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僕の美少女モンスター  作者: 秋保嵐馬
Ⅴ.僕と美少女モンスターと家族たち
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一、掛橋豪快とマミーのマミ1

 モンスターワールドでの戦いを終え、僕らは人間世界の僕の家に戻ってきた。

 僕、ケイ、マナ、ハピ……、そして、嬉しいことに、僕の母さんも一緒だった。


「きーくん、結構きれいにして暮らしているじゃない、感心感心」

 久しぶりに母さんの手料理を食べた夕食後、リビングでみんなで僕の入れた紅茶を飲んだ。

「僕だけじゃなくて、ケイもマナもハピも、みんなで分担して家の事やってるからね」

「よかったわね、きーくん」

 ちなみに母さんの言う「きーくん」とは僕のことだ。

 幼い頃からそう呼ばれているが、中学生にもなって「きーくん」と呼ばれるのは、やはり、ちょっと恥ずかしい。

「きーくんの入れてくれる紅茶はやっぱり美味しいわね」

 母さんの顔は包帯でぐるぐる巻き。

 片目だけが出ている。

 口元の包帯が、紅茶を飲むときだけ開き、母さんはそこから紅茶を口に含んだ。

 包帯が巻かれているのは、顔だけではない。

 服から出ている首にも、腕にも、脚にも、体中に巻かれている。

 別に怪我をしているからじゃない。

 実は僕のマミー(母さん)の正体はマミー(ミイラ女)。

 僕は、人間とモンスターとの間に生まれたハーフなのだ。

「お母様、私も絆君の入れてくれた紅茶を初めて飲んだとき、とても美味しくてびっくりしたんです」

 僕を「絆君」と呼んだ深みのある茶色い髪のショートカットの女の子は陸守ケイ(りくもりけい)。

 中学二年生の人間の女の子の姿をしているけれど、その正体は半人半馬のモンスター、ケンタウロスだ。

「そうなの。ケイちゃん、確かあなたが最初にきーくんのボディガードになってくれたのよね」

「はい、お母様」

 な、なんというか……、ケイの言葉づかいがいつもとちょっと……、いや、相当違うような気がする。

「ありがとう。ケイちゃんみたいな子がそばにいてくれると、きーくんも安心だわ」

「そんな、ずっとそばにだなんて照れてしまいますわ、お母様」

「「言ってない!」」

 そのケイの言葉に対し、二人の女の子が揃って突っ込んだ。

「お母様、私が焼いたんです。お茶うけにこちらも召し上がってください」

 そう言って、ビスケットが盛られた皿をテーブル中央に置いたのは、たった今突っ込んだ二人の内の一人、海守マナ(うみもりまな)。

 きれいにウェーブのかかった青いロングヘアーに緑の瞳。

 マナも人間の女の子の姿をしているけれど、その正体は半人半魚のモンスター、マーメイド。

「ありがとう、マナちゃん」

 母さんは、ビスケットを一つ口に運んだ。

「とても美味しいわ。マナちゃんみたいに料理が上手な子がいてくれて、きーくんも喜んでいるでしょう。いいお嫁さんになりそう」

「えー、そんな、お母様、絆ちゃんのお嫁さんにだなんて」

 マナは両手をほっぺに当てて体をくねくねさせた。

「「違うでしょ!」」

 そんなマナに対し、ケイと共にハモったのは空守ハピ(そらもりはぴ)。

 さらさらストレートの金髪に青い瞳の人間の女の子の姿だが、やはりその正体は半人半鳥のモンスター、ハーピー。

「お母様、あんなことがあったからお疲れでしょう。ボクが肩をおもみします」

 ハピは、そう言うと、母さんの両肩に手を置いた。

 マナもハピもどうしちゃったんだ、いったい……。

 やけに母さんへのサービスがいいな。

 それに、みんな言葉づかいがいつもと違う。

「ハピちゃん、いいのよ、そんな気をつかわなくて……」

 母さんは、自分の肩に置かれたハピの手の上に自分の手を置いた。

 そのハピの指先から肩にかけては包帯が巻かれている。

 先の戦いでハピは翼に大怪我を負った。

 人間の姿になると、ハピの両肩からの翼は腕に変わる。

 人間の姿の時は、翼の怪我が腕に反映されるのだ。

「きーくんは幸せよね。ハピちゃんみたいに、思いやりのある人がいてくれて」

「はい、絆と幸せになります」

「「なんでそうなるのよ!」」

 今度はマナとケイがシンクロした。

 なんだかんだ言って、三人とも息ぴったりだな。

「ハピちゃんも……、マナちゃんもケイちゃんも本当にありがとう。私たち親子のために、こんな大怪我までして……。何とお礼を言っていいか分からないわ」

 マナは、スカートの下から伸びている両足に包帯を巻いている。

 やはりこれも、先の戦いで負った傷だ。

 ケイは、包帯こそ体に巻いていないけれど、先の戦いでは命を落としかけた。

 母さんは、ティーカップを置いた。

「三人とも本当にありがとう。何度お礼を言っても言い足りないくらい。今回の件、感謝の気持ちでいっぱいよ。」

「そんな、娘として当然のことをしたまでです」

 ケイが言った。

「はい、そうです。娘として」

 マナも言った。

「ボクも。娘として」

 ハピまで言った。

 ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って。

 三人ともいつから僕の母さんの娘になったの?

 「娘」じゃなくて「モンスター娘」でしょ。

 単に「娘」っていうと、いろいろ違う意味になっちゃうじゃん。

「きーくん、本当にうれしいわよね、こんな素敵な女の子たちが三人も一緒にいてくれるようになって」

 母さんが僕に話を振った。

 ケイ、マナ、ハピが、じぃーーっと僕を見つめる。

「う、うん……。ある日突然、母さんがモンスターだったんだということが分かって以来、驚きの連続だったけれど……、ケイ、マナ、ハピの三人がいてくれるから、すごく助かってるよ」

 ケイ、マナ、ハピの顔が、みるみる赤くなった。

「や、やだ、きーくん」

「そ、そうよ、きーくんたら」

「て、照れるよ、きーくん」

 な、なんで三人とも急に僕を「きーくん」呼ばわりなんだ。

「見ていて微笑ましいわ。何だか、私が豪快さんと出会ったときのことを思い出しちゃう」

 そうだよ。

 その母さんの言葉で思い出したけれど、僕は母さんに聞きたいことがあったんだ。

 ちなみに、「豪快さん」というのは、僕の父の名。

 僕の父の名は掛橋豪快かけはしごうかい

 「名は体を表す」というが、名前がそのまんま父の性格を表している。

 おじいちゃん、おばあちゃんが、豪快な人になることを願って名づけたんだろうな。

 で、母さんの名前なんだけど……。

 マミー(ミイラ女)であるマミー(母さん)の名はマミ(真実)。

 掛橋真実かけはしまみ――これが、僕の母の名だ。

 冗談みたいだけれど、真実ほんとうなのだからしょうがない。

「ねえ、母さん、話してよ。人間の父さんとモンスターの母さんって、いったいどうやって出会ったのさ……?」

 僕の言葉に、ケイ、マナ、ハピも興味深そうに母さんの顔を見た。

「そうね……。こういうことになってしまった以上、きーくんにもきちんと教えてあげておいた方がいいわね……」

 そう言って、母さんは話し始めた。

 父さんと母さんの出会いの物語を……。

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