【参】キャッチボールお見舞いデート<破>
お茶を持って部屋に入ると、吼の姿に、大神浪子がはっと息を飲んだ。
吼は眠ってしまっていたのだが、半分オオカミの顔になりかけで眠っていたのだ。
「そ、空守……、その……、吼は……」
「心配しなくていいよ、大神浪子。気付かないフリしておいたから」
ハピはそう言って大神浪子に片目をつぶってみせた。
「そうか。すまない」
僕とハピ、大神浪子は絨毯の上に直接座った。
「体調が悪いと、吼は人間の姿を維持できないんだ。だから、あんなふうに中途半端にモンスターの姿に戻ってしまう」
「吼は、僕やハピの正体を知らないし、僕らが吼の正体を知っていることも知らないんだよね」
「ああ。二人のことは普通の人間だと思ってるし、自分の正体だってばれてないと思っているよ」
しばらく部屋にいたが、吼は起きる気配がなかったので、僕らは帰ることにした。
「わざわざ悪かったな」
玄関まで見送りに来た大神浪子に僕は言った。
「吼、お大事にね。元気になったらまたキャッチボールしようって伝えておいて」
「いいのか? 掛橋」
「だって今日は約束のキャッチボールできなかったしね。ハピもどう?」
「絆がいいならボクは構わないよ」
「じゃあ、大神さん、そういうことで」
その日の夜の僕の家のリビング。
「ふーん、大神浪子の弟、そんなんだったんだ」
そう言うケイに僕はたずねた。
「そういえばさ、ケイは兄弟いるの?」
「私? 私はいないよ。一人っ子、一人娘。絆君といっしょだね」
「そうなんだ。マナは?」
「あたし?」
僕、ケイ、ハピはマナを見た。
「あたしは……、へへ、妹が一人」
「へえーー、妹がいるんだ? マナのほうが妹キャラだと思っていたから意外ーー。お姉ちゃんだったんだねーー」
「絆ちゃん、それ言わないでよねーー。実際問題、私のほうがいつも妹に間違えられるのよね。妹のほうが背も高いし」
「なんか分かる気がする。名前はなんていうの?」
「カナよ。もし人間の世界に来たら海守カナと名乗ることになるわね」
「ふーん、二人でマナカナか……。ハピはお兄さんがいるんだっけ? 名前は?」
「ボクの兄はラキっていうんだ。だから人間界に来たら空守ラキだな」
「へえーー。兄がラッキーで妹がハッピーか。縁起のいい名前だね」
「そうかい、ありがと」
「そういえばさ……」
僕は、ケイ、マナ、ハピの顔を順々に見た。
「みんな、自分の家族と離れ離れになって僕のところに来てくれたんだよね。ありがとう、ケイ、マナ、ハピ」
「き、絆君、そんな、あらためて言われると照れるよ」
あわてたようにケイが言う。
「そうよ、恥ずかし~~」
マナが体をくねくねさせてはにかむ。
「絆だって、両親と離れて暮らしているんだもの。おんなじだよ」
ハピも顔を赤くしていた。
色白だからよく分かる。
「それでさ、三人に相談なんだけど……」




