確かにバカですが、そこまで笑う事ないじゃないですか!
ムーッとすねたら
「悪い悪い。あたしが悪かったよ。偽善者どころか、バカだったよ。あははは!あんた。面白いね」
「ああ。怒らないでおくれよ。あたしの名前はテシラ」
「私はマオです」
「僕は、ボー。ボルテだよ」
「暫くの間ヨロシク。まぁ。奴隷には絶望しかないけどね」
テシラさんは また笑っている。
悪い人ではないのでしょうね?言葉遣いは悪いみたいですが。




