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僕の美少女モンスター  作者: 秋保嵐馬
Ⅵ.僕と美少女モンスターの人助け
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二、老人とみなしごモンスター3

「蘭がしばらく学校休んでたのって、重蔵さんの代わりに工事現場で働いていたからだったんだね」

 稔と重蔵のアパートを出て、僕とケイと普見蘭は、少し歩いたところにあった公園にいた。

「まあね。ちょっと前に、あの二人と知り合いになって……、重蔵さんは両親の居ない稔君を一人で育てているの。もう歳なのに、工事現場で働いてね。でもこないだ体を痛めてしまってしばらく現場に行けなくなってしまった」

「それで、蘭が代わりに現場に行ったのか」

「三メートルの体で行ったら、大騒ぎになっちゃうでしょ。といって、中学生の姿じゃ当然雇ってもらえないし……。で、この変身途中の姿を利用したわけ。大人の女性に見えるし、ちょうど良かったわ」

「蘭」

「ケイ、何か言いたそうね?」

 蘭とケイは黙って互いを見合っていた。

「ど、どうしたの? 二人とも」

「稔君って……、重蔵さんの孫じゃないよね」

「……」

 孫じゃない?

 孫じゃないなら、何?

 養子?

 身寄りの無い子を引き取ったとか?

「孫じゃないばかりか……、人間でもない」

「やはり、気づいちゃったか」

 え?

 ええ!

 ど、どういうこと?

「匂いで分かったわ……。稔君は……、モンスター。それも鳥型や魚型ではない、私と同じ獣型の」

「否定はしないわ」

「重蔵さんは、それを知ってて稔君を育てているの?」

「重蔵さんが、稔君の正体を知っているのかいないのか、私には分からない。聞いてみたこともないし、聞く気もない。ただ一つ分かっているのは、稔君自身は、自分がモンスターであることを知らないってこと。自分を人間だと思っているわ。まさか自分が人外の存在だなんて、夢にも思っていないでしょうね」

「危険だわ」

「……」

「モンスターならモンスターとして、自分の力のコントロールの仕方を、幼い内から学ばなければ。あるとき、突然力が暴走して、周りの人間に危害を及ぼすかもしれない。害を被るのは人間に限らないわ。そうなれば、稔君自身も、きっと自分の体に大きなダメージを受けてしまう」

「言われなくても分かっているわよ。じゃあ、どうしろと言うの?」

「……」

「あなたが育てている稔君は人間ではありません。モンスターの世界に強制送還しますとでも言って重蔵さんから引き離すの? そんな権利が誰にある?」

「それは……」

 詳しい事情は分からないけれど……。

 こないだ、スキュラのララが人間世界に迷い込んできたように、あの稔と名乗るモンスターの子は幼いころ、何らかの事情で人間世界にやってきて、あの重蔵さんに育てられることになったのだろう。

「ねえ、ケイ」

 僕は二人の会話に割って入った。

「その……、稔君が重蔵さんの元で暮らし続けるのって……、何かその……、マズイのかな? モンスターの世界の法律に触れるとか……」

「絆君、モンスターの世界には、人間の世界のような、ややっこしいルールはないわ。でも、のべつまくなし人間の世界にやってくること控えることが暗黙のルールになっている」

「だからこないだ、ラキやカナも人間の世界に来たんだよね」

 先日から、ハーピーのハピの兄ラキと、マーメイドのマナの妹カナが、人間世界にやってきたモンスターの対応のため人間世界に通ってきている。

「ケイ、じゃあ、どうする? おまえにしろ……、そのハーピーとマーメイドの兄妹にしろ、重蔵さんから稔君を力づくで引き離す?」

「そう言ったら?」

 蘭とケイの間に火花が散った。

「や、やめてよケイ……、ケイの仕事は僕のボディガードだろ? 稔君は関係ないじゃないか」

「それはそうだけど……、知ってしまった以上、放ってもおけない」

「今のところ、何も起きていないんだしさ、しばらく様子を見るってのはどうかな?」

「でも、ラキとカナには伝えるわよ」

「まあ、それはそうなるよね」

 普見蘭が踵を返して歩き始めた。

「あ、蘭、どこ行くの?」

「もう、うちに帰るの。おなかも空いたし」

 そうだった。

 普見蘭は、その強大なパワーの源とするため、いつもいつも、たくさんたくさんご飯を食べているのだ。

「掛橋君。ケイ。あの二人を無理に引き離そうとするなら、あたし、絶対に阻止するから」

 蘭はいったん立ち止まり、振り向きもせずにそう言うと、再び歩き出し立ち去った。

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