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僕の美少女モンスター  作者: 秋保嵐馬
Ⅳ.僕が戦う美少女モンスター娘四天王
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6.駆けつけた蘭と浪子

 ケイが駆け付けてくれたのか?

 その走ってきた者は、僕の手前で跳躍すると、ミアに襲いかかった。

 冴を下半身の尾で締め付けている最中のため、あまり上半身を動かせないミアはそれをかわしきれなかった。

 先ほどとは反対側の頬に、横一線の傷をつけられてしまったのだ。

「く……、新手か?」

 予想外の敵の出現に、ミアの顔にわずかに動揺の色が浮かんでいた。

 ミアの頬に傷をつけた主は、冴の近くに着地し、振り返った。

 中学の制服を着ているが、頭にけもの耳、スカートからはシッポ、そして両手には鉤爪を生やしている。

 人狼化した大神浪子だった。

「浪子! ということは……?」

 僕は冴の横にいる、もう一人に直ぐ気付いた。

 日本人形みたいなおかっぱ頭の小柄な少女。

 普見蘭だ。

 蘭は冴に何重にも巻きつけられているミアの尾と尾のすきまに両手を差し込んでいた。

「なんだ貴様? 素手で私の尾をほどこうというのか? むだむだ」

 蘭は両手に力を込め、冴の体に巻き付いている尾をほどこうとした。

 しかし、びくともしない。

「……」

 蘭は、無言で更に力を込めた。

 蘭の体が徐々に巨大化した。

 おかっぱ頭は短髪に変化し、額には横に縫い傷が走り、両のこめかみには銀のボルトが出現した。

 蘭はフランケン体に変身したのだ。

 制服はぴちぴちである。

 完全に変身を終えた蘭は、あらためてミアの尾と尾の隙間に差し入れている両手に力を入れた。

 今度は、幾重にも巻きつけられているミアの尾と尾の間隔が徐々に開き始めた。

「バカな! 何という力!」

 ミアは、明らかに狼狽していた。

「冴……、しっかりして」

 蘭が呼びかけたが、冴はすでに気を失っていた。

 蘭が緩めたミアの尾の隙間から、浪子が冴を助け出したが――。

「う……、全身の骨が……」

 冴の体に手をやり、その惨状を浪子は悟った。

 蘭は、そのままミアの尾を掴む手に力を込めた。

「あなたの骨も砕いてあげるわ」

 蘭が怒りの表情をあらわにした。

 こんな攻撃的な様子の蘭を見るのは初めてだ。

「ぐ……、痛い……、は、放せ……」

 ミアが初めて動転した様子を見せた。

 ミアは上半身を伸ばすと、蘭に襲いかかった。

 それを受けるために蘭が掲げた片腕に、ミアは噛みついた――が。

「むう、なんという硬さ!」

 フランケン体になった蘭の皮膚には、ミアも文字通り歯が立たないらしい。

 蘭は噛みつかれた状態のまま、腕を振り回し、ミアを振りほどきながら放り投げた。

 ミアの上半身が地面に叩き付けられた。

「ぐふ……」

 蘭は、握ったミアの下半身へ再び力を加え始めた。

「があ! や、やめろ……」

 ミアが悲鳴を上げたが、蘭の強く握る攻撃は止まらない。

「やめてあげてくれないかしら?」

 その時、別の誰かの声がした。

 声のした方を見ると……。

 またもや、知らない女の子が立っていた。

 銀色の長い髪。

 人間体だったミアが着ていたのとは別の高校の制服を着ている。

 察するに、この女子高生もモンスターなのだろう。

「おまえもモンスターだな?」

 気を失ったままの冴をゆっくり地面に横たえ、浪子が新たに表れた女子高生に向き合った。

「中坊の分際で……、高校生に刃向うとどうなるか教えてあげるわ」

 その女の子の体が、どろりと崩れ始めた。

 な、なんだ?

「貴様、スライムか?」

 浪子が身構えた。

「そう。私はスライムのライム。いくわよ、オオカミ女!」

 ライムと名乗ったスライムは、ドロドロになると浪子をくるむように襲いかかった。

 浪子が鉤爪で切りつけた。

 だが、水を切ることができないように、不定型なスライムを切ることなどできなかった。

 一瞬、裂け目が走っても、すぐまた元通り。

 浪子の攻撃をものともせず、ライムは球体状になり浪子を取り込んでしまった。

 青い透明なボールの中で、浪子が苦しそうにもがいた。

「ふふふ……、息ができないでしょう?」

 ライムは、人間体になった上半身だけを球体の上に作り出し、浪子を見下ろした。

 浪子はもがいていたが、やがて動けなくなってしまった。

「浪子!」

「心配ないわよ。気を失っただけ」

 女子高生の姿に戻ったライムは、僕を見て言った。

 浪子は地面の上に倒れた。

「あとは、そこのフランケンね」

 ライムは、再び不定形状態になると、蘭に襲いかかった。

 今度は蘭が青い透明なボールに包まれた。

 ミアの下半身をつかんだままだから、ミアの体の一部もボールの中に入っている。

「ふふふ、どう?」

 ライムが、さきほどと同じように、上半身だけをボールの上に出現させた。

 だが、蘭の様子は変わらなった。

「そうか……、フランケンは呼吸なんかしなくても平気だったんだわね。なら、これならどう? 圧力増加!」

 今度は、蘭の表情に変化が表れた。

 明らかに苦しそうだ。

「ふふふ、どう? このままどんどん圧力を増せば、おまえの体といえど、いずれ押し潰されて破壊されるわよ?」

 苦しさのあまり、蘭がミアの下半身を手放した。

 すかさず、青い透明なボールから、ミアが蛇の下半身を引き抜いた。

「ライム……、礼を言うぞ。だが、こいつは私にやらせてくれ」

「あら、ミア、大丈夫なの? 力じゃかなわなかったじゃない」

「ピンポイントで攻撃してやる。まずは、こいつの両目を私の尾の先端でえぐってやる」

「はいはい。じゃあ、やりやすいように押さえておいてあげるわ」

 ライムは、青い透明なボールから、蘭の顔だけが出るようにした。

 蘭が悔しそうにライムを、そしてミアをにらんだ。

「蘭!」

 ちくしょう!

 どうして僕には何もできないんだ!

 いつもいつも、ただただ守ってもらうだけなんて……。

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