二、怪談で大騒ぎ4
僕はリビングに戻り、お風呂のスイッチを入れた。
交代で用を足し、三人がリビングに戻ってきた。
「お風呂わいたからさ、交代で入ってよ」
僕の言葉に三人が顔を見合わせた。
「「「怖いよ」」」
「はい?」
「お風呂に一人で入るのは怖いよ、絆」
「じゃあ、三人で一緒に入ればいいだろ」
僕の言葉に三人がまた顔を見合わせた。
「「「狭いよ」」」
「はい?」
「お風呂に三人で入るのは狭いよ、絆ちゃん」
「じゃあ二人一緒に入って、あとはしょうがないから一人だな」
僕の言葉に三人がまたまた顔を見合わせた。
「「「いやだよ」」」
「はい?」
「そうしたら、一人だけが、一人でお風呂に入らなければならないじゃない。そんなのいやだよ、絆君」
「じゃあ、どうするの? 夏なんだし汗かいたんだから、お風呂入らないわけにはいかないだろ」
「じゃあさ、三人の内、誰か一人は絆と入るというのはどう?」
「あ、そうだね、それがいい」
「私は、このうちに来たときからそうしたかったのよね。なのに、絆君ったら……」
おいおいおいおい、何を勝手に話を進めているんだ。
「だからケイ、それは最初にも言ったでしょ。人間の……、それも健全な中学生の男の子と女の子は一緒にお風呂に入ったりしないの! そういうものなの、人間は!」
「だって、絆ちゃん、あたしたちは人間じゃないのよ」
「そうだよ。ボクら、今は人間の姿に化けているけど――」
言葉の途中で、三人の体が一斉にボワンと煙に包まれた。
これは、彼女たちが人間の姿になったり、モンスターの姿に戻ったりするときに出る煙だ。
煙が消えると、それぞれ、ケンタウロス、マーメイド、ハーピーの姿になった、ケイ、マナ、ハピがいた。
「ほら、もともと服なんか着る習慣無いもん」
ハピの言う通り、モンスター体のときの三人は衣服を身に着けていない。
といっても、ケイ、マナ、ハピの下半身は、それぞれ馬、魚、鳥なので大丈夫だ(――って何が?)。
大丈夫じゃないのは、上半身。
三人とも何も身に着けていない。
もっとも、三人の長く伸びた髪で――人間の姿のときはショートカットのケイも、ケンタウロス体になるとたてがみのようにロングヘアーになるのだ――胸元はかろうじて隠されているのだけれど、とても危うい感じで、風で髪が揺れたりしたらどうなるか……。
と、ともかく、心の準備も無く急にモンスター体になられると、直視できない!
「さ、三人とも元に戻ってよ。モンスター体のとき服を着る習慣がないのは分かってるから」
僕は横を見ながら、三人を促す。
また自分の顔が赤くなってしまったのが分かる。
狭い狭いと文句を言う人間の姿に戻った三人を、僕は無理やり浴室に押し込んだ。




