二、老人とみなしごモンスター2
蘭に案内されたのは、小さなアパートだった。
階段を昇った二階のいちばん奥の部屋。
「牛雷さん、普見です」
普見蘭がノックすると、直ぐに扉が開き、小さな男の子が顔をのぞかせた。
「あ、フランちゃん」
「こんにちは、稔君」
「あれ? その人たちは……」
稔君と呼ばれた男の子は、いぶかしげに僕とケイを見た。
「私の友達よ。掛橋絆君と陸守ケイさん」
「こんにちは、稔君」
ケイはしゃがみこんで、目線を稔と同じ高さにした。
「こ、こんにちは」
稔がちょっとどぎまぎした様子で挨拶を返す。
ケイが美少女だから緊張しちゃったのかな?
僕もしゃがんだ。
「こんにちは、稔君」
なんだかケイと同じ挨拶で芸がないけど、他に言葉を思いつかないので仕方がない。
「こ、こんにちは」
稔がケイのときと同じリアクションを見せた。
なんだ、緊張しやすい子なんだな。 別にさっきもケイが美少女だからどぎまぎしていたわけではないようだ。
「重蔵さん、いる?」
「うん、いるよ。じーちゃん! フランちゃん来た!」
普見蘭の言う重蔵さんは、稔のおじいさんなのだろう。
普見蘭は二人からは「フランちゃん」と呼ばれているようだ。
稔の声に応えて、直ぐに返事があった。
「上がってもらえ!」
「――だって。フランちゃん、入ってよ。その……、お兄ちゃんとお姉ちゃんも」
「じゃあ、お邪魔するね」
普見蘭は安全靴の紐をほどき始めた。
僕とケイも靴を脱ぎ、揃えて並べて置いた。
奥の六畳間ぐらいの部屋に布団が敷いてあり、年配の男性が上体を起こしていた。
「やあ、フランちゃん、いつも悪いね」
「重蔵さん、体起こして平気なの?」
普見蘭は布団の傍らに、稔と並んで座った。
僕とケイは、重蔵さんに会釈して、反対側に座った。
玄関での僕らのやり取りを聞いていたのだろう、僕やケイについて、重蔵さんは特に何も聞かなかった。
「なあに、もう大丈夫と医者にも言われた。明日からまた現場に出てばりばり働くぞ」
「重蔵さん、無理することないよ。あたしが代わりに現場に出るから」
「女のあんたにいつまでも甘えていては申し訳ないわ!」
「そんな。今は男とか女とか言っている時代じゃないですよ」
「ともかく、明日からはわしが現場に出る。あんたに代わりに働いてもらった分もきちんと返させていただくからな。もう少し待っとってくれ」




