【伍】ビュッフェ食べ放題デート<序>
「ぶっへ?」
「びゅっへ?」
「なあに? ビュッフェって?」
ケイ、マナ、ハピが目を丸くして僕にたずねた。
この日の夕食を何にしようかと四人で話していたのだが、なかなか決まらなかった。
和にしよう、いや、中華だ、イタリアンだと意見が分かれ、それならと、僕がビュッフェを提案したのだ。
僕らがよく利用するショッピングモールに、手ごろな値段で利用できるビュッフェレストランがある。
ビュッフェ――要するに、バイキング、食べ放題だ。
ケイもマナもハピもビュッフェには行ったことがない。
これも人間社会における社会勉強だ。
ということで、僕らはショッピングモールのビュッフェレストランにやってきた。
このレストランは午後5時半開店で、予約制にはなっていない。
だから、開店の少なくとも三十分以上前には来て並んでいなければならない。
僕らがレストランに着いたのは四時四十五分頃だった。
数組並んでいたが、これなら十分余裕で五時半には入れるだろう。
「ケイもマナもハピもさ、僕が並んでいるから三人は他のお店でも覗いてきたら?」
「でも、絆君を一人にするのは心配だわ」
「そうよね……、こないだも妖怪の子たちが襲ってきたし」
「絆にはやっぱりボクらがついてないと」
「いや、三人の気持ちはとっても嬉しいんだけれど、こんな人混みの中、襲ってくる奴らはいないよ、多分。それに、なんかあったら、携帯電話でみんなを呼ぶから」
僕は渋る三人を、無理無理モール内に解き放ち、一人で列に並んだ。




