【伍】ビュッフェ食べ放題デート<急>
開店時刻になり、僕ら四人はテーブルに案内された。
「じゃ、ここでは何でもいくらでも食べていいんだ。食べ放題だよ」
「「「食べ放題!?」」」
ケイ、マナ、ハピが目をきらきらさせて僕を見た。
「そ。でも、食べ放題だからって、好きな物ばっかり取らず、ちゃんと栄養のバランスを考えて……」
――と、説明しようとしたが、既にケイ、マナ、ハピの姿はなかった。
ケイは、お皿に、千切りにしたサラダのにんじんを山盛り盛ってきた。
飲み物はもちろんキャロットジュース。
人馬のモンスター、ケンタウロスのケイは、にんじんが大好きだ。
目がうるうるしている。
「き、絆く~~ん。私、超しあわせ~~。も、もう食べていい?」
ケ、ケイ、ちょっとよだれをふいたほうが……。
ハピは、お皿にコーンを山盛りと、コーンポタージュスープを持ってきた。
「ハピ、それは?」
「ボク、とうもろこしが大好きなんだ。もう食べていいかな~~」
なるほど。
人鳥のモンスターのハピは、とうもろこしが好きだったのか。
あ、でも、ハ、ハピ、嬉しいのはわかるけれど、その、にへら~~っとした、力の抜けた笑顔はやめようね。
せっかくの美貌が台無しだよ。
そういえば、マナって何が好きなのかな?
「き、き、絆ちゃん! こ、こ、こ、これ何?」
マナが、ものすごいものを見つけたという顔で、赤い物を皿に山盛り持ってきた。
「こ、これは……」
なんと、マナが持ってきたのは梅干。
「塩の匂いに引かれて行ったら、これがあったの~~。初めて食べた~~。一口食べたら、もう美味しくて美味しくて……」
そうか、海にいる人魚のモンスターであるマーメイドのマナは塩味の物が好きだったんだな。
それにしても梅干山盛りとは……。
「じゃ、じゃあ、食べようか?」
「「「うん、いっただきまーーす」」」
ケイ、マナ、ハピは、元気に声をそろえてあいさつした。
ちょ、ちょっと元気すぎて恥ずかしいよ。
また周囲の注目を浴びちゃった。
「あ、ところで」
「絆ちゃんは」
「食べないの?」
もぐもぐさせながら、ケイ、マナ、ハピが僕を見た。
あっと、いけない。
肝心の自分自身の食べる物を持ってくるのを忘れていたよ。
ビュッフェの制限時間は二時間。
ケイもマナもハピも、ひたすら食べ続けた。
それこそ文字通りモンスター級に。
初めの内こそ、にんじん、とうもろこし、梅干と、自分たちの好きな物ばっかり食べていた三人だったが、僕のアドバイスを素直に聞いて、いろいろな食べ物を食べていた。
和も中もイタリアンも、その他の食べ物も十分堪能できたから良かったよ。
僕は一時間くらいでギブアップだったけれど、三人ともすごいなあ。
食後は約束どおり、アクセサリーや洋服、雑貨などをケイ、マナ、ハピと見て回った。
僕は身動きできないほど食べちゃっていたから、回るのがたいへんだったんだけれど。
それにひきかえ、三人のモンスター娘たちは、あれだけ食べていたのに、動くのが全く平気な様子だった。
やっぱりモンスター娘に合わせてといっしょに暮らしていくのって、いろいろたいへんなのかも……。
あ、でも、よく考えたら、僕も半分モンスターだったっけ。
こりゃあ、女の子モンスターに負けちゃいられない。
もっともりもり食べて大きくたくましくなるぞ!
そしていつかは、僕が彼女らに守られなくてもいいように――、いや、むしろ逆に、僕がケイ、マナ、ハピを守ってやれるくらいの、強くてたくましい大人になるんだ!!
<完>




