四、ジョギングで大騒ぎ4
僕とマナと普見蘭は、早朝のハンバーガーショップにいた。
普見蘭は、すごい勢いで何個もハンバーガーを食べている。
何のことはない、さっきはおなかが空き過ぎて力が出せなかったそうだ。
そう言えば以前にも、遅刻の理由を「ご飯をいっぱい食べていたら遅くなっちゃって」などと言ってクラスのみんなから笑われ、泣いちゃっていたことがあったっけ。
フランケンの普見蘭は、食いしん坊の泣き虫モンスターだ。
大量のハンバーガーを平らげ、ようやく普見蘭は落ち着いたようだった。
「普見さん、いつも朝ご飯食べないでジョギングしてるの?」
シェイクを飲みながら僕は聞いた。
「そう……。走り終わってから食べる。その……、今日はいつもより長めに走っていたから余計におなか空いちゃって……。そうしたらあんなことに……」
「おまえ、良かったわね。絆ちゃんが行動しなかったら、あたしだって放っておいたもの」
パイを食べながらマナが言った。
普見蘭ほどではないが、マナも結構よく食べる。
「それは……、感謝している」
視線を横にそらしながら普見蘭は小声で言った。
泣いた後だからだろうか。
頬が赤い。
「おまえ、こんなことがあったのに、まだ絆ちゃんをねらうつもり?」
マナの問いに、ちょっと間を置いてから普見蘭は答えた。
「それは……、そうだ。それが、私に与えられた指令なのだから」
「あ、そーですか、やれやれ……」
マナはパイをぱくついた。
「まあ、僕をいくらねらっても、知っての通り僕の命はとれないよ」
「それは……、そうだが……。私は……、そうしなければいけないから」
「まあ、いいか」
僕はシェイクを飲み終えた。
マナもパイを食べ終えた。
「じゃあ、僕たち行くから、また」
「掛橋絆」
僕とマナが席を立って、先に出て行こうとすると、普見蘭が呼び止めた。
「え?」
立ち止まり、振り向く。
「今日は……、ありがとう……。この借りは……、必ず返す」
頬はまだ赤いままだったけれど、普見蘭は今度は僕の顔を真っ直ぐに見てそう言った。
「うん。期待しないで待ってるよ。じゃ」
僕とマナは店を出た。
「じゃあ、絆ちゃん、手つないでおうちに帰ろうか」
「違うでしょ、マナ。ジョ・ギ・ン・グ」
「えーー」というマナの声を背に、僕は走り出した。
「あん、待ってよーー」
たたたたと、可愛い足音が僕を追いかけてきた。




